2020/06/11

AKI after cardiac surgery: クレアチニンはAKIの診断にどこまで有効と捉えるか


オーストリアからの報告。 斜め読み。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32371831/
Bernardi MH, Ristl R, Neugebauer T, Hiesmayr MJ, Druml W, Lassnigg A. Very early changes in serum creatinine are associated with 30-day mortality after cardiac surgery: A cohort study [published online ahead of print, 2020 May 7]. Eur J Anaesthesiol. 2020;10.1097/EJA.0000000000001214. doi:10.1097/EJA.0000000000001214

今時AKIをクレアチニンでみるのは研究的には古いかなと思っていたのだが、
(NGALとか、なんとか、今はやりのより感度の高いものでみた方が良いのかしらと)

1997-2008年にウイーン大学で心臓手術を受けた患者 8711人を対象とし、
術前のCreと術後2時間以内のCreの差を測定。

primary outcome:
30-day mortality and its relationship with the difference between the baseline SCrea level (SCreabaseline) measured just before surgery and the peak SCrea level measured within 120min after skin closure and ICU admission (SCreaAdmICU).

ここまでみると、いやいや、心臓手術の時は、輸液がたくさん入るので、大体Creは低くなる(単に薄まっている)。手術直後のCreと死亡率を比較してもどうしようもなくない?
と思う。きっと誰でも思うだろう。

そこでこの著者らは、輸液によってCreを「調整」している。

Adjusted Cre level = Serum Cre level * correction factor.

Correction factor = BW in kilograms􏰁 * 0.6) + Σ (cumulative fluid balance in litres)]/(BW at hospital admission 􏰁 0.6).
Cumulative fluid balance  =  術中の輸液、FFP、コロイドから尿量、ultrafiltrationを引いたもの。

Correction factor 0.6というのは体液量の推定値なのだろうが、うーん、こうしてみると結構ざっくりした計算のようにも思える。

で、さらにCreの変化を4群(減少大、減少小、増加大、増加小)に分けてそれぞれの30-day mortalityとの関連を多変量解析しているというもの。
Cox harzard modelを用いて4群による死亡の変化を見ている。
risk factorsとして27項目をそれぞれ単変量解析した後でモデルに投入している。

結果で面白いグラフがあった。Alluvial diagramsを使っている。

結論としては、Creが少しでも上昇している場合は30-day死亡率が高いというもの。 

輸液が入っているのにCreが高くなっているというだけで、AKIと考えて良いのかもしれない。ふーむ。むむ。




Alluvial diagrams をRで実装する方法
https://www.karada-good.net/analyticsr/r-504