2013/05/04

Local anesthetic systemic toxicity



ASRA practice advisory on local anesthetic systemic toxicity. 


Neal JM, Bernards CM, Butterworth JF 4th, Di Gregorio G, Drasner K, Hejtmanek  MR, Mulroy MF, Rosenquist RW, Weinberg GL.
Reg Anesth Pain Med. 2010 Mar-Apr;35(2):152-61. doi: 10.1097/AAP.0b013e3181d22fcd. Review. PubMed PMID: 20216033.

局所麻酔中毒(LAST)ガイドライン

そもそも局所麻酔薬は
1880年代にコカインが使用されたときから認識されていた。
 痙攣および呼吸困難が症状としてみられた。
1904年にプロカインが登場。LASTはやはり大きな問題だった。
1960年代にプビバカイン登場、1970年代にetidocaine、1980年代にロピバカインがそれぞれ
使用され始めたが、1969年の時点で900人に1人の割合で局所神経ブロックに伴う死亡例が報告されている。

LASTに対してLipid emulsion が有効であることが初めてCase reportされたのは2006年のこと
 http://journals.lww.com/anesthesiology/Fulltext/2006/07000/Successful_Use_of_a_20__Lipid_Emulsion_to.33.aspx)

・LASTの主な症状としては心毒性および中枢神経症状である。
・心毒性は局所麻酔が心臓のNaチャネルをブロックすることが直接的な原因。
・リドカインと比較してブピバカイン、etidocaine、ロピバカインはNaチャネルとの結合時間が長く、また強力に結合するため、症状がおきやすい。

予防方法
・早期にカテーテルの血管内挿入を発見することが重要でありデバイスの改善により件数は減っているが、近年再度報告が増加傾向にある。
・LASTのリスク:年齢 4ヶ月以下、70歳以上。心臓の伝導障害、虚血性心疾患の既往が。
・LASTの予防(痙攣の予防):フェンタニル100mcgおよびエピネフリン。神経ブロックではエコーガイド下に行うことが有効。(妊婦では)
・カテーテルへの薬剤の投与時は常に吸引を行う(行っても2%では血管内に入っていてもわからないとされている)

症状

・LASTの症状は多様で典型的ではない場合がある。

・聴覚変化、口の周囲のしびれ、金属の味がある、不穏、多弁などが初期症状としてあわれ、痙攣や昏睡を引き起こす。心毒性は中枢神経症状に伴うことが多く、単独ではない。
中枢神経症状によりいったんは高血圧、頻脈、心室性不整脈をおこすことがあるが、その後徐脈、心静止、低血圧となる。
・症状は循環が1巡する30-45秒後以降いつでも出現する。1-5分以内に出現することが多いが、25%では5分以降に症状が出現。
・注意深い観察が必要。

治療
・Airwayの確保が重要。
・低酸素とアシドーシス(LASTを悪化させる)を防ぐための対処療法を行う。
・痙攣に対してはベンゾジアゼピンが有効。プロポフォール、チオペンタールも代替としては認められているが、低血圧等を助長するのであまりおすすめできない。
・サクシニルコリン等の筋弛緩薬を使用してもよい。
・心停止がおきたらACLSガイドラインに従って治療を開始。
・しかしエピネフリンやバソプレシンはあまりおすすめできない。エピネフリンしようするならsmall dose( 10-100mcg)のボーラスで。
・CCB、βblockerもだめ。
・アミオダロンはいいが、リドカインはもちろん禁忌。 
・Lipid emulsion therapyが推奨。
まず、1.5ml/kgの20%lipid(イントラリピッドなど)をボーラス
0.25ml/kgを10分かけて投与。
それでも循環不全であれば0.5ml/kgをボーラス。 トータル 10ml/kg程度が上限。
プロポフォールも脂肪製剤だが、そもそも10%だし、この容量で使うと低血圧になるので禁忌。
・これでもだめな場合はCPBを使用する。