2015/12/06

機械弁術後の妊娠と抗凝固療法


機械弁でワーファリン内服の対応。

妊娠が判明した時点でワーファリンは中止し、ヘパリンに切り替えが必要。しかし器官形成期が過ぎればワーファリンに戻すことも可能。この辺りの妊娠中期から終期にかけての抗凝固管理方法についてはまだ結論がでていないようだ。
ヘパリン化していた妊婦がC-sectionとなった場合2時間以内にはEpi/spinalは行わない

今年のcirculationに欧州からの大規模論文があった。ROPAC study
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26100109
212人の機械弁挿入後妊娠患者の追跡調査。
4.7%で弁血栓のイベントが発生。23.1%で出血イベントが発生している。しかし58%の患者が合併症なく妊娠・出産ができた。ヘパリンと比較してワーファリンは流産、および後期の胎児死亡のリスクが高かった。

少し古いけど2012年の妊娠時の抗凝固療法についてのreview
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22634472
281の文献に対するreview
このreviewではワーファリンの催奇形性について疑問を呈している。ワーファリンの催奇形性のリスクは6.4%であり、ヘパリン投与群と大きな差を持たないという結論。
ワーファリンは催奇形性というより、(奇形による)流産のリスクが高い、all or nothingのリスクを持ち合わせると考えた方がいいのかもしれない。
ヘパリンはワーファリンと比較して機械弁血栓のリスクが高いことが指摘されており、1st trimesterのみヘパリン置換し、その後ワーファリンを使用した方が母体にとってもよさそうだ。