2015/12/06

Amniotic fluid embolism

羊水塞栓症について

そもそも「塞栓」がこの疾患の主体ではないことが最近分かってきている。
羊水が母体の血液と混じり合うことで起きる炎症性の反応が強く出現した場合に起こる一種のアナフィラキシー反応である。

【病態と分類】
「心肺虚脱型」と「DIC先行型」というわけ方や「DIC先行型」を「子宮型」という場合も
いずれの場合にしても最終的にはショックおよびDICにいたる。DICは線溶亢進型。
リスク因子として、妊婦の年齢、誘発分娩が挙げられる。

【疫学】
イギリスでは1.9 /10万出産、オーストラリアでは6.1/10万出産
母体死亡率は50-60%程度 原因不明のDICとの診断になっている例も多い。
確定診断にいたることが難しい。診断の補助として補体C3、C4、C1インヒビター、亜鉛コプロポルフィリンなどがある。

【治療】
日本産婦人科医会の「母体安全への提言2011」による治療法の一例
ショックの治療に準じて循環動態を安定させる。
FFPを早期から投与する。 15単位以上の投与。
アンチトロンビンIIIの投与 3000単位(1バイアルが1500だから1バイアル)
トラムネキ酸 4000mgを1時間かけて投与

最近C1インヒビター製剤(血管浮腫の治療薬として使用されている)がAFEにも効果があるのではないかと注目されている。

心停止となった場合にECMO/PCPSまで使用するかどうかについてだが、使用して救命
できたとのcase reportが散見され、使用を検討する価値はある。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19527973
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20120905
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10942494  ECMOとIABPまで使用している。


参考文献--------------
英国、USA、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのAFEの疫学調査の結果
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22325370
母体安全への提言2011