2017/01/29

帝王切開の昇圧でNorepineohrineを使用するか?


Anesthesiology 2015 に乗っていた論文 香港から。

Randomized double-blinded comparison of norepinephrine and phenylephrine for maintenance of blood pressure during spinal anesthesia for cesarean delivery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25635593
Anesthesiology. 2015 Apr;122(4):736-45.


C/Sで spinal を行った際の血圧低下に対しては、ネオシネジン(フェニレフリン)を使用することが推奨されているが、反応性の徐脈およびそれにともなうCOの低下を認めることがある。ノルアドレナリンを使用することで、この徐脈とCO低下を抑制できるのではないか?という仮説のもの、フェニレフリンとノルアドレナリン(NAD)とのRCTを実施。

患者は104人のASA 1.2 の妊産婦 体重 50-100kgであること、身長140-180cmであることとした。血圧は非観血で児娩出まで1分ごとに、COについては suprasternal Dopplerを使用して5分ごとに測定。
投与濃度は以下とした。
フェニレフリン濃度 0.1mg/ml
ノルアドレナリン濃度 0.005mg/ml  力価が20倍であるとの論文より算出

結果、HRはNAD群の方が高く、COもNAD群の方が高かった。SVRはフェニレフリン群の方が高かった。臍帯血のガス分析結果では、NAD群でGluが高かったが、薬剤の血中濃度には差を認めなかった。

NADの方がβに対するアゴニストもあるため、HRも維持でき、COもkeepできる。
胎盤も通過せず、ネオシネジンよりもいいとのこと。


しかし、末梢からNADを投与するのはみんな抵抗があるのだろうか。
薄い量であれば、最近抵抗がないが、C/Sでルーチンに使用するには敷居が高い。
心疾患を持っている妊婦さんであれば、フェニレフリンよりもNADの方がいいかもしれない。