2015/12/13

人工心肺中のアシドーシスの原因


人工心肺から麻酔側に帰ってくるときにpHが7.21とかだと、「むむむむ…」と思う。

hypoperfusionが原因かと考えていたが、hypoperfusion以外の原因の方が大きいという論文をみつけた。たしかにindex 2.4で管理していてhypoperfusionになるとしたらはじめの体表面積の計算方法がおかしいんじゃないかという話になるのが筋だろう。

Metabolic acidosis developing during cardiopulmonary bypass is related to a decrease in strong ion difference.
Perfusion. 2004 May;19(3):145-52.
イギリスからの論文。92人の人工心肺を使用した開心術の患者で麻酔導入前とCPB後で血ガスを測定しアシドーシスの原因を検討した。
CPB中にアシドーシスが進む原因を3つあげている。
・hypoperfusion
 嫌気性代謝によって乳酸が作られることでアシドーシス。
・イオン変動
 strong ion difference(SID) =  [Na+] + [K+] + [Mg2+] + [Ca2+] - [Cl-] + [lactate]
 Clの多い輸液がなされることによってSIDが減少する。
・血液希釈
 希釈によりタンパク濃度がさがりbuffering capacityが減ることでアシドーシスとなる。
hypoperfusionよりもCBP時に投与される輸液が寄与している可能性の方が高いという結論。
たしかに初回とCPB後でlactateの値はほとんど変わっていない。
しかし、Clの値も特に変わっていない。しかし個々の電解質ではそれほど差はないが、SIDとしてみると低下し、またAGも-6.2と開いている。
しかしこの論文の中ではCPB中のアシドーシスはどうすべきかまでは記述なし。

NEJMのアシドーシスreview。Stewart approachでのstring ion differenceの意義述べている。


最終的に、どこまで人工心肺中のアシドーシスを補正するのがよいのか、というところの結論までたどりつきたいのだが…





Total blood volume in cardiac surgery

循環血液量(TBV)は大体 70ml/kgとか、体重の13%と記憶していたが、
かなりばらつきがあることが知られている。 35-130ml/kg程度のばらつきがあるようだ。

Harvard medical schoolのDr. Hilberath(発音はわからない…)が面白い論文2本出していた。

Blood volume measurement by hemodilution: association with valve disease and re-evaluation of the Allen Formula.
Perfusion. 2015 May;30(4):305-11. doi:
心臓手術を受ける患者でのCPBプライミング時の希釈を利用したTBV
AVR, CABG, MVP/MVRの患者で比較すると、AVR, CABGの患者に比べてMVP/MVRの患者ではTBVが多い傾向にあった(43-53ml/kg vs 70ml/kg) 
また、TBVの計算にはAllen's formulaが使用されるが、心臓手術を受ける患者ではこの公式に当てはまらない場合が多く、modifiedした公式を使用すべきとしている。 

Blood volumes in cardiac surgery with cardiopulmonary bypass.
Perfusion. 2015 Jul;30(5):395-9. 
これは疾患別に分けていないけど、ほぼ同じ内容。
TBVを正確に把握する必要性として、ヘパリンやカテコラミンの投与量への影響、不必要な輸血の軽減、人工心肺装置の適切な選択(リザーバーを何Lにするかなど)をあげている。

MRやMSの人はどちらかというと、心不全治療として術前に利尿薬でかなりしぼられてきている印象があるのだが、これも国や病院が異なると違うののだろうか。
CBP前のヘパリン投与量も体重*300単位で決めることが多いが、TBVに基づいた投与量の方が正確なんだろう。


2015/12/10

epidural anesthesia 血小板減少時の対応

硬膜外麻酔の適応なんて、基本的なこと…と思っていたが、奥が深いな。

1. Millerの適応基準
絶対的禁忌として、1)患者の拒否、2)皮膚穿刺部位の観戦、3)全身性重症感染症、4)凝固障害、5)頭蓋内圧亢進がある。
相対的禁忌として、1)循環血液量減少、2)中枢神経系疾患、3)慢性腰痛症がある。

2. 血小板減少と硬膜外麻酔
1988年の論文(1)では硬膜外麻酔は血小板10万以下ではするべきではないとされていた。しかし2010年のBJH (2)では硬膜外麻酔では血小板数8万以上、腰椎穿刺では血小板4万以上あれば「安全」に行うことができるとしている。硬膜外麻酔は5万以下ではするべきではないが、5-8万では患者個別に検討するべきである。一般的に(肝切を含めて)血小板8万以上を適応基準としているものが多い(文献多数)。
2015年の10月のA&Aに血小板減少妊婦に対するEpiについてのretro-cohort studyが掲載された(3)。102人の血小板<10万の患者で71人に硬膜外麻酔が施行。血腫の合併症は0であった。しかしそもそも大規模studyで血腫の合併症発生率は1/18-19万件という割合(4,5)。小規模studyでは血小板減少がこの割合にどの程度影響を与えるかは結論をだせないだろう。
血小板減少といえばITPがあるが、ITPの患者でも血小板が8万あれば硬膜外麻酔をさしてよいとのガイドラインがでている(6)。産科麻酔科医は5万あれば十分と考えているとことも紹介されている(7)。ITP妊婦の経腟分娩はPLT 3万以上であればよい。
肝硬変患者では術後2日目をピークに血小板が下がる(8)。このため肝硬変患者では硬膜外カテーテルを抜去するのは5-7日後がよいとされている。

3. 小児での硬膜外麻酔の適応は何歳から?
教科書では1歳以上から可能ではあるが、6歳以上からの施行が望ましいとしている。しかし2014年のPediatr Anesthに新生児および乳児におけるneuraxial blockのreview(9)では、新生児からやっている施設もある。0.5-0.8mg/kgの0.25%bupivacaineの単回投与が多い。

4. 硬膜外麻酔でなければいけない症例
硬膜外麻酔がなければだめ!!というような状況というのは本当に少ないような気がしてきた。しかし、産科麻酔の分野ではくも膜下麻酔はできないが、硬膜外麻酔でC-sectionを乗りきったという文献があり、こういう時には硬膜外麻酔が有用であったと思うのであろう。
透析施行妊婦のC-section (10)
脊椎小脳変性症妊婦のC-section(11)

参考文献
1) Obstet Gynecol. 1988 Jun;71:918-20.
2) Br J Haematol. 2010 Jan;148(1):15-25.
3) Anesth Analg. 2015 Oct;121(4):988-91.
4) Can J Anaesth. 1996 Dec;43(12):1260-71. 一般外科における硬膜外麻酔
5) Anesthesiology. 2006 Aug;105(2):394-9. 帝王切開における硬膜外麻酔
6) 「妊娠合併特発性血小板減少性紫斑病診療の参照ガイド」臨床血液 2014 ;55(8):934-947
このガイドラインの中でA&A2009: 09(2):648-60という論文が引用されているがこの論文が2009年までの先天性凝固異常に対するreviewとして優れている。中には妊婦でPLT 2万だったがepiをさした(L/Dに気がつかずに)が合併症なかったというような論文もあった(Anaesthesia. 1989 Sep;44(9):775-7)。
7) Blood. 2010 Jan 14;115(2):168-86.
8) J Anesth. 2014 Aug;28(4):554-8.
9) Paediatr Anaesth. 2014 Jun;24(6):553-60
10) Can J Anaesth. 2007 Jul;54(7):556-60.
11) Can J Anaesth. 2007 Jun;54(6):467-70.

硬膜外ステロイドのリスク FDA勧告


最近ペインを全く勉強していない。
ペインの領域で、欧米では腰部脊柱管狭窄症に対して硬膜外ステロイドの投与は一般的なものらしい。というか、最近増加している。

それに対してFDAが警告を発した。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1511754
硬膜外ステロイド投与により、17年間で90名のくも膜下への誤投与、脊損が発生しているとのこと。アメリカでは2013年だけでも42万人の65歳以上の高齢者に対して計130万回硬膜外ステロイド投与が行われている(65歳以下のデータもグラフであり)。
すべてのステロイド薬に硬膜外投与についての警告文を載せるようにとのお達し。

Epidural Corticosteroid Injections for Radiculopathy and Spinal Stenosis: A Systematic Review and Meta-analysis.
Ann Intern Med. 2015 Sep 1;163(5):373-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26302454
メタアナリス。脊柱管狭窄症や神経根症状に対する硬膜外ステロイドは短期間で除痛と可動性の向上を示すが、持続性はない。また手術適応への期間をのばすわけでもないと。

A randomized trial of epidural glucocorticoid injections for spinal stenosis.
N Engl J Med. 2014 Jul 3;371(1):11-21.
NEJMにも2014年に論文が載っていた!
リドカイン単独とリドカイン+ステロイドの硬膜外投与を比較。ステロイドを追加した群での治療効果の優位性は認められなかった。

Mindsでは「効果はあるが、エビデンスは低い」。
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php

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なぜアメリカで硬膜外ステロイドが「流行っている」のかは謎。
ドロペリドールもそうだけど、FDAの勧告はなかなか悩ましい。



ニトロールをHFpEF患者に投与すると活動性が低下するか?

HFpEFの治療戦略、ネガティブデータ。

Isosorbide Mononitrate in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1510774?query=featured_home

EFの保たれている心不全患者110人を対象として、Isosorbide Mononitrateを30mg, 60mg, 120mg/dayと漸増(6weeks ごと?)して投与した群と、プラセボを投与した群で投与終了後の活動性、QOLスコア、6分間歩行機能、NT-proBNPを測定し比較した。
結果、Isosorbide Mononitrateを投与された群の方が、活動性が低かった。QOLスコア、6分間歩行機能、NT-proBNPについては両群で差を認めなかった。


しかし HFpEFに関しては治療方法の研究でまったく成果がでない。

PDE阻害剤もRELAX studyの結果はnegativeであったし、ジギタリスもnegative、
β blockerが唯一の適応みたいだが、negativeな結果の研究も多い。

2015/12/08

Cardiac complication after major noncardiac surgery

非心臓手術後の心合併症(とくに心筋梗塞)について、NJEMにreviewが載っていた。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1502824

特に新しい知見があったわけではないけど、NEJMにこういうreviewが乗ると、
他科の先生や研修医と話がしやすくなる。

よくあること
「患者さんのNYHAを評価しようと思ったんだけど、最近ずっと寝たきりらしくって…」
「この患者さん心機能悪そうなんだけど、なんか追加の検査って要りますか?」

【疫学】
毎年世界中で2億人以上が大手術を受けている。そのうち45歳以上の1億人が周術期MIのリスクがある。

1)  91.5%は術後もトロポニンレベルは変わらないが、そのうちの1.1%が術後30日以内に死亡している。
2) 0.6%が非心臓疾患の影響でトロポニンの上昇を認め、そのうちの26.3%が30日以内に死亡している。
3) 3.3%がMIを発症する。症状を呈するのは65.3%のみ。34.7%は症状がない。症状あり、症状なしの30日死亡率はそれぞれ12.5%と9.7%。
4) 4.6%がMIの診断基準は満たさないがなんらかの心合併症を呈する。そのうちの30日死亡率は7.8%

全体として、この20年で術中の死亡はほとんど0に近い値(心臓外科を除くと10万件に1件以下)にまで低下したが、術後30日死亡率は1.5%程度でほぼ横ばいとなっている。
しかしこの要因としては、手術をうける患者のリスクの増加も考慮しなければならない。
術前イベントリスクとして、6ヶ月以内のCADイベント、3ヶ月以内の脳梗塞イベント、6ヶ月以内のPCI治療歴がある。こういった心血管疾患の治療後や合併症をもった患者の割合は増えている。

【術前のリスク評価】
術前リスク評価が重要な理由は、正確な予測が治療方針の決定に影響を与えるからである。評価方法として3つの方法を紹介
1) Clinical risk index 有名なものとして RCRIとNSQIP MICAがある。RCRIは古くから使われている心疾患評価方法ではあるが、最近の後ろ向き研究ではリスクの見積もりが50%ほど甘いという結果がでた。NSQIP MICAはRCRIよりも正確にリスク評価ができるとされているが、MIについてECG によるST segmentの上昇と新たに出現したblockでのみ評価し、biomakerを評価に加えていないことが欠点である。
2) シンチ、CCTA(coronary computed tomographic angiography) ガイドライン上は重篤心疾患のリスクが1%以上であれば、検査をすべきとされているが、実際に40歳以上で手術をうける患者の9%しかシンチはされていない。またMI発症した患者の1/3ではシンチがnegativeであった。RIRCのリスク評価とシンチの正確性とを比較した論文はなく、今後の研究が待たれる。CCTAはリスクを過大評価するリスクがある。
3) biomaker  BNP  > 92ngは周術期心疾患と強固な関連があり、シンチやCCTAと比較しても安価に検査ができるため、リスクのある患者では専門医にコンサルトする前に評価すべき項目である。

【術前の心疾患の治療】
coronaryの狭窄が70%以上の患者に対して行われた研究でも術前にPCIを行うメリットは否定された。しかしこの研究は不安定狭心症やLAD 基部の50%以上の狭窄がある患者、EF < 20%の患者等は除外されているため、「安定した狭心症の患者」では治療不要ということとなる。

【術中管理】
βブロッカーの使用:有名なPOISE trialで術中のβブロッカーの投与の有用性は否定されたが、POISE trialはそもそも投与量が多すぎるとの批判が多い。しかしPOISE trialを除いたβブロッカーのメタアナリシスでも術中の新たな投与によるメリットは否定的であり、心疾患をもち手術に臨む患者がβブロッカーを始めるなら術前数週間前からがよいとされている。
クロニジンとアスピリン:POISE-2 trialではクロニジンとアスピリンについての評価がなされたが、クロニジンについては効果は否定的、アスピリンについてはMIのリスクは減らさなかったが、出血のリスクが増えたとのことであり、これも否定的。
もともとアスピリンを飲んでいる患者では術後早期(8days以内)に再開した方がよい。
輸血について:貧血はMIのリスクとなるが、THAを対象とした患者で 目標Hb > 10g/dl群とHb > 8g/dl群で比較したが、10g/dl群での優位性はなく、Hb > 8g/dlを目標に輸血すればよさそう。

【術後管理】
術中と比較して、術後はモニタリングの間隔が開き「モニタリングされていない時間」が増える。このことがMIのリスクにつながる。
POISE-2trialでは、手術室での低血圧は平均15分程度であったが、病棟での低血圧は150分であった。また術後48時間以内に起きた低酸素血症のうち、発見されたのは5%であったとの報告がある。看護師が見つけられなかった低酸素血症のうち、38%は SpO2 < 90%が1時間以上続いていた。 
術後の低血圧と低酸素状態はMI発症のリスクを上げるため、術前評価でリスクを確認した患者では、術後の注意深いモニタリングを必要とする。
また、術後鎮痛薬の使用により、MIを発症しても症状がない患者が多い。リスクのある患者ではトロポニンの測定を定期的に行うことを提唱している論文もある。







2015/12/06

Amniotic fluid embolism

羊水塞栓症について

そもそも「塞栓」がこの疾患の主体ではないことが最近分かってきている。
羊水が母体の血液と混じり合うことで起きる炎症性の反応が強く出現した場合に起こる一種のアナフィラキシー反応である。

【病態と分類】
「心肺虚脱型」と「DIC先行型」というわけ方や「DIC先行型」を「子宮型」という場合も
いずれの場合にしても最終的にはショックおよびDICにいたる。DICは線溶亢進型。
リスク因子として、妊婦の年齢、誘発分娩が挙げられる。

【疫学】
イギリスでは1.9 /10万出産、オーストラリアでは6.1/10万出産
母体死亡率は50-60%程度 原因不明のDICとの診断になっている例も多い。
確定診断にいたることが難しい。診断の補助として補体C3、C4、C1インヒビター、亜鉛コプロポルフィリンなどがある。

【治療】
日本産婦人科医会の「母体安全への提言2011」による治療法の一例
ショックの治療に準じて循環動態を安定させる。
FFPを早期から投与する。 15単位以上の投与。
アンチトロンビンIIIの投与 3000単位(1バイアルが1500だから1バイアル)
トラムネキ酸 4000mgを1時間かけて投与

最近C1インヒビター製剤(血管浮腫の治療薬として使用されている)がAFEにも効果があるのではないかと注目されている。

心停止となった場合にECMO/PCPSまで使用するかどうかについてだが、使用して救命
できたとのcase reportが散見され、使用を検討する価値はある。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19527973
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20120905
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10942494  ECMOとIABPまで使用している。


参考文献--------------
英国、USA、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのAFEの疫学調査の結果
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22325370
母体安全への提言2011

機械弁術後の妊娠と抗凝固療法


機械弁でワーファリン内服の対応。

妊娠が判明した時点でワーファリンは中止し、ヘパリンに切り替えが必要。しかし器官形成期が過ぎればワーファリンに戻すことも可能。この辺りの妊娠中期から終期にかけての抗凝固管理方法についてはまだ結論がでていないようだ。
ヘパリン化していた妊婦がC-sectionとなった場合2時間以内にはEpi/spinalは行わない

今年のcirculationに欧州からの大規模論文があった。ROPAC study
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26100109
212人の機械弁挿入後妊娠患者の追跡調査。
4.7%で弁血栓のイベントが発生。23.1%で出血イベントが発生している。しかし58%の患者が合併症なく妊娠・出産ができた。ヘパリンと比較してワーファリンは流産、および後期の胎児死亡のリスクが高かった。

少し古いけど2012年の妊娠時の抗凝固療法についてのreview
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22634472
281の文献に対するreview
このreviewではワーファリンの催奇形性について疑問を呈している。ワーファリンの催奇形性のリスクは6.4%であり、ヘパリン投与群と大きな差を持たないという結論。
ワーファリンは催奇形性というより、(奇形による)流産のリスクが高い、all or nothingのリスクを持ち合わせると考えた方がいいのかもしれない。
ヘパリンはワーファリンと比較して機械弁血栓のリスクが高いことが指摘されており、1st trimesterのみヘパリン置換し、その後ワーファリンを使用した方が母体にとってもよさそうだ。






hydromorphoneとmorphineの違い

日本では発売されていないhydromorphone 「ヒドロモルフォン塩酸塩」
第一三共さんが、日本でも発売できないかと努力してくださっているみたいだが。

1) 投与量の違い
                                     iv                 po               po:iv       duration of action(hr)
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morphine                      10mg          30mg            3:1             3-4hr

hydromorphone             1.5mg        7.5mg           5:1             2-3hr
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BJAからのメタアナリシスでは、モルヒネに比べて鎮痛効果が高いとの結論がでていた。
しかし副作用については差はないようだ。

2) アメリカでの動向、使用感
米国で2010年から2013年においてモルヒネとhydromorphoneの使用状況についての大規模後ろ向きstudy。2011年から周術期においてはモルヒネに比較してhydromorphoneのほうが使用頻度が上回った。使いやすいということだろう。


しかしhydromorphoneのほうが、レスキューの使用頻度が高く、30日以内の再入院率が高かった。そしてわずかではあるが、モルヒネ使用群の患者のほうが、よりsickな状態であった。つまり印象としてhydromorphone「キレがいい」薬で、状態がいい人に向いている。

3) 腎機能低下時の差
腎機能低下時の術後鎮痛についてのreviewより 
モルヒネの代謝産物はmorphine-3-glucuronide (M3G)とmorphine-6-glucuronide (M6G)で、腎機能低下ではM6Gが蓄積されて効果を遷延させる。
hydromorphoneの代謝産物はhydromorphone-3-glucoronide (H3G)のみで、M6Gはつくられない。しかしH3GはM3Gと同じように神経毒性をもち、腎機能低下例ではその濃度は100倍にもなるので注意が必要と。

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日本でもそのうち発売になるのだろうか。そもそもモルヒネの使用が減っているから
差し迫った切迫感はないが…