2019/12/25

New Year eve





十数年ぶりにインフルエンザにかかった。

結局どこにも外出もせずに家の中にこもりきりの年末年始だが、やることは
山のように積まれており。。。


みなさまにとって2020年が良い年でありますように。


年明けに読む論文

https://www.jvascsurg.org/article/S0741-5214(18)32239-0/fulltext


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31648556


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23769856



2019/12/22

dynamic change of portal Vein Flow are associated with AKI in cardiac surgery


手間をかけて測定しているのに結果の分析がなんとも。。。

Alterations in Portal Vein Flow and Intrarenal Venous Flow Are Associated With Acute Kidney Injury After Cardiac Surgery: A Prospective Observational Cohort Study.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30371304
J Am Heart Assoc. 2018 Oct 2;7(19):e009961. doi: 10.1161/JAHA.118.009961.


心臓手術後の門脈flowの変化が大きいほど、AKIの発生が高いという仮説に基づいた報告

そもそもpotal vein flowは一定の定常流のような波形であるが、CPB後は波が認められる。
この変動が大きい方がAKIになりやすいという報告 OR 2.81

また腎血流も同様にエコーで測定しているが、腎血流とは独立してこの門脈の血流速度の変動がAKIのリスクになると。


うーん、分かりにくかった。

Hyperglycemia after reperfusion in cardiac surgery



Spike in glucose levels after reperfusion during aortic surgery: assessment by continuous blood glucose monitoring using artificial endocrine pancreas.
Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2018 Mar;66(3):150-154. doi: 10.1007/s11748-017-0872-z. Epub 2017 Nov 29.

大動脈遮断後の血糖値の推移をSTG-55を用いて連続的に調べたという研究
n=22
循環停止中は血糖は100前後であるが、再灌流後、平均8分後にピークを迎え、その最大血糖値は200前後であるという論文。
糖尿病があろうとなかろうと、この高血糖の値は変わらないと。

自分の病院のデータを見ていてもこれは実感する。
糖尿病があるからといって再灌流時に血糖値が高くなりすぎる訳ではない。

さらにこうした再灌流時高血糖はpringleなどでも認められ、特に肝静脈の血糖値が門脈の血糖値と比較して高く、肝臓が糖を放出していると考えられている。


ある意味生体の理にかなった反応であり、インスリン等の投与により細胞が糖をエネルギーとして使用できることが治療につながるだろう。

しかし糖尿病の有無にかかわらず、だいたい200前後まで上がるという点が面白いというか、興味深い。
なぜ200??? 
インスリン抵抗性は変わらず、肝臓が作ったグリコーゲンがこの最大値を決めているのか?

2019/12/21

Rocuronium is not superior than succinylcholine in out-hospital intubation



Effect of Rocuronium vs Succinylcholine on Endotracheal Intubation
Success Rate Among Patients Undergoing Out-of-Hospital Rapid Sequence Intubation
A Randomized Clinical Trial
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2757578


フランスから。

フランスって本当に院外心停止に関する論文がたくさん出る。
どうやって同意を取るんだろうと思っていたら、この前授業で地域全体に対して、
「この地域で救急要請したら、こういったRCTに参加することになりますよ」という
説明をする場合があるんだそうな。
日本でも社会経済学の分野なんかではそういう地域でのRCTというのをやっている
自治体があるようだ。

そもそも研究デザインを非劣性試験にしているところ、そしてPPAで解析しているところが興味深い。また結果としてRocuroniumはSuccinylcholineと比較して挿管成功率を改善しなかったとの結論。

でも脊損だったらSuccinylcholine使いたくないし(そもそもSuccinylcholineを使い慣れていない)リバースがあることを考えると...と思うが、値段が全然違うので、非劣性も示せないようであれば、Succinylcholineにしようという結論になるのだろうか。
ちゃんと論文を読もう。




最近週6で働いたり大学院に行ったりしていたけど、今週久しぶりに週休2日で本当に嬉しい。


NaNO2 protects VILI?


Sodium nitrite mitigates ventilator-induced lung injury in rats.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22820847
Anesthesiology. 2012 Sep;117(3):592-601.


日本でも2015年より成人の心臓手術における肺高血圧症に対してのNO吸入療法の保険適応が認められているが、その効果(死亡率の改善)についての結論は出ていない。NOの吸入がARDSに対して効果があるかについては1993年から研究論文があるが、この結果も定まっておらず、2019年に出されたARDSの治療ガイドライン(1)ではNOの吸入は推奨されていない。損傷された肺組織に対してNOがどのような効果を持つのか、またその機序については不明である。NOは亜硝酸ナトリウムなどのNO2-からNitrite reductaseによりNOに変換される。特に低酸素下、アシドーシスにおいて反応は促進する。このNitrite reductaseの反応速度に影響を与えるものとしてヘモグロビン、ミオグロビン、xanthine oxidoreductase, aldehyde oxidaseが知られている。肺損傷の状態ではどの物質が最も影響を与えているかは不明である

目的:呼吸器誘発肺損傷のモデルラットを用いて硝酸ナトリウムが肺障害を軽減する機序を明らかにする。
方法:8通りの実験環境でのモデルラットを用いてそれぞれの実験群のラットの死亡率、肺のコンプライアンス、肺胞浸出液のタンパク、TNF-α、IL1-ß、MIP(macrophage inflammatory protein)-2の濃度を測定した。
8群の内訳:1) low TV 6ml/kg + PEEP 2 cmH2O, 2) high TV peak P 35 cmH2O 2h + PEEP 0, 3) high TV + 0.25 µmol/kg NaNO2, 4) high TV + 2.5 µmol/kg NaNO2, 5) high TV + 25 µmol/kg NaNO2, 6) high TV + NaNO2 + NO scavenger, 7) high TV + NaNO2 + NO synthase inhibition, 8) high TV + NaNO2 + xanthine oxidoreductase (XOR) inhibitor allopurinol 
統計:分散分析

結果:high TVのみを施行したグループ2では死亡率43%であったが、NaNO2を2.5 µmol/kg以上投与した群で死亡率は0となった。しかしグループ6) NO scavengerを追加した群とグループ8) XOR阻害を追加した群では死亡率が83%にまで上昇した。また酸素分圧についてみると、NaNO2の濃度が2.5で最も高く(low TVと同程度の酸素分圧)であったのに対して0.25 25の群ではそうした酸素分圧の改善は認めなかった。NaNO2の効果についてはU 字型をとった。

考察:NaNO2が肺保護に働くことがラットモデルで証明された。またその経路として複数の経路が複合的に働いており、XORも関与していることが示唆された。高濃度のNaNO2の結果が低濃度より悪化した理由としてNO2-が組織に増加しすぎると、peroxynitrite-medicated oxidantによる組織障害が起きると考えられる。
臨床への応用:肺障害を起こした肺ではNOへの感受性が1/12程度になる。肺障害への治療効果は証明されたが、臨床での投与量については検討しなければならない。

2019/12/17

acute pancreatitis after cardiac surgery




Clinical Implications and Risk Factors of Acute Pancreatitis after Cardiac Valve Surgery
Yonsei Med J 2013:54(1):154-159.

https://insights.ovid.com/crossref?an=00024382-200705000-00004

心臓手術後の急性膵炎の発生頻度およびリスク因子について、後ろ向きに調査した報告

研究デザイン:単施設後ろ向きコホート研究

対象患者:2005年から2010年に延世大学病院で人工心肺を用いた弁置換術を受けた患者986人中を対象とし、急性膵炎を発症した患者と発症しなかった患者におけるリスク因子を多変量ロジスティック回帰分析で分析した。

急性膵炎の診断:施設では全ての弁置換術を受けた患者に対してアミラーゼとリパーゼを術後検査しており、2POD以降にリパーゼが180 U/L以上もしくは腹部症状プラスリパーゼ60 U/L以上であった患者を急性膵炎と診断した。

結果:患者の平均年齢は56.9(SD 14.8)歳で2/3の患者が単弁置換、1/3の患者が複数の弁置換術を受けていた。院内死亡率は2.8%であった。58人(5.9%)が急性膵炎の診断となった。腹痛の症状を訴えたものはこのうち16人(22.4%)であり、吐き気、嘔吐が13人(22.4%)と続いた。胸水は17人(29.3%)で認められ、急性腎不全が15人(25.9%)で認められた。
2群間(急性膵炎発症群、非発症群)での単変量解析の結果、高血圧、術前のCKD、術中のノルアドレナリンの使用に有意差があり、多変量解析の結果でも高血圧、CKD、術中のノルアドレナリンの使用のORは2.26, 2.65, 6.0であった。

考察:先行研究よりも発生頻度が10倍以上高かった理由として、全例アミラーゼとリパーゼを測定しており、今までの研究では見落とされていたものも含まれているのではないかと推測している。CPB時間が平均132分と長く(先行研究では83分)、これも原因として考えられると考察している。また、先行研究では内臓虚血が急性膵炎の発症のリスクであるとされており、そのリスクがある場合は術後の鑑別として考える必要がある。

心臓手術後も急性膵炎でPubmedを検索すると、1990年代の論文が多い。CPBの改善によって減少してきているのかもしれない。1991年にNEJMで「CaCl2の投与が容量依存性に膵炎の増加と関連している」という論文も発表されていた。

2019/12/10

microcirculation in retina during cardiac surgery



ほとんど日本から出ている。

網膜の血流を手術中に見るというもの。
Laser Speckle Flowgraphyを使用。

Cerebral circulation estimated by laser speckle flowgraphy in retrograde femoral arterial perfusion during minimally invasive cardiac surgery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28369496
Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2017 Jul 1;25(1):25-29. doi: 10.1093/icvts/ivx046.


Association Between Optic Nerve Head Blood Flow Measured Using Laser Speckle Flowgraphy and Radial Arterial Pressure During Aortic Arch Surgery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29398374
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2018 Apr;32(2):702-708. doi: 10.1053/j.jvca.2017.08.001. Epub 2017 Aug 2.

Ocular Blood Flow Measured Using Laser Speckle Flowgraphy During Aortic Arch Surgery With Antegrade Selective Cerebral Perfusion.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27321788
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2016 Jun;30(3):613-8. doi: 10.1053/j.jvca.2016.01.021. Epub 2016 Jan 18.




Microcirculation in ICU patients


microSOAP studyの論文

International study on microcirculatory shock occurrence in acutely ill patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25126880
Crit Care Med. 2015 Jan;43(1):48-56. doi: 10.1097/CCM.0000000000000553.


インド、ブラジル、スペイン、イタリア、アメリカ等の36 ICUから500人以上を集めたstudy

SDF sidestream Dark Field imagingという手法を用いて、微小循環を測定。
測定結果は MFI microvascular flow index (0-3の連続値)で示され、2.6をcut offとして微小循環障害があるとした。


研究デザインは observational study (cohort? 各施設での患者選択は?)
院内死亡をアウトカムとして、多変量ロジスティック回帰分析を行い、異常MFIが関連しているかを調査した。

院内死亡は28.4% であった。患者属性のtableがなく、いきなりtable 1は多変量ロジスティック回帰分析 (紙面の関係でsupplementsに飛んでしまったのだろう)
全体ではMFIは院内死亡との関連が認められなかったが、頻脈( HR > 90)を呈している患者ではOR 3.24 とMFIが異常である患者ほど院内死亡が高いという結果となった。

しかし頻脈の患者はカテコラミンの使用量も多く、ノルアドレナリンのようなカテコラミンが頻脈と末梢循環障害を起こしているだけではないだろうかとも考えてしまう。
で、ノルアドレナリンを使うような状態であることが真の死亡率上昇の原因では?
(=血圧がでない状態)

という疑問にこの研究は答えてくれない。。。

しかしこのSDF imagingという技術は面白そうで、使ってみたい。
心臓手術中に脳血流を評価する方法を考えているのだが、
このSDFが使えたりしないか。血流が悪くなることは必至なので、
その程度がどの辺りがcut offであるのかを探れたりしないか。

網膜とか?

2019/12/08

association between stroke and hypotension in cardiac surgery



Defining an Intraoperative Hypotension Threshold in Association with Stroke in Cardiac Surgery.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29889106

Anesthesiology. 2018 Sep;129(3):440-447.

解析の方法がとても気になった論文 オタワ大学から

心臓手術時の低血圧の持続が術後の脳卒中と関連があるかをみたコホート研究

2009-2015までの心臓血管手術(CPBを用いた)を受けた患者を対象とし、
術中の低血圧を調べた。血圧はカテゴリー化し、MAP  <55  55-64  65-74  とした。
primary outcome 術後脳卒中
propensity score adjustmentを併用したロジスティック回帰モデルを使用。

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しかし血圧は継時的なもので、低い時間帯もあれば高い時間帯もあるでしょうに
というところをどういうふうに調整するかがとても気になった。

結果
登録人数は 7457人 15秒ごとに血圧は自動的に収集されている。
人工心肺前、中、後で上記のどの血圧カテゴリに入っているかをランク付けした。
propensity matchingは
年齢、性別、BSA、EF、高血圧、心不全、末梢血管障害、Afib、肺高血圧、心膜炎の有無、心筋梗塞の有無、脳卒中の既往、内頸動脈疾患の有無、糖尿病、腎障害、透析の有無、手術内容、operative priority(?)、手術前の心停止の既往、CPB時間、CPB中の最低Ht、輸血量、トランサミン使用量
でマッチングした。

non parsimonious multivariable logistic regression modelを用いて脳卒中のリスク因子を洗い出した。先行文献からの脳卒中のリスク因子は
年齢、性別、TIAの既往、脳卒中の既往、内頸動脈疾患の有無、高血圧、糖尿病、再手術、CPBの時間、術後のAfib、複合手術であった。

これらのリスク因子に対して血圧が交互作用として働くことを検証するために今回の解析を行った。

感度分析
1)最も長い血圧低下時間とStrokeとの関連を調べた。
2)またpre post CPBはどちらも拍動血圧であるので、これらを統合した解析も行った。
また
3)低血圧の総時間についても解析を行った。
4)域値の検討を行った。麻酔導入前の血圧からの下げ幅がどの程度であったかと結果との解析を行った。

結果、脳卒中はn=111出会った。

Table 1で患者属性の比較
Table 2でそれぞれのMAPカテゴリの頻度(min)を比較
(ここまでは調整されていないcrude dataでの比較)
Table 3 matchingさせた場合に 10minの低血圧がORをどれだけ上げるか(下げるか)の比較。

#  しかし何を基準としているんだろう。 MAP > 75 がOR 1.00なのか? 

Table 4 多変量解析 このテーブルは面白くて低血圧が起きているのがCPB中だとORが高く出ている。また高血圧の既往があると、脳卒中になりやすいという結果も出ている。
New onset of Afibも高い

Table 5 Table 6はそれぞれ感度分析

CPB中は脳の代謝が低下していても、血圧は維持する必要がありそうだと。

この論文面白いな。


New anti-opioid system


NEJMの clinical implications of basic researchに載っていたもの。

Scienceの2019 Sepに掲載されたこの論文の紹介。

https://science.sciencemag.org/content/365/6459/1267.long


オピオイド作用の増強について、新たなメカニズムを見つけたという報告。
C. elegans に人間のmu opipod 受容体発現させる。そしてモルヒネを投与し、
これらの線虫の中で、opioidに過剰反応するものを選択していき、
その中でも反応が早く、リカバリーも早い線虫を選択、遺伝子変異を調べてみた。

egl-19

frpr-13

の2つの遺伝子変異が確認された。frpr-13はGPR139受容体と関連している。
frpr-13により、mu opipod 受容体の活動が活性化することが明らかとなった。
GPR139受容体のアゴニストにより、モルヒネの作用は減弱した。
GPR139受容体のk/oマウスではモルヒネの作用が増強した。

GPR139受容体はGタンパク結合受容体の1つであるが、orphanとされその機能がわかっていなかったが、この報告により、その作用が明らかとなった。

アゴニスト薬の開発により、オピオイド中毒に対する拮抗薬の開発につながるかもしれない。


これも面白そう。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31435015

antifreeze method to protect cells



爬虫類の中には冬眠ではなく、自分の体自身を凍結させて
しまうものがいるらしい。
細胞自体は凍らせないが、間質、血液は凍る。

https://www.nationalgeographic.com/animals/2007/02/frog-antifreeze-blood-winter-adaptation/


体外循環で特に循環停止になった時に、血糖値が上昇するのも、
これと同じ仕組みなのだろうか。


この論文も読もう。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29188429

2019/12/03

lactate after cardiac surgery


When and how lactate pattern affects the mortality.


the maximum lactate level?

the time of maximum lactate?

up down or continuous high?

1 no hyperlactatemia

2  > 8 mmol and early

3  > 8 mmol  and late

4  > 4 mmol and early

5  > 4 mmol  and late