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2020/09/08

Dorsal root ganglion stimulation, what the mechanism works?

 

Dorsal Root Ganglion Stimulation Alleviates Pain-related Behaviors in Rats with Nerve Injury and Osteoarthritis 

https://pubs.asahq.org/anesthesiology/article-abstract/133/2/408/109181


Anesthesiology の2020年に発表されていた論文。

脊髄刺激法がどのように効果があるのかについて、ラットのモデルを用いて研究している。

結局メカニズムについては不明なままなのだが、sensory neuron T-junctionが注目されており、さらにDorsal root ganglionとSpinal cord のどちらの刺激が良いのかについても比較している。

amimal rat 200-250g 


Model1  2-cm incision was made on the lateral mid-thigh of the right leg 

Model2  intraarticular injection of monosodium iodoacetate 


Behavioral tests 

von Frey test, noxious mechanical stimulation, dynamic nonnoxious mechanical stimulation

cold stimulation, heat stimulation (Hargreaves test) 


刺激装置を入れた7日後から刺激を開始。1回の刺激時間は30分。

結果として、spinal cord とL4L5の2箇所のdorsal root ganglion の刺激をした群で効果が高かった。

shamとして神経障害を作っていない群においても痛みに対する反応が軽減することがわかった。またコードを留置するのみでは特に効果なく、刺激を与えることが重要である。

またModel 2のchironic painに対しても効果が認められた。刺激を止めると、痛み逃避の行動は元のレベルに戻るが、やや時間差があり、効果が残存することが確認できた。


Ganglion stimulation reduces transmission of impulse trains through the axonal T junction by amplifying its natural low-pass filtering on a use-dependent basis. 


この方法によって、OAの患者さんの痛みが取れるのであれば、それに越したことはないが、さて、どうなのだろうか? がん患者さんの脊椎転移にも効くのだろうか?



2018/01/21

体幹ブロック メモ


先日、ブロックの勉強会に参加してとても勉強になった。

RSB: Rectus Sheath Block
QLB: Quadratus Lumborum Block


Overview
・全てのブロックは座って行うべき。

RBS
・Th6から効果あり。
・RBブロックの場合はRBの鞘の上(腹直筋とRectus Sheathの間)に投与。
・理論的には恥骨付近まで効果を持たせることができるが、Rectus Sheathが臍の下では腹直筋の後鞘に行かないため、効果が不十分になることがある。
・AAAのブロックの場合は6箇所(左右3箇所づつ)へ。4箇所でOKな場合も。
この動画がRBSとTAPのアプローチの違いとして一番わかりやすかった。
https://www.youtube.com/watch?v=f_nLAimVagE


TAP
・TAP ブロックで確実なのはTh 7から。
・側方TAPよりも肋骨弓下斜角TAPの方が効果があるとの報告も。
Sensory Assessment and Regression Rate of Bilateral Oblique Subcostal Transversus Abdominis Plane Block in Volunteers.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29278604
20人の健康なボランティアを対象に肋骨弓下斜角TAPを行なってその広がり、効果範囲をみたもの。
・高齢者で筋肉の層がわかりにくい場合は最も暗い(黒い)層が腹横筋。外腹斜筋と内腹斜筋はエコーをスライドさせると、それぞれ違う方向に筋繊維が動くことが確認できる。

QLB
・Anteriorアプローチ以外は仰臥位で可能。
・ただし、太っている患者さんではお肉を持ち上げてもらうことも必要。
・コンベックスプローべで行なった方がQLの筋肉が黒く見えてやりやすい。
・QLBもTh 7から。慣れたらTAPより簡単かも。
・QLBは下肢神経にまで影響が及ぶことがあるので、量はTAPより少なめ。



年を取っても、体系的に勉強することの大切さを感じる。




2017/05/23

TKAに対する術後鎮痛


Anesthesiology 2017 June にTKAの術後鎮痛についてのRCTの論文が載っていた。
http://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2608336

Anesthesiologyはpodcastも配信。でも英語がNEJMより格段に聞き取りにくい。

TKAを受ける患者165人を3群に分けて術後鎮痛効果を比較した。
1) 大腿神経ブロック(持続も行う)+坐骨神経ブロック
2) 局所関節麻酔 ropibacaine (体重によってグループ分けされているが最低でも200mg)
3) 局所関節麻酔 liposomal bupivacaine (同じく最低でも266mg)

そしてPOD0,1,2の疼痛評価では差を認めなかったと。

硬膜外からブロックへの流れがあったが、
これからはブロックから局所麻酔の流れとなるんだろうか。いや、それは限定的かな。

2017/01/29

帝王切開の昇圧でNorepineohrineを使用するか?


Anesthesiology 2015 に乗っていた論文 香港から。

Randomized double-blinded comparison of norepinephrine and phenylephrine for maintenance of blood pressure during spinal anesthesia for cesarean delivery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25635593
Anesthesiology. 2015 Apr;122(4):736-45.


C/Sで spinal を行った際の血圧低下に対しては、ネオシネジン(フェニレフリン)を使用することが推奨されているが、反応性の徐脈およびそれにともなうCOの低下を認めることがある。ノルアドレナリンを使用することで、この徐脈とCO低下を抑制できるのではないか?という仮説のもの、フェニレフリンとノルアドレナリン(NAD)とのRCTを実施。

患者は104人のASA 1.2 の妊産婦 体重 50-100kgであること、身長140-180cmであることとした。血圧は非観血で児娩出まで1分ごとに、COについては suprasternal Dopplerを使用して5分ごとに測定。
投与濃度は以下とした。
フェニレフリン濃度 0.1mg/ml
ノルアドレナリン濃度 0.005mg/ml  力価が20倍であるとの論文より算出

結果、HRはNAD群の方が高く、COもNAD群の方が高かった。SVRはフェニレフリン群の方が高かった。臍帯血のガス分析結果では、NAD群でGluが高かったが、薬剤の血中濃度には差を認めなかった。

NADの方がβに対するアゴニストもあるため、HRも維持でき、COもkeepできる。
胎盤も通過せず、ネオシネジンよりもいいとのこと。


しかし、末梢からNADを投与するのはみんな抵抗があるのだろうか。
薄い量であれば、最近抵抗がないが、C/Sでルーチンに使用するには敷居が高い。
心疾患を持っている妊婦さんであれば、フェニレフリンよりもNADの方がいいかもしれない。

2015/12/10

epidural anesthesia 血小板減少時の対応

硬膜外麻酔の適応なんて、基本的なこと…と思っていたが、奥が深いな。

1. Millerの適応基準
絶対的禁忌として、1)患者の拒否、2)皮膚穿刺部位の観戦、3)全身性重症感染症、4)凝固障害、5)頭蓋内圧亢進がある。
相対的禁忌として、1)循環血液量減少、2)中枢神経系疾患、3)慢性腰痛症がある。

2. 血小板減少と硬膜外麻酔
1988年の論文(1)では硬膜外麻酔は血小板10万以下ではするべきではないとされていた。しかし2010年のBJH (2)では硬膜外麻酔では血小板数8万以上、腰椎穿刺では血小板4万以上あれば「安全」に行うことができるとしている。硬膜外麻酔は5万以下ではするべきではないが、5-8万では患者個別に検討するべきである。一般的に(肝切を含めて)血小板8万以上を適応基準としているものが多い(文献多数)。
2015年の10月のA&Aに血小板減少妊婦に対するEpiについてのretro-cohort studyが掲載された(3)。102人の血小板<10万の患者で71人に硬膜外麻酔が施行。血腫の合併症は0であった。しかしそもそも大規模studyで血腫の合併症発生率は1/18-19万件という割合(4,5)。小規模studyでは血小板減少がこの割合にどの程度影響を与えるかは結論をだせないだろう。
血小板減少といえばITPがあるが、ITPの患者でも血小板が8万あれば硬膜外麻酔をさしてよいとのガイドラインがでている(6)。産科麻酔科医は5万あれば十分と考えているとことも紹介されている(7)。ITP妊婦の経腟分娩はPLT 3万以上であればよい。
肝硬変患者では術後2日目をピークに血小板が下がる(8)。このため肝硬変患者では硬膜外カテーテルを抜去するのは5-7日後がよいとされている。

3. 小児での硬膜外麻酔の適応は何歳から?
教科書では1歳以上から可能ではあるが、6歳以上からの施行が望ましいとしている。しかし2014年のPediatr Anesthに新生児および乳児におけるneuraxial blockのreview(9)では、新生児からやっている施設もある。0.5-0.8mg/kgの0.25%bupivacaineの単回投与が多い。

4. 硬膜外麻酔でなければいけない症例
硬膜外麻酔がなければだめ!!というような状況というのは本当に少ないような気がしてきた。しかし、産科麻酔の分野ではくも膜下麻酔はできないが、硬膜外麻酔でC-sectionを乗りきったという文献があり、こういう時には硬膜外麻酔が有用であったと思うのであろう。
透析施行妊婦のC-section (10)
脊椎小脳変性症妊婦のC-section(11)

参考文献
1) Obstet Gynecol. 1988 Jun;71:918-20.
2) Br J Haematol. 2010 Jan;148(1):15-25.
3) Anesth Analg. 2015 Oct;121(4):988-91.
4) Can J Anaesth. 1996 Dec;43(12):1260-71. 一般外科における硬膜外麻酔
5) Anesthesiology. 2006 Aug;105(2):394-9. 帝王切開における硬膜外麻酔
6) 「妊娠合併特発性血小板減少性紫斑病診療の参照ガイド」臨床血液 2014 ;55(8):934-947
このガイドラインの中でA&A2009: 09(2):648-60という論文が引用されているがこの論文が2009年までの先天性凝固異常に対するreviewとして優れている。中には妊婦でPLT 2万だったがepiをさした(L/Dに気がつかずに)が合併症なかったというような論文もあった(Anaesthesia. 1989 Sep;44(9):775-7)。
7) Blood. 2010 Jan 14;115(2):168-86.
8) J Anesth. 2014 Aug;28(4):554-8.
9) Paediatr Anaesth. 2014 Jun;24(6):553-60
10) Can J Anaesth. 2007 Jul;54(7):556-60.
11) Can J Anaesth. 2007 Jun;54(6):467-70.

硬膜外ステロイドのリスク FDA勧告


最近ペインを全く勉強していない。
ペインの領域で、欧米では腰部脊柱管狭窄症に対して硬膜外ステロイドの投与は一般的なものらしい。というか、最近増加している。

それに対してFDAが警告を発した。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1511754
硬膜外ステロイド投与により、17年間で90名のくも膜下への誤投与、脊損が発生しているとのこと。アメリカでは2013年だけでも42万人の65歳以上の高齢者に対して計130万回硬膜外ステロイド投与が行われている(65歳以下のデータもグラフであり)。
すべてのステロイド薬に硬膜外投与についての警告文を載せるようにとのお達し。

Epidural Corticosteroid Injections for Radiculopathy and Spinal Stenosis: A Systematic Review and Meta-analysis.
Ann Intern Med. 2015 Sep 1;163(5):373-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26302454
メタアナリス。脊柱管狭窄症や神経根症状に対する硬膜外ステロイドは短期間で除痛と可動性の向上を示すが、持続性はない。また手術適応への期間をのばすわけでもないと。

A randomized trial of epidural glucocorticoid injections for spinal stenosis.
N Engl J Med. 2014 Jul 3;371(1):11-21.
NEJMにも2014年に論文が載っていた!
リドカイン単独とリドカイン+ステロイドの硬膜外投与を比較。ステロイドを追加した群での治療効果の優位性は認められなかった。

Mindsでは「効果はあるが、エビデンスは低い」。
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php

-------
なぜアメリカで硬膜外ステロイドが「流行っている」のかは謎。
ドロペリドールもそうだけど、FDAの勧告はなかなか悩ましい。



2015/06/21

epidural insertion after general anesthesia

全身麻酔後に硬膜外麻酔を行うのは安全か? 

安全じゃないやろーとわかっているが、硬膜外の体位が取りづらい
高齢者等では全身麻酔後に硬膜外を行いたくなってしまう。

全身麻酔後に硬膜外麻酔と行ったら、Th5以下の対麻痺が出現したという報告
もともと椎間板ヘルニアの術後であった患者さん。MRIではT4 T5に空気塞栓像があり、これが麻痺の原因になっていたと考えられた。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9552788

これはepiとGAがどちらが先かはわからないが、脊損になった報告
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18652107

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8725601


2015/03/31

脊椎手術後のNeuraxial Blockageは相対的禁忌か

キーワード「Previous lumbar spinal surgery(PLSS)」を用いてPubmedで芋づる式に文献を拾ってみました。といっても少ないですが。

 そもそも「脊椎手術後の患者に硬膜外麻酔、腰椎麻酔は相対的禁忌」とされた歴史的経緯はさぐると、1956年のNEJMの論文(1)で “spinal anesthesia should not be givent to a patient with affliction of the central nervous system or spinal column”という一文から、脊椎手術(特に腰椎の手術)後の硬膜外麻酔、およびspinalが避けられるようになった。しかしこの論文では手術後のneuraxial blockが合併症を増やすという研究ではなかった。
 1980年にA&Aに33例の腰椎手術後の患者にspinal を行ったが、特に合併症はなかったとの報告がされ(2)、「相対的禁忌」に疑問が呈されたきっかけとなった。この報告(clinical report)での成功率は100%となっている。
 さらに1990年にはBJAに脊椎術後の硬膜外麻酔が合併症を増やさないとする論文が掲載された(3)。1381人の硬膜外麻酔を行った患者のうち、57人が脊椎手術後に硬膜外麻酔を行っており、成功率は91.2%であった。3人で技術的な困難があり、2人に不適切な薬液の広がりが認められたとしている。2009年に韓国から報告されたPLSS後CSEAの合併症の発生においても同様に差は認めなかったとの報告があるが、やはり、PLSS後のCSEAの方が薬剤が高位にまで広がることを指摘している(4)。
 
 文献の経緯をみると、1990年〜2000年にかけて「脊椎手術後でもneuraxial blockは相対的禁忌ではない」という風潮(?)が高まってきたようだ。しかしここまでの文献はどれもsample数が少ない。 
 そこへ2010年、Mayo Clinicから気合の入った研究がA&Aにだされた(5)。これ以降、だれも脊椎手術後のneuraxial blockが相対的禁忌と言えなくなってしまったのではないだろうか…(言い過ぎか?)
 Mayoの論文はMayo Clinicで過去15年間にneuraxial blockをうけた15歳以上の成人患者から、施術前に脊椎症状もしくは脊椎手術の既往のある患者を洗い出してその合併症を追跡したものである。抽出した患者数は937人。そのうち207人が脊椎手術の既往を持っていた。結果は、脊椎手術の既往の有無でneuraxial blockの合併症の発生率には差を認めなかった(table3)。脊柱管に病変のある患者では施術後の合併症が高い傾向があった。
脊椎手術を行った患者のうち83%(165人)は、創部から2椎間以内の位置でneuraxial blockが行われていた。

参考文献)
(1)  Exacerbation of Pre-Existing Neurologic Disease after Spinal Anesthesia. N Engl J Med. 1956 Nov 1;255(18):843-9.
(2)  (1)  Spinal anesthesia for surgery in patients with previous lumbar laminectomy. Anes & Anal 1980 Nov 59(11):881-882
Anes & Anal 1980 Nov 59(11):881-882
(3)  Extradural anaesthesia in patients with previous lumbar spine surgery.Br J Anaesth. 1990 Aug;65(2):237-9.
(4)  Spinal Anesthesia with Isobaric Tetracaine in Patients with Previous Lumbar Spinal Surgery. Yonsei Med J. 2009 Apr 30;50(2):252-6
(5)  Neuraxial blockade in patients with preexisting spinal stenosis, lumbar disk disease, or prior spine surgery: efficacy and neurologic complications. Anesth Analg. 2010 Dec;111(6):1511-9
麻酔科トラブルシューティング A to Z 文光堂

2013/05/12

pre-eclampsiaでもEpi + Spinal で帝王切開


Low-dose combined spinal-epidural anaesthesia vs. conventional epidural anaesthesia for Caesarean section in pre-eclampsia: a retrospective analysis. 
Van de Velde M, Berends N, Spitz B, Teunkens A, Vandermeersch E.
Eur J Anaesthesiol. 2004 Jun;21(6):454-9. PubMed PMID: 15248625.


ベルギーからの報告。妊娠高血圧腎症(pre eclampsia) における帝王切開での麻酔方法の比較Epi  vs CSE( Epi + Spinal ) で血圧および胎児の状態の比較を行った。
2004年と少し古いが、4年間に妊娠高血圧腎症と診断された106のデータを後ろ向きに解析。drop out、全身麻酔を除いた77 patientsで62人がEpi、15人がCSEを選択されていた。(意外だったが、もともと妊娠高血圧腎症合併の場合はSpinalによる低血圧を嫌ってEpiのみで行うことが多いらしい)


結果

             Epi    CSE
エフェドリンの使用         3.6  +- 4.6       14.6 +- 4.4  
輸液量はEpiが多い臍帯血pHはEpiの方が低い(低いといっても 7.26)
血圧の推移に差はなし。(エフェドリン使用量は違うが)


結論:妊娠高血圧腎症合併帝王切開でもCSEは問題ない。
昨今の流れはCSEの方向みたいだ。


2013/05/04

Local anesthetic systemic toxicity



ASRA practice advisory on local anesthetic systemic toxicity. 


Neal JM, Bernards CM, Butterworth JF 4th, Di Gregorio G, Drasner K, Hejtmanek  MR, Mulroy MF, Rosenquist RW, Weinberg GL.
Reg Anesth Pain Med. 2010 Mar-Apr;35(2):152-61. doi: 10.1097/AAP.0b013e3181d22fcd. Review. PubMed PMID: 20216033.

局所麻酔中毒(LAST)ガイドライン

そもそも局所麻酔薬は
1880年代にコカインが使用されたときから認識されていた。
 痙攣および呼吸困難が症状としてみられた。
1904年にプロカインが登場。LASTはやはり大きな問題だった。
1960年代にプビバカイン登場、1970年代にetidocaine、1980年代にロピバカインがそれぞれ
使用され始めたが、1969年の時点で900人に1人の割合で局所神経ブロックに伴う死亡例が報告されている。

LASTに対してLipid emulsion が有効であることが初めてCase reportされたのは2006年のこと
 http://journals.lww.com/anesthesiology/Fulltext/2006/07000/Successful_Use_of_a_20__Lipid_Emulsion_to.33.aspx)

・LASTの主な症状としては心毒性および中枢神経症状である。
・心毒性は局所麻酔が心臓のNaチャネルをブロックすることが直接的な原因。
・リドカインと比較してブピバカイン、etidocaine、ロピバカインはNaチャネルとの結合時間が長く、また強力に結合するため、症状がおきやすい。

予防方法
・早期にカテーテルの血管内挿入を発見することが重要でありデバイスの改善により件数は減っているが、近年再度報告が増加傾向にある。
・LASTのリスク:年齢 4ヶ月以下、70歳以上。心臓の伝導障害、虚血性心疾患の既往が。
・LASTの予防(痙攣の予防):フェンタニル100mcgおよびエピネフリン。神経ブロックではエコーガイド下に行うことが有効。(妊婦では)
・カテーテルへの薬剤の投与時は常に吸引を行う(行っても2%では血管内に入っていてもわからないとされている)

症状

・LASTの症状は多様で典型的ではない場合がある。

・聴覚変化、口の周囲のしびれ、金属の味がある、不穏、多弁などが初期症状としてあわれ、痙攣や昏睡を引き起こす。心毒性は中枢神経症状に伴うことが多く、単独ではない。
中枢神経症状によりいったんは高血圧、頻脈、心室性不整脈をおこすことがあるが、その後徐脈、心静止、低血圧となる。
・症状は循環が1巡する30-45秒後以降いつでも出現する。1-5分以内に出現することが多いが、25%では5分以降に症状が出現。
・注意深い観察が必要。

治療
・Airwayの確保が重要。
・低酸素とアシドーシス(LASTを悪化させる)を防ぐための対処療法を行う。
・痙攣に対してはベンゾジアゼピンが有効。プロポフォール、チオペンタールも代替としては認められているが、低血圧等を助長するのであまりおすすめできない。
・サクシニルコリン等の筋弛緩薬を使用してもよい。
・心停止がおきたらACLSガイドラインに従って治療を開始。
・しかしエピネフリンやバソプレシンはあまりおすすめできない。エピネフリンしようするならsmall dose( 10-100mcg)のボーラスで。
・CCB、βblockerもだめ。
・アミオダロンはいいが、リドカインはもちろん禁忌。 
・Lipid emulsion therapyが推奨。
まず、1.5ml/kgの20%lipid(イントラリピッドなど)をボーラス
0.25ml/kgを10分かけて投与。
それでも循環不全であれば0.5ml/kgをボーラス。 トータル 10ml/kg程度が上限。
プロポフォールも脂肪製剤だが、そもそも10%だし、この容量で使うと低血圧になるので禁忌。
・これでもだめな場合はCPBを使用する。





2013/04/27

Spinal + epi vs epi in Caesarian sections


Effects of spinal anaesthesia versus epidural anaesthesia for caesarean section on postoperative analgesic consumption and postoperative pain.
Schewe JC, Komusin A, Zinserling J, Nadstawek J, Hoeft A, Hering R.
Eur J Anaesthesiol. 2009 Jan;26(1):52-9. doi: 10.1097/EJA.0b013e328318c639. PubMed PMID: 19122553.


Epiを挿入した妊産婦で選択的帝王切開におけるspinal anesthesia vs epidural anesthesiaの比較
spinalでの麻酔で帝王切開した患者も術後はepiを使用。帝王切開時にどっちを使うかのRCT。

epiでの麻酔ではどのくらいの麻酔薬を入れるのか?を知りたかったのだが、書いていない。
結論としては、spinalの方がよさそう。術後のVASが低いし、悪心、嘔吐も少ない。
どちらもsufentanilを添加している(epi 10mcg  spinal 5mcg) 

P: elective Caesarian section 132 patients 
I:  spinal anaesthesia  
C: epidural anaesthesia 
O: preoperative pain, motor blockage period, 

Epiでは麻酔から手術開始まで平均20分 spinalでは5分。
operation time delivery timeはかわらず。
Epiでは術後補助鎮痛(ジクロフェナク使用)が有意に多い。術中の痛みでもepiの方が有意に痛い。mortor brockage priodも長い。

これでは epiで麻酔を行う意味はあるのか? となるが、
手術室にきたときにすでに入っている(効果のあるEpi)であれば使いやすい。
患者が精神的に興奮していたり、出産にあたって感情的になっていて、なかなか
spinalが難しい場合の手段として有効か。



2013/04/23

Local anesthesia comparison for Caesarean section


Spinal VS epi 

Spinal versus epidural anaesthesia for caesarean section.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15106218

Spinnal + epi  VS epi

Combined spinal-epidural versus epidural analgesia in labour.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14583973
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23076897

2013/03/14

Epidural analgesia in chest trauma



Pain-associated Respiratory Failure in Chest Trauma.
Ahn Y, Görlinger K, Alam HB, Eikermann M.
Anesthesiology. 2013 Mar;118(3):701-708. PubMed PMID: 23403516.


胸部外傷で硬膜外麻酔によって呼吸不全を防ぐことができる。
クロピドグレルを使用している患者でも評価を行い、痛みによる呼吸不全を回避する
ために硬膜外麻酔が有効だったというCase。
しかし硬膜外血腫のリスクはつきまとうため、凝固系の評価が必須であると。



key words
Injury Severity Score (ISS range 1-75)

Thromboelastogram: 外傷における出血と血栓の評価(日本でもあるのか?)
Point of care analysis/testing: 患者のベッドサイドで医療者自らが行う検査のこと。


2013/03/13

Intravenous lipid emulsion


Intravenous lipid emulsion inclinical toxicology.
Rothschild L, Bern S, Oswald S, Weinberg G.
Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2010 Oct 5;18:51. doi:
10.1186/1757-7241-18-51. Review. PubMed PMID: 20923546; PubMed Central PMCID:
PMC2958894.

JSEPTICのMLでも話題になっていた。
MLではとてつもない量が投与されていたが、2010年のRecommendationでは

1.5 mL/kg 20% lipid bolus with subsequent 0.25 mL/kg/minute infusion is the currently recommended protocol. Rebolus and increased infusion may be considered if circulatory stability is not attained, but 10 mL/kg lipid emulsion for 30 minutes is the upper limit recommended for initial dosing.  

と書かれている。だいたいの人はイントラリピッド100mlに相当する。
(最大は500mlくらいか)

もともと神経ブロックなどの局所麻酔薬による全身性中毒症状に対しての効果
が指摘され、それが他の中毒症(TGA、CCB、βBlockerなど)でも応用できることが
わかったようだ。

その機序としては、lipid silk とされる膜を形成することで臓器保護を行う
脂肪酸として細胞内でATPの枯渇を防ぐなど、様々な仮説があるが、
わかっていないことも多い。

何を飲んだかわからない中毒症状では、最終手段となりそう。