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2023/10/22

術前拡張能と術後のAfib

Baseline Intraoperative Left Ventricular Diastolic Function Is Associated with Postoperative Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery 

Anesthesiology November 2023, Vol. 139, 602–613.

https://pubs.asahq.org/anesthesiology/article/139/5/602/138530/Baseline-Intraoperative-Left-Ventricular-Diastolic


n = 402を対象に術後のAfibの発生に左室の拡張障害が関与しているかの論文。

Odds ratio 2.02で拡張障害はAfibの発生を増加させるとの結果。

拡張障害はE/e'で評価。

PALACS trialのposthoc analysis。PALACS study自体は心膜切除が術後Afibに影響を与えたかを調査した研究。2011年にLancetにでた。

Populationとして、NYHAがIII IVである割合は10%以下という、予定手術をうける患者としては割合健康な方を対象としている。

確かに拡張障害があると、心房への圧負荷がかかるので、Afibの発生率が高くなるというのは病態生理学的に納得できる。


** Posterior left pericardiotomy for the prevention of atrial fibrillation after cardiac surgery: an adaptive, single-centre, single-blind, randomised, controlled trial

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02490-9/fulltext



2023/10/08

TR 治療等

他の弁に比べて圧倒的に予後の悪いTR。

(MEMO)


三尖弁は3尖ではないことが多い。4尖だったり。(基本的に時計周りでP1,P2などと番号

をつける。中隔だけは反時計周りでS1、S2となる。

肺高血圧がある場合の予後が悪く、これがほかの弁との違いであろう。

TRの評価は5段階で行う。 Severeの上にmassive torrential がある。

MitraClipと同じようなTRに対するクリップ(TriClip) 

 前尖と中隔尖にクリップをかけることが多い。

 クリップ数は平均2.5 (MitraClipよりは1個多いイメージ)


TRの評価

https://sunrise-lab.net/overseas-reports/t_tanaka/%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E6%80%A7tr%E3%81%AE%E9%87%8D%E7%97%87%E5%BA%A6%E8%A9%95%E4%BE%A1/



2023/08/07

心臓麻酔における強心薬の多様性

 Anesthesiologyに面白い論文があった。

みんなうすうす気づいていたことなのだけど、心臓麻酔の薬の使い方は病院(もっと言うとどこで教育を受けたか)によって異なる。


Patient-, Clinician-, and Institution-level Variation in Inotrope Use for Cardiac Surgery: A Multicenter Observational Analysis 

https://pubs.asahq.org/anesthesiology/article/139/2/122/138077/Patient-Clinician-and-Institution-level-Variation

アメリカの29病院のマルチセンターで結構なヴォリュームの患者数(2万人程度)を

集めて術中のカテコラミンの使用傾向を調べたもの。

意外だったのが、最も多いカテコラミンがepinephrineであったこと。

DOAが最もすくなく、次いでDOB、ミルリノンを使っている施設も多い。


第一選択がEpinephrineなのか... 

サンプルサイズの計算方法が詳しく勉強になる。





2020/08/05

Nasal high Flow for overweight patients



Maury E, Alves M, Bigé N. High-flow nasal cannula oxygen therapy: more than a higher amount of oxygen delivery. J Thorac Dis. 2016;8(10):E1296-E1300. doi:10.21037/jtd.2016.10.86


Editorialなのだが、BMI > 30 の肥満患者に対してNHFをつけることをルーチンにしたが、
それによって無気肺や酸素化の改善は認めなかったという論文へのコメント。

そうなんですよね。ICUでも太っているからというだけでNFH必要かな?と思って
抜管しても、特に酸素化は問題ないし、NHFを必要とする人はそこまで多くない。
呼吸機能の問題の方がより大きいし、NH Fの貢献度が高いのかもしれない。


Stéphan F, Bérard L, Rézaiguia-Delclaux S, Amaru P; BiPOP Study Group. High-Flow Nasal Cannula Therapy Versus Intermittent Noninvasive Ventilation in Obese Subjects After Cardiothoracic Surgery. Respir Care. 2017;62(9):1193-1202. doi:10.4187/respcare.05473

これは肥満患者 BMI > 30 が心臓手術を受けた後に、NHFと間欠的非侵襲呼吸補助(NPPV)でどっちがいいのだ?というRCT。 
元々組まれていたObese patientsに対するRCTのposthoc analysis 
830人程度を対象としている。 
NHFを用いた群はNPPV群と比較して皮膚の損傷が少なかったが、治療不成功(=挿管)となる割合については差を認めなかった。

このスタディのNHFの設定は結構強い。FiO2 50%でFlow 50L。
カプランマイヤーのプロットで治療不成功となる場合を求めているが、肥満でも治療不成功となる可能性は結構少ないのだなと。


肥満だからってNHFは必要なさそうだが、NPPVよりは良さそう。




2020/06/11

AKI after cardiac surgery: クレアチニンはAKIの診断にどこまで有効と捉えるか


オーストリアからの報告。 斜め読み。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32371831/
Bernardi MH, Ristl R, Neugebauer T, Hiesmayr MJ, Druml W, Lassnigg A. Very early changes in serum creatinine are associated with 30-day mortality after cardiac surgery: A cohort study [published online ahead of print, 2020 May 7]. Eur J Anaesthesiol. 2020;10.1097/EJA.0000000000001214. doi:10.1097/EJA.0000000000001214

今時AKIをクレアチニンでみるのは研究的には古いかなと思っていたのだが、
(NGALとか、なんとか、今はやりのより感度の高いものでみた方が良いのかしらと)

1997-2008年にウイーン大学で心臓手術を受けた患者 8711人を対象とし、
術前のCreと術後2時間以内のCreの差を測定。

primary outcome:
30-day mortality and its relationship with the difference between the baseline SCrea level (SCreabaseline) measured just before surgery and the peak SCrea level measured within 120min after skin closure and ICU admission (SCreaAdmICU).

ここまでみると、いやいや、心臓手術の時は、輸液がたくさん入るので、大体Creは低くなる(単に薄まっている)。手術直後のCreと死亡率を比較してもどうしようもなくない?
と思う。きっと誰でも思うだろう。

そこでこの著者らは、輸液によってCreを「調整」している。

Adjusted Cre level = Serum Cre level * correction factor.

Correction factor = BW in kilograms􏰁 * 0.6) + Σ (cumulative fluid balance in litres)]/(BW at hospital admission 􏰁 0.6).
Cumulative fluid balance  =  術中の輸液、FFP、コロイドから尿量、ultrafiltrationを引いたもの。

Correction factor 0.6というのは体液量の推定値なのだろうが、うーん、こうしてみると結構ざっくりした計算のようにも思える。

で、さらにCreの変化を4群(減少大、減少小、増加大、増加小)に分けてそれぞれの30-day mortalityとの関連を多変量解析しているというもの。
Cox harzard modelを用いて4群による死亡の変化を見ている。
risk factorsとして27項目をそれぞれ単変量解析した後でモデルに投入している。

結果で面白いグラフがあった。Alluvial diagramsを使っている。

結論としては、Creが少しでも上昇している場合は30-day死亡率が高いというもの。 

輸液が入っているのにCreが高くなっているというだけで、AKIと考えて良いのかもしれない。ふーむ。むむ。




Alluvial diagrams をRで実装する方法
https://www.karada-good.net/analyticsr/r-504






2020/06/08

心臓手術後の持続フロセミドはRRTを防げるのか



心臓手術後の持続フロセミドはRRTを防げるのか?に関してのReview

Does Perioperative Furosemide Usage Reduce the Need for Renal Replacement Therapy in Cardiac Surgery Patients?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22761122/
Cardiovasc Thorac Surg. 2012 Oct;15(4):750-5.  doi: 10.1093/icvts/ivs208. Epub 2012 Jul 3.

内容は47編の論文のnarrative reviewなのだが、結論としては

We conclude that continuous furosemide infusion in the perioperative period promotes a gentle and sustained diuresis in cardiac surgery patients. The evidence supporting the benefit of this strategy in terms of reducing the need for RRT is weak.

私はまだこの治療法について、とやかく言える立場ではないが、うちに前にきた心臓血管外科の先生は「持続フロセミドなんてほんと意味がないよな・・」とぼやいていた。
本当のところはどうなんだろうか。


2020/06/07

INVOS1枚で逆側の脳の酸素化も推定できるか?


n=17 という少なさですが、INVOSの精度を比較している。

クリニカルクエッションは
心臓手術において、INVOSを片側の前額に貼付することで、逆側の脳の酸素化も
推定できるか?というもの。


Prediction of bilateral cerebral oxygen desaturations from a single sensor in adult cardiac surgery
A prospective observational study
https://journals.lww.com/ejanaesthesiology/Fulltext/2018/05000/Prediction_of_bilateral_cerebral_oxygen.7.aspx

患者は17人、CABG(CPB on) もしくは弁置換を受ける患者を対象。
両側にそれぞれ1枚ずつINVOSを貼付し、その差について見ている。

統計解析にBland-Altman法を使用してその精度を見ている。
Bland-Altman法:異なるモニタから得られる結果の一致度を検討する手段 


対象患者がそもそも左右左のない患者としているので、なんともというところなのだが、
これが例えばTARとかだとどうなのだろうか?
内頸動脈狭窄がある患者とか? 
逆にそういうものがない患者では、INVOSは1枚で十分と言えるだろう。



2020/05/28

Thiamine & Oxythiamine



The Uremic Toxin Oxythiamine Causes Functional Thiamine Deficiency in End-Stage Renal Disease by Inhibiting Transketolase Activity
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27198804/
Kidney Int. 2016 Aug;90(2):396-403.  doi: 10.1016/j.kint.2016.03.010.  Epub 2016 May 16.


Thiamineも奥が深いな。

Thiamineはピルビン酸デヒドロゲナーゼとトランスケトラーゼ(ペントースリン酸回路の酵素)の補酵素として働く、透析患者ではこのトランスケトラーゼが阻害されていることが報告されており、その原因を探った実験。

実際の透析患者からの採血(n=48)を分析した。 

1) Thiamine濃度
なんとplasma thiamineは透析患者で高いという結果に、またoxythiamine(トランスケトラーゼの阻害作用を持つ)の濃度もhealth controlと比較して高かった。 

2) oxythiamine濃度が高いことがトランスケトラーゼの原因であると考えられるか?
しかし、この研究によると、oxythiamineは人体の中ではありえない環境でしか(PH 3以下、100度以上)thiamineからは変換されないということがわかっている。つまり摂取したthiamineがoxythiamineに変わったわけではなく、食物が酸や熱によって調理されている時に変換され、それを摂取し、それが体内に残ることで増加すると考えられる。

3) oxythamine とトランスケトラーゼ阻害は相関しているか?
していない。この理由としてoxythamineは透析で取り除かれるが、oxythamineがリン酸化されたOTPPは赤血球内にあるため、取り除かれない。このため、測定した濃度と阻害の程度はあまり相関しなかった。

結論としては、透析患者にthiamineを投与すると、oxithiamineによるトランスケトラーゼの阻害を上回る作用を示してくれるのではないか? と。





2020/03/26

Early vs Delayed Stroke after cardiac surgery


Circulationから

Early Versus Delayed Stroke After Cardiac Surgery: A Systematic Review and Meta-Analysis
Mario Gaudino, MD; Mohammed Rahouma, MD; Michele Di Mauro, MD; Bobby Yanagawa, MD, PhD; Ahmed Abouarab, MD; Michelle Demetres, MLIS; Antonino Di Franco, MD; Mohammed J. Arisha, MD; Dina A. Ibrahim, MD; Massimo Baudo, MD; Leonard N. Girardi, MD; Stephen Fremes, MD, PhD


early stroke : 麻酔から覚める前のStroke  
delayed stroke:  麻酔からいったん覚めて覚醒が確認された後のStroke  

頻度
Early stroke 0.98% 
Delayed stroke  0.93%  

それぞれStrokeを起こした場合の死亡率は28.8%と 17.9%である。
Strokeを起こすと死亡率は12倍になる。

メタ回帰分析ではOff-PumpがEarly strokeとマイナスに関係していた。
(人工心肺時間、循環停止の有無、遮断回数は全く関係なかったと!)

Late strokeの発生に関しては、
脳血管疾患の既往歴と術後の心房細動の発生がリスクとされている。
(しかしこれはCABGを対象とした研究での報告であり、大動脈疾患を対象としていないな。。。)

Early strokeは右半球に多く、大動脈のカニュレーションのジェットが何らかの関連があるのではないかとされている。
CABGに関してはno-aortic touch techniqueでStrokeの率が低下するとされている。
また近位部の吻合を工夫することでもStrokeは下がるとされており、
大動脈へのアプローチの工夫が必要なのかもしれない。

Delayed strokeの予防
予防戦略は、心房細動の予防薬の投与および治療、抗凝固薬、LAA ligationを行うことである。

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アイザックニュートンはペストの流行で疎開している時に万有引力の法則や微分積分の基礎となる着想を得た。今の時代に考えさせられる歴史的エピソードだ。

それ以上に今私の心に引っかかっているのは、ニュートンが言った次の言葉である。
「自分がこれらの発見をできたのは、
   巨人の肩の上に乗って遠くを見ることができたからだ」

巨人の肩とはもちろんそれまでの人類の叡智のことで、それを学んだからこそ、その先の世界を考えることができたと。ニュートンの生きたAC1600-1700年にわかっていたことは今よりもずいぶん少ないだろうが、それだからこそ、すべての分野を学び、統合し、その知識の上での新しい発見ができたのだろう。博学という言葉は最近用いられなくなったが、100年くらい前までは、すべての分野に通することができたのではないだろうか。

翻って現在、私たちは(いや私は)、巨人の肩どころか、足元をウロウロしながら、巨人の残した科学技術をもてあそんでいるだけなのではないだろうか。

どうしたら巨人の肩に乗れるのか、そこから見える景色はどんなものだろうか。

見えているもので満足すると、科学はもう飽和しているように思えるだろう。
科学技術を伸ばすことにこれ以上何を望むのかと。それよりも飢えている人を救うべきだと。

何が見えているのか、何が見えていないのか。何を見つけようとするのか。
自問は続く。



2020/03/15

MitraClip for extremely low EF patients



経皮的僧帽弁逆流症修復術の適応は日本では EF > 30 となっているが、
EF 30以下でも患者さんはやっていくる。。。



Invasive hemodynamics and cardiac biomarkers to predict outcomes after percutaneous edge-to-edge mitral valve repair in patients with severe heart failure.
Clin Res Cardiol. 2019 Apr;108(4):375-387. doi: 10.1007/s00392-018-1365-5. Epub 2018 Sep 6.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30191296


ドイツからの報告。
174人のsevere heart failure & percutaneous mitral valve repairを受けた患者が対象。
平均 EF = 25%    死亡率:6.9% and 17.8% at 30 days and 1 year

死亡のリスク因子は elevated hsTnT and reduced mixed venous O2-saturationであったと。

どっちも手術室では測っていないな。
SG入れているから混合静脈血O2は計測できるが。
reducedってどれだけの低下を持ってreducedと言っているのか。論文読んでみよう。


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日本よりもヨーロッパでコロナウイルスの蔓延が激しく、心配になる。
今現状の世界を見ていて、多少の騒ぎは報道されているけど、
大勢の人が専門家からの情報を得て、パニックにならずに静かに時が過ぎるのを待っている。
そうした一人一人の目立たない行動が賞賛されるべきだと思う。


アマゾンのランキングでカフカの「ペスト」が3位に入っていた。
私も読んでみようかな。
現世界の人の行動が問われているのかもしれない。絶望に慣れてはいけないと。

2020/02/01

Timing of beta blocker resumption after cardiac surgery


今月のAnesthesiologyに心臓手術後のβブロッカーの再開タイミングについてのコホートstudyが載っていた。 
そしてそのインタビューをAnesthesiology podcastで配信していて、それがまた面白かった。

Timing of β-Blocker Reintroduction and the Occurrence of Postoperative Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery: A Prospective Cohort Study.
Anesthesiology. 2020 Feb;132(2):267-279.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31939841

663人の患者の前向きコホート研究。192時間に渡り、いつβブロッカーを開始したか、また心房細動の発生がどうであったかを調査したもの。

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48 hにおける心房細動発生のOR
adjusted odds ratio (full) = 0.87 (0.58 to 1.32; P = 0.517)
adjusted odds ratio (selected) = 0.84 (0.58 to 1.21; P = 0.338)
72 hにおける心房細動発生のOR
adjusted odds ratio (full) = 0.64 (0.39 to 1.05; P = 0.076)
adjusted odds ratio (selected) = 0.58 (0.38 to 0.89; P = 0.013)
96 hにおける心房細動発生のOR
adjusted odds ratio (full) = 0.58 (0.31 to 1.07; P = 0.079)
adjusted odds ratio (selected) = 0.53 (0.31 to 0.91; P = 0.021)

術後48時間以内のβブロッカーの投与は72時間(3日目)以内のAfibになる可能性が高いという結果。ただ状態の良い人の方がβブロッカーを再開しやすいという選択バイアスが入り込むため、調整する必要があるだろう。


ちょうど一年前に、non cardiac surgeryでの研究があった。
1年前のAnesthesiologyの記事

Early Resumption of β Blockers Is Associated with Decreased Atrial Fibrillation after Noncardiothoracic and Nonvascular Surgery: A Cohort Analysis
https://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2707255


コツコツ勉強しよう。



2019/12/22

dynamic change of portal Vein Flow are associated with AKI in cardiac surgery


手間をかけて測定しているのに結果の分析がなんとも。。。

Alterations in Portal Vein Flow and Intrarenal Venous Flow Are Associated With Acute Kidney Injury After Cardiac Surgery: A Prospective Observational Cohort Study.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30371304
J Am Heart Assoc. 2018 Oct 2;7(19):e009961. doi: 10.1161/JAHA.118.009961.


心臓手術後の門脈flowの変化が大きいほど、AKIの発生が高いという仮説に基づいた報告

そもそもpotal vein flowは一定の定常流のような波形であるが、CPB後は波が認められる。
この変動が大きい方がAKIになりやすいという報告 OR 2.81

また腎血流も同様にエコーで測定しているが、腎血流とは独立してこの門脈の血流速度の変動がAKIのリスクになると。


うーん、分かりにくかった。

Hyperglycemia after reperfusion in cardiac surgery



Spike in glucose levels after reperfusion during aortic surgery: assessment by continuous blood glucose monitoring using artificial endocrine pancreas.
Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2018 Mar;66(3):150-154. doi: 10.1007/s11748-017-0872-z. Epub 2017 Nov 29.

大動脈遮断後の血糖値の推移をSTG-55を用いて連続的に調べたという研究
n=22
循環停止中は血糖は100前後であるが、再灌流後、平均8分後にピークを迎え、その最大血糖値は200前後であるという論文。
糖尿病があろうとなかろうと、この高血糖の値は変わらないと。

自分の病院のデータを見ていてもこれは実感する。
糖尿病があるからといって再灌流時に血糖値が高くなりすぎる訳ではない。

さらにこうした再灌流時高血糖はpringleなどでも認められ、特に肝静脈の血糖値が門脈の血糖値と比較して高く、肝臓が糖を放出していると考えられている。


ある意味生体の理にかなった反応であり、インスリン等の投与により細胞が糖をエネルギーとして使用できることが治療につながるだろう。

しかし糖尿病の有無にかかわらず、だいたい200前後まで上がるという点が面白いというか、興味深い。
なぜ200??? 
インスリン抵抗性は変わらず、肝臓が作ったグリコーゲンがこの最大値を決めているのか?

2019/12/21

NaNO2 protects VILI?


Sodium nitrite mitigates ventilator-induced lung injury in rats.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22820847
Anesthesiology. 2012 Sep;117(3):592-601.


日本でも2015年より成人の心臓手術における肺高血圧症に対してのNO吸入療法の保険適応が認められているが、その効果(死亡率の改善)についての結論は出ていない。NOの吸入がARDSに対して効果があるかについては1993年から研究論文があるが、この結果も定まっておらず、2019年に出されたARDSの治療ガイドライン(1)ではNOの吸入は推奨されていない。損傷された肺組織に対してNOがどのような効果を持つのか、またその機序については不明である。NOは亜硝酸ナトリウムなどのNO2-からNitrite reductaseによりNOに変換される。特に低酸素下、アシドーシスにおいて反応は促進する。このNitrite reductaseの反応速度に影響を与えるものとしてヘモグロビン、ミオグロビン、xanthine oxidoreductase, aldehyde oxidaseが知られている。肺損傷の状態ではどの物質が最も影響を与えているかは不明である

目的:呼吸器誘発肺損傷のモデルラットを用いて硝酸ナトリウムが肺障害を軽減する機序を明らかにする。
方法:8通りの実験環境でのモデルラットを用いてそれぞれの実験群のラットの死亡率、肺のコンプライアンス、肺胞浸出液のタンパク、TNF-α、IL1-ß、MIP(macrophage inflammatory protein)-2の濃度を測定した。
8群の内訳:1) low TV 6ml/kg + PEEP 2 cmH2O, 2) high TV peak P 35 cmH2O 2h + PEEP 0, 3) high TV + 0.25 µmol/kg NaNO2, 4) high TV + 2.5 µmol/kg NaNO2, 5) high TV + 25 µmol/kg NaNO2, 6) high TV + NaNO2 + NO scavenger, 7) high TV + NaNO2 + NO synthase inhibition, 8) high TV + NaNO2 + xanthine oxidoreductase (XOR) inhibitor allopurinol 
統計:分散分析

結果:high TVのみを施行したグループ2では死亡率43%であったが、NaNO2を2.5 µmol/kg以上投与した群で死亡率は0となった。しかしグループ6) NO scavengerを追加した群とグループ8) XOR阻害を追加した群では死亡率が83%にまで上昇した。また酸素分圧についてみると、NaNO2の濃度が2.5で最も高く(low TVと同程度の酸素分圧)であったのに対して0.25 25の群ではそうした酸素分圧の改善は認めなかった。NaNO2の効果についてはU 字型をとった。

考察:NaNO2が肺保護に働くことがラットモデルで証明された。またその経路として複数の経路が複合的に働いており、XORも関与していることが示唆された。高濃度のNaNO2の結果が低濃度より悪化した理由としてNO2-が組織に増加しすぎると、peroxynitrite-medicated oxidantによる組織障害が起きると考えられる。
臨床への応用:肺障害を起こした肺ではNOへの感受性が1/12程度になる。肺障害への治療効果は証明されたが、臨床での投与量については検討しなければならない。

2019/12/17

acute pancreatitis after cardiac surgery




Clinical Implications and Risk Factors of Acute Pancreatitis after Cardiac Valve Surgery
Yonsei Med J 2013:54(1):154-159.

https://insights.ovid.com/crossref?an=00024382-200705000-00004

心臓手術後の急性膵炎の発生頻度およびリスク因子について、後ろ向きに調査した報告

研究デザイン:単施設後ろ向きコホート研究

対象患者:2005年から2010年に延世大学病院で人工心肺を用いた弁置換術を受けた患者986人中を対象とし、急性膵炎を発症した患者と発症しなかった患者におけるリスク因子を多変量ロジスティック回帰分析で分析した。

急性膵炎の診断:施設では全ての弁置換術を受けた患者に対してアミラーゼとリパーゼを術後検査しており、2POD以降にリパーゼが180 U/L以上もしくは腹部症状プラスリパーゼ60 U/L以上であった患者を急性膵炎と診断した。

結果:患者の平均年齢は56.9(SD 14.8)歳で2/3の患者が単弁置換、1/3の患者が複数の弁置換術を受けていた。院内死亡率は2.8%であった。58人(5.9%)が急性膵炎の診断となった。腹痛の症状を訴えたものはこのうち16人(22.4%)であり、吐き気、嘔吐が13人(22.4%)と続いた。胸水は17人(29.3%)で認められ、急性腎不全が15人(25.9%)で認められた。
2群間(急性膵炎発症群、非発症群)での単変量解析の結果、高血圧、術前のCKD、術中のノルアドレナリンの使用に有意差があり、多変量解析の結果でも高血圧、CKD、術中のノルアドレナリンの使用のORは2.26, 2.65, 6.0であった。

考察:先行研究よりも発生頻度が10倍以上高かった理由として、全例アミラーゼとリパーゼを測定しており、今までの研究では見落とされていたものも含まれているのではないかと推測している。CPB時間が平均132分と長く(先行研究では83分)、これも原因として考えられると考察している。また、先行研究では内臓虚血が急性膵炎の発症のリスクであるとされており、そのリスクがある場合は術後の鑑別として考える必要がある。

心臓手術後も急性膵炎でPubmedを検索すると、1990年代の論文が多い。CPBの改善によって減少してきているのかもしれない。1991年にNEJMで「CaCl2の投与が容量依存性に膵炎の増加と関連している」という論文も発表されていた。

2019/12/10

microcirculation in retina during cardiac surgery



ほとんど日本から出ている。

網膜の血流を手術中に見るというもの。
Laser Speckle Flowgraphyを使用。

Cerebral circulation estimated by laser speckle flowgraphy in retrograde femoral arterial perfusion during minimally invasive cardiac surgery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28369496
Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2017 Jul 1;25(1):25-29. doi: 10.1093/icvts/ivx046.


Association Between Optic Nerve Head Blood Flow Measured Using Laser Speckle Flowgraphy and Radial Arterial Pressure During Aortic Arch Surgery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29398374
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2018 Apr;32(2):702-708. doi: 10.1053/j.jvca.2017.08.001. Epub 2017 Aug 2.

Ocular Blood Flow Measured Using Laser Speckle Flowgraphy During Aortic Arch Surgery With Antegrade Selective Cerebral Perfusion.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27321788
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2016 Jun;30(3):613-8. doi: 10.1053/j.jvca.2016.01.021. Epub 2016 Jan 18.




2019/12/08

association between stroke and hypotension in cardiac surgery



Defining an Intraoperative Hypotension Threshold in Association with Stroke in Cardiac Surgery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29889106

Anesthesiology. 2018 Sep;129(3):440-447.

解析の方法がとても気になった論文 オタワ大学から

心臓手術時の低血圧の持続が術後の脳卒中と関連があるかをみたコホート研究

2009-2015までの心臓血管手術(CPBを用いた)を受けた患者を対象とし、
術中の低血圧を調べた。血圧はカテゴリー化し、MAP  <55  55-64  65-74  とした。
primary outcome 術後脳卒中
propensity score adjustmentを併用したロジスティック回帰モデルを使用。

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しかし血圧は継時的なもので、低い時間帯もあれば高い時間帯もあるでしょうに
というところをどういうふうに調整するかがとても気になった。

結果
登録人数は 7457人 15秒ごとに血圧は自動的に収集されている。
人工心肺前、中、後で上記のどの血圧カテゴリに入っているかをランク付けした。
propensity matchingは
年齢、性別、BSA、EF、高血圧、心不全、末梢血管障害、Afib、肺高血圧、心膜炎の有無、心筋梗塞の有無、脳卒中の既往、内頸動脈疾患の有無、糖尿病、腎障害、透析の有無、手術内容、operative priority(?)、手術前の心停止の既往、CPB時間、CPB中の最低Ht、輸血量、トランサミン使用量
でマッチングした。

non parsimonious multivariable logistic regression modelを用いて脳卒中のリスク因子を洗い出した。先行文献からの脳卒中のリスク因子は
年齢、性別、TIAの既往、脳卒中の既往、内頸動脈疾患の有無、高血圧、糖尿病、再手術、CPBの時間、術後のAfib、複合手術であった。

これらのリスク因子に対して血圧が交互作用として働くことを検証するために今回の解析を行った。

感度分析
1)最も長い血圧低下時間とStrokeとの関連を調べた。
2)またpre post CPBはどちらも拍動血圧であるので、これらを統合した解析も行った。
また
3)低血圧の総時間についても解析を行った。
4)域値の検討を行った。麻酔導入前の血圧からの下げ幅がどの程度であったかと結果との解析を行った。

結果、脳卒中はn=111出会った。

Table 1で患者属性の比較
Table 2でそれぞれのMAPカテゴリの頻度(min)を比較
(ここまでは調整されていないcrude dataでの比較)
Table 3 matchingさせた場合に 10minの低血圧がORをどれだけ上げるか(下げるか)の比較。

#  しかし何を基準としているんだろう。 MAP > 75 がOR 1.00なのか? 

Table 4 多変量解析 このテーブルは面白くて低血圧が起きているのがCPB中だとORが高く出ている。また高血圧の既往があると、脳卒中になりやすいという結果も出ている。
New onset of Afibも高い

Table 5 Table 6はそれぞれ感度分析

CPB中は脳の代謝が低下していても、血圧は維持する必要がありそうだと。

この論文面白いな。


2019/11/24

RBC transfusion and lactate


解析をしていて、自分の予想を超えた面白い結果が出るとワクワクする。
が、Pubmedで調べてみると、おなじようなことをすでに調べている人がいたりする。

がっかりするというより、この人も同じことを考えているんだと嬉しくなって
どんな人なのか、検索してみたり。

本来の研究に戻って


Metabolic impact of red blood cell exchange with rejuvenated red blood cells in sickle cell patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31385330

sickle cell patientsは日本では少ないのだが、NOの研究をしていても出てくる
酸素運搬と臓器について研究するのにとても重要な疾患だ。


小児手術に限った話。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/pan.13310

小児手術における輸血制限のRCT
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27496630