2021/04/29

day 190

 


ボストンの自転車マップ 少し郊外に行けばとても素敵なサイクリングコースが

あるようだ。


正義という言葉は英語ではjusticeになるけど、

日本語の正義には少しネガティブな意味も含まれるような気がする。

「正義は私にある」という言い方はしない。「正義を振りかざす」とか

「正義を叫ぶ」(これにはネガティブな意味はないか...)とか、

物事をよくわかっていないのに自分が正しいと信じているというニュアンスを

少し含んでいる気がする。「正義感」となるとまた違うのだが。

それに対してこちらのjusticeは100% 善である。

でも日本人の私は、justiceを声高に叫ぶ人はどことなく冷めた目で見てしまう。


自分に正義があると思っている人は、声が大きくなり、威圧的になり、

そして盲目的になる。それ以上考えなくなる。

何か行動を起こすのには、あれこれと考えるよりそのほうが都合が良いのかもしれない。

しかしそれが本当の解決策なのだろうか。




2021/04/28

day 189

 暴力的な甘さというものを初めて経験した。


ダンキンドーナツというこちらではありふれたドーナツ屋さん。

https://www.dunkindonuts.com/en


激甘だった。というか白砂糖の質?のせいか、頭が痛くなるほど、もう当分砂糖は

いらないと思うほど。

こちらにきてから、ここまでの甘いものを食べたことがなかった。

しかしアメリカのお菓子が全て激甘かというとそういうわけではなく、

美味しいお菓子もたくさんある。Trader joe'sのお菓子にはハズレがない。



2021/04/27

day 188

 


庭先の花たち。


生物学者の福岡先生が、

世界は分けてもわからない-講談社現代新書

という本を書いておられて、アメリカにきた時にボスから「これ読んどいて」と渡された。

2日くらいで読み切れるとても面白い本だった。ボスは研究を始めるにあたって、

後半に出てくる研究捏造の事件を心に刻んでほしかったかもしれないのだが、

私にとっては、このタイトルにもなっている「分けてもわからない」という

ところに、この半年取り憑かれている。というか、アメリカにくる前からぐずぐずと

考えているのに、一行に答えは見つからない。

有機体ネットワークとしての細胞のあり方をとらえるのに、論理思考(A => Bを証明する)

の限界?いや、論理思考がよくないわけではなく、分子レベルでシグナルを1つ1つ

とらえるのが間違っているのか、シグナル伝達に限界があるのか... 

福岡先生の次に書いている、動的平衡にあるのか、でもそうだとしても、

概念レベルで止まっていては、先に進めないし、じゃあ動的平衡だったとして、

疾患が治せるのかというとまたそれは別の問題だ。


昨日読んだThe Economistに心理学の話が載っていた。

人は何かを解決しようとするときに、「足す」方向に考える傾向がある。

「引く」ことは苦手なのだと。何かを「足す」ことは自分が介入した証であり、

何かを解決できたという満足感につながるからだろうか。 

で、これが生まれ持った性質なのか、後天的なものなのかを探ろうとしているらしい。


心理学ではなく、生物の進化や危機への対応方法でもこれはあてはまるのではないか。

non cording RNAやイントロンなど、パッとしたところの機能はよく

わかっていないものは多々ある。ホモサピエンスと他の猿人類の遺伝子の相違はわずか

だというが、もう使われなくなった(進化の過程で足された)遺伝子を

多数引きずって進化しているからこそ、相対的に相違がわずかなのではないか。

進化が外部からの危機によって強化されるとしたら、

感染やその他の外部からの刺激によって起こる疾患でも同じことが言えるだろう。

危機に対応しようとして、細胞は何かを足そうとする。それが良いかどうか、

保護的に働くのかどうかは誰にもわからない。

ダメだったら生存できないだけだ。

細胞レベルで同じことが起きているとして、足せばいいのか、引けばいいのか、

分子のあるなしではなく、数として、量としての影響はどのように考えるか。

それには新しい解析方法なり、仕組みが必要なのかもしれない。


なんてことを考えながら、毎日やっていることは地味の一言に尽きる。



2021/04/26

day 187

 


ボストンの春は花の季節だ。


The Economistの記事やNYTの記事を読み、研究室で実験し、1日が終わった。

色々と考えることはあるのだが、なかなかまとまらない。

仮説をたてずに、どうなるかやってみよう的な実験の無意味さを思いしる。


2021/04/24

day 185

 


久々のねこさん。


日本語を勉強している海外の人の書いた作文を読んだ。

言いたいことは伝わるし素晴らしいと思う。でも文の構成というか、言い回しが違う。

自然ではない。Collocationの問題かもしれない。


「私は、きのうモールにいった。ひとびとは少なかった。」


きっと私の英語もこんなふうに伝わっているんだろうと思うと、

それを諦めないで聞いてくれていることに感謝しなければ... 


それとは別に、研究で新しいおもしろいことがあり、Happyだ。


2021/04/22

day 183

 


週末に駅からとった写真。

しかし進歩がある日もあれば、全くない日もある。今日は...


2021/04/21

day 182

 


Western Iran 1200-600 B.C. 


暖かかったので、外でランチ。

研究の方は、1つ1つ地道にやるしかない。


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29561359/


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30887021/



2021/04/20

day 181

 


ボストン美術館の作品より 

(イスラム文化の緻密なアラベスク模様)


研究に結果が出たのだが、じゃあ次にそれを解明しようというところになって、

RNA-Seqの話が出てきた。面白そうではある。しかし、

全てのゲノム、全てのmRNA、全てのnon-cording RNAの組み合わせを解明したところで

何かを新しい発見を導き出せるのかというと、

そうではないのではないかと思ってしまう。

(やってもいないのに何を偉そうにという感じだが)


前に読んだ(まだ読んでいる)「生命とは何か」の中にも同じことが書いてあった。


プロテオームにしろ、トランスクリプトームにしろ、
「全部見ました、400-500個くらいの遺伝子の発現に違いがありました」
と報告したところで、

だからなんなのさ、

ということになる。

(そうならないために、論文では裏付けのためのPCRをやったりしているんだけど)

シグナルを矢印で見ている限り、何かを見落としているのだ。


さて、どうしようか。

2021/04/18

day 179

 


肌寒い日だったが、冬の凍てつく寒さと比べると湿気を含んだ空気は重く、

温もりを感じる。


2021/04/17

day 178


 


4月も後半だというのに、雪が降った。

しかも積もった。どうなっているんだか。


2021/04/16

day 177

 

イタリアに帰るBのための送別会が昼に短く開かれた。

コロナになってから初めてとのこと(みんなワクチン打ったのでいいでしょう)


Bはイタリア出身だが、ご両親はイラン の人だと今日聞いた。

革命の時に移住したらしい。

アメリカに来て知り合ったロシア出身だというV君は5歳の時にロシアからカルフォルニア

に来たと言っていた。今34歳、彼から特に何も言わないけど、

計算すると、1991年、ソビエト崩壊の時に移住している。親戚・一家全員で移住したらしい。

政治的な混乱によって海外に移住する人の中に、学術分野に関わっている人が

多くいることを体感した。


確かに研究者という身分は政治が安定してこそ成り立つところがある。

クメールルージュのように、革命後に殺されかねないと思ったら

死に物狂いで亡命、移住でもするだろう。

のほほんと日本で暮らしていた私にとって、テレビでしか知らない歴史的事件を

生で経験している人たちはそれだけで畏敬の念を抱く。

そんな移民2世のBやV君は、医者になったり、PhDを取ったりしている。それもまたすごい。


研究に政治が介入しなければいいのにと思うが、そんなのは甘っちょろい考えで、

駆け引きをしなければ、研究者は生き残れないらしい。



2021/04/15

day 176

 


まだ肌寒い日があるが、病院の中庭の桜が満開になった。


研究に出口が... うーん。

2021/04/14

day 175

 


Zoomの会議をしていて(久しぶりにビデオをオンにして参加して)、

自分のくせに気づいた。

よく手を口にもっていくのだ。手で口を抑えるように。

子供の頃からのくせなのだが、実際にしらないうちにそうしている自分の姿を

見ると、かなり残念な気持ちになる。


意識しないと治らないな。


2021/04/12

day 173 painful diversity

 



スーパーにThe Economistが売っていたので実験の待ち時間に読んでいる。

日本にいた時に読み始めて、内容がいいな(数値に基づき、主観的な判断が少ない点)と
思っていたのだが、なかなかこちらで買う機会がなかった。
なんだ、スーパーにあったのか、灯台下暗しだった。

ただ、英語は難しい。

それはさておき、

記事を読んでいると、アメリカという国の強みである多様性というのは
痛みを伴っているのだなと至る所で感じる。
多様であることは、そんなに易しいことではないのだ。

誰しもそうだが、自分とは異なる人たちを無条件に受け入れる、尊厳をもって扱うことは
「自然に」できるわけではない。背景や文化の異なる人に対して、恐れを感じたり、
言語が通じない相手は「無能」「無知」のレッテルを貼る。ましてやそのような「異なる」
人が自分のテリトリーに侵入してこようと感じたものなら、敵意が生まれる。
多様性を受け入れるためには、生まれた時から「多様であることが当たり前」という
環境で育つか、もしくは「意思」をもって多様であることを受け入れる必要がある。

私のように単一の環境で育った者には、多様性を受け入れているアメリカ人は
すごいなと思う反面、生まれた時からあった「多様」には対応できても、
現在、グローバリゼーションによって急激に変わりつつある多様については
やはり痛みを伴っているのだとも感じる。

痛みというと、文学的だが、実際には支持政党ごとに憎しみあい、そして殺し合い
(アメリカの犯罪率はこの数年、特に2020年に平均で20%以上増加している。都市部はさらにひどい)隣人とのコミュニケーションが少なくなってきているということだ。
アジア人へのヘイトクライムのその一部だが、本当に一部である。
痛みは多岐にわたり、根深い。


人の価値観は大人になってから変えるのは難しい。

仕事や家庭で忙しい中、意思をもって自分の価値観を変えていこう、異なる人を
受け入れようと思う人がどれほどいるだろうか。インターネットの時代、Webは
自分好みのニュースをカスタマイズしておすすめしてくれるので、ニュートラルに、
多様な価値観を見聞することは難しい。
インターネットの画面から世界を知った気になっていても、それはどんな世界であれ
「カスタマイズされた」世界である。

多様であることの痛みを乗り越えて、それを強みにするために
その人の文化や背景ではなく、能力を評価する。
能力主義はアメリカの魅力でもあり、アメリカンドリームの象徴でもあるが、
それにも疲弊が見られる。そこそこの能力であることを許されないと自分にプレッシャーを
かけ過ぎて鬱になる、もしくは能力がないと思われたくないために、謝まろうとしない、
人を攻撃する。そういった精神的な歪みが数値に現れている。

それでもアメリカには素晴らしい魅力がたくさんあるのだが、
この国が今後どうなっていくのか、一人の外国人として住まわせてもらっている中で
心配になる。
まあ私がそんなことを心配しても何にもならないが、少なくとも周りの人たちが
この国が素晴らしいと思えるようにしたいものだ。









2021/04/11

day 172

 


PCRの結果が出るのを待っている間にPublic commonまで行ってみた。

まあたくさんの人がいること。

みんな日光浴大好きなのだ。


花が満開。明日からまた寒くなりそうだけど、花が散らずにもってくれると思うと

嬉しい。


しかし実験はうまく行ったりいかなかったり。

そして、Pathway analysis、面白いな。


2021/04/10

day 171

 


4月1日は最低気温が氷点下だった。それでも樹木たちは目をだす準備をしていたのだが、

いつになるのだろうと思っていたら、


一斉に咲き出した。



病院の中庭にあった桜の木



近所の家の庭。


日本にいた頃は夏が辛かったので秋が待ち遠しく、10月ごろの金木犀の香りが本当に

楽しみだった。

ボストンは冬が厳しく長いので、春が待ち遠しい。春になってこんなにうきうきする

のは日本ではなかったことかもしれない。

(日本にいる夫は花粉症で引きこもっておられるようだが)


しかし明日の土曜日も研究室。

2021/04/09

day 170

 


実験がうまくいくと嬉しく、うまくいかないと落ち込み、

なんだか実験に人生をコントロールされている。


しかし4月が終わると半年経つのだなと思うと感慨深い。

前進する気持ちでいられるうちは幸せだ。

2021/04/07

day 168

 


ボストン美術館 続き

古今東西の作品をすべからく集めていて、興味深い。

2021/04/06

day 167

 


ボストン美術館 続き

日本人の現代アートの作品も多数展示されていた。


PCRの結果がそこそこ良くて満足。

2021/04/05

day 166



日曜日、午前中に研究室に少し行き、午後からボストン美術館に行ってきた。


なんと職員割引のため、無料。素晴らしい。

モネが見たかったのだが、閉鎖されていた(どこかの展覧会に貸し出しているのかも

しれない) 

東洋美術、ヨーロッパの美術、そして中東、エジプトの美術を時間差なく

見ていくと、それぞれの美術が互いに影響を受け合っていることがみて取れる。



現代美術でこの作家の作品が素敵だった。

http://www.kregkallenberger.com/photographs

2021/04/04

day 165

 


朝は氷点下になってしまうこともあるのだが、気がつけば花が咲き始めている。


まだ背中の痛みはひかず、手を伸ばすとズキっという痛みが走るもので

全身が強張ってしまっている。

来週までこの痛みが続いたら...と思うとため息がでる。


2021/04/03

day 164

 


やっと研究に結果がではじめた...!

と思った夜に、肩から背骨にかけて 激痛が走り、寝返りをうてなくなった。

枕があっていなかったのか、研究の時に変に力が入っていたのか、

とにもかくにも肉離れを起こしたようだ。


痛みがあると思考どころではない。本当に勘弁してほしい。 

そんな中、アメリカにも日本の久光製薬がサロンパスを出していた。

素晴らしい。ありがとう久光製薬。

成分は別に変わらないのだけど、久光製薬の湿布薬は肌がただれることもなく、

そもそも貼りやすいということで、愛用する患者さんも多かったな(日本で)


背中から肩にかけて湿布を貼りまくっている。

緊急手術にきた壮年の女性たちがよく湿布を貼っていて、この人たちは毎日貼っている

のだろうか?と思っていたが、私もそんな壮年の女性の仲間入りしたわけだ。