2015/12/10

硬膜外ステロイドのリスク FDA勧告


最近ペインを全く勉強していない。
ペインの領域で、欧米では腰部脊柱管狭窄症に対して硬膜外ステロイドの投与は一般的なものらしい。というか、最近増加している。

それに対してFDAが警告を発した。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1511754
硬膜外ステロイド投与により、17年間で90名のくも膜下への誤投与、脊損が発生しているとのこと。アメリカでは2013年だけでも42万人の65歳以上の高齢者に対して計130万回硬膜外ステロイド投与が行われている(65歳以下のデータもグラフであり)。
すべてのステロイド薬に硬膜外投与についての警告文を載せるようにとのお達し。

Epidural Corticosteroid Injections for Radiculopathy and Spinal Stenosis: A Systematic Review and Meta-analysis.
Ann Intern Med. 2015 Sep 1;163(5):373-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26302454
メタアナリス。脊柱管狭窄症や神経根症状に対する硬膜外ステロイドは短期間で除痛と可動性の向上を示すが、持続性はない。また手術適応への期間をのばすわけでもないと。

A randomized trial of epidural glucocorticoid injections for spinal stenosis.
N Engl J Med. 2014 Jul 3;371(1):11-21.
NEJMにも2014年に論文が載っていた!
リドカイン単独とリドカイン+ステロイドの硬膜外投与を比較。ステロイドを追加した群での治療効果の優位性は認められなかった。

Mindsでは「効果はあるが、エビデンスは低い」。
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php

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なぜアメリカで硬膜外ステロイドが「流行っている」のかは謎。
ドロペリドールもそうだけど、FDAの勧告はなかなか悩ましい。