2020/03/30

Manipulated number of patients in Tokyo


I fumed, fumed, and fumed. 

Today, the governor of Tokyo announced 13 new patients infected with COVID-19, less than one-fourth of patients yesterday.  Only private institutes opened the new positive cases.
She did not disclose the accurate, total number of patients positive, which has humiliated doctors who are treating growing patients at the forefront and just broken their hearts.
Is the economy superior to health? 

Dear doctors, please take care of yourself.  I'm ready to support you. 
Dear friends, please take care of yourself. We Japanese are not special. We have the same risk as Italy and the U.S.


正確な統計データの記録・公表は公衆衛生の基本です。
今日は日本の公衆衛生、感染症対策にとって汚点となるでしょう。

2020/03/26

Early vs Delayed Stroke after cardiac surgery


Circulationから

Early Versus Delayed Stroke After Cardiac Surgery: A Systematic Review and Meta-Analysis
Mario Gaudino, MD; Mohammed Rahouma, MD; Michele Di Mauro, MD; Bobby Yanagawa, MD, PhD; Ahmed Abouarab, MD; Michelle Demetres, MLIS; Antonino Di Franco, MD; Mohammed J. Arisha, MD; Dina A. Ibrahim, MD; Massimo Baudo, MD; Leonard N. Girardi, MD; Stephen Fremes, MD, PhD


early stroke : 麻酔から覚める前のStroke  
delayed stroke:  麻酔からいったん覚めて覚醒が確認された後のStroke  

頻度
Early stroke 0.98% 
Delayed stroke  0.93%  

それぞれStrokeを起こした場合の死亡率は28.8%と 17.9%である。
Strokeを起こすと死亡率は12倍になる。

メタ回帰分析ではOff-PumpがEarly strokeとマイナスに関係していた。
(人工心肺時間、循環停止の有無、遮断回数は全く関係なかったと!)

Late strokeの発生に関しては、
脳血管疾患の既往歴と術後の心房細動の発生がリスクとされている。
(しかしこれはCABGを対象とした研究での報告であり、大動脈疾患を対象としていないな。。。)

Early strokeは右半球に多く、大動脈のカニュレーションのジェットが何らかの関連があるのではないかとされている。
CABGに関してはno-aortic touch techniqueでStrokeの率が低下するとされている。
また近位部の吻合を工夫することでもStrokeは下がるとされており、
大動脈へのアプローチの工夫が必要なのかもしれない。

Delayed strokeの予防
予防戦略は、心房細動の予防薬の投与および治療、抗凝固薬、LAA ligationを行うことである。

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アイザックニュートンはペストの流行で疎開している時に万有引力の法則や微分積分の基礎となる着想を得た。今の時代に考えさせられる歴史的エピソードだ。

それ以上に今私の心に引っかかっているのは、ニュートンが言った次の言葉である。
「自分がこれらの発見をできたのは、
   巨人の肩の上に乗って遠くを見ることができたからだ」

巨人の肩とはもちろんそれまでの人類の叡智のことで、それを学んだからこそ、その先の世界を考えることができたと。ニュートンの生きたAC1600-1700年にわかっていたことは今よりもずいぶん少ないだろうが、それだからこそ、すべての分野を学び、統合し、その知識の上での新しい発見ができたのだろう。博学という言葉は最近用いられなくなったが、100年くらい前までは、すべての分野に通することができたのではないだろうか。

翻って現在、私たちは(いや私は)、巨人の肩どころか、足元をウロウロしながら、巨人の残した科学技術をもてあそんでいるだけなのではないだろうか。

どうしたら巨人の肩に乗れるのか、そこから見える景色はどんなものだろうか。

見えているもので満足すると、科学はもう飽和しているように思えるだろう。
科学技術を伸ばすことにこれ以上何を望むのかと。それよりも飢えている人を救うべきだと。

何が見えているのか、何が見えていないのか。何を見つけようとするのか。
自問は続く。



2020/03/21

読んだ本の棚卸し


(自分のための備忘録)

仕事以外にどんな本を読んできたか。印象に残っているもの。

幼少期
おしゃべりなたまごやき:記憶に残る一番はじめの本。小学校1年くらいの時にだった。王様がぞうのたまごで卵焼きを食べたいといったり。
クレヨン王国物語:ストーリーは全く覚えていないが、灰色の魔女が好きだった。善でも悪でもない存在。
子ウサギましろのお話:絵本はたくさん読んだが、この本が一番印象が強い。子供の頃の私はずるい、世の中をなめているようなところがあったが、悪いことはできないということを教えてくれた本だった。
ゲド戦記:シリーズではあるが、最初の1冊しか読まなかった。自分で制御しようのない力を持つということがどれほど辛いことなのか、理解できなかったからかもしれない。
冒険者たちーガンバと15匹のネズミ達:困難な状況をどうやって打開するのか、わくわくしながら読んだことを覚えている。
大草原の小さな家:テレビドラマになって有名だったが、本の方が何倍も面白かった。

中高生
あまり本を読まなかったことに後悔。屈折した時代だったからか。。。
風の谷のナウシカ:アニメではなく、マンガの方を何度も何度も読み返していた。
ベルサイユのばら:中学時代マンガを読んで、涙。。。多感な時期だったのか。。。
太陽の子:灰谷健次郎さんの本。素敵な本です。
大地の子エイラ:ネアンデルタール人とクロマニヨン人の交流から始まり、エイラという子供が成長していく過程。ある時ネアンデルタール人の集団から追放されてしまうのだが、その部分が最も印象的だった。生きる強さとでも言おうか。
大地の子:山崎豊子さんの小説。ここから山崎豊子さんが好きになり、「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」「沈まぬ太陽」とはまっていった。山崎豊子さんの小説にはその時代や社会の不条理と葛藤しながらひたむきに生きる人たちがたくさん描かれていて、そこに心うたれるのかもしれない。
山月記:確か高校時代に読んだ。私が人生の中で最も印象に残った作品は何かと聞かれたらこの作品をあげる。そのくらい衝撃的だった。

大学生
ショウペンハウエルが好きになる。あまり理解もできていないのにかぶれるという感じ。大学はモラトリアムというが、社会のことを知りもしないのに、本を読んだだけで自分が何かすごいことを知っているかのように錯覚していた時代だ。ただ、ショウペンハウエルのような社会に溶け込めない偏屈な人が好きだったようだ。
死ぬ瞬間:キュプラーロス博士。今でも本屋で売られているところを見ると、やはりすごい本だったのだなと。がんという告知だけではなく、別れなどにも通じる心理の分析。
がん回廊の朝:柳田邦男さんの医療シリーズにハマる。どうやって日本ががんという病と向き合って来たのか、濃密なドキュメンタリーを見るように書かれていた。ここから柳田邦男さんの作品を手当たりしだいに読むようになる。サクリファイスという、ご自身の息子さんのことを書かれた本も印象的だった。
夜と霧:山月記に続いて、人生の中で最も印象に残った作品。今でも多くの人に読まれているようだが、何度も読んだ。この本の中で何が印象に残るはは人それぞれだと思うが、絶望の状況において常に客観的に周囲を見ることができるかが生きる鍵なのかもしれない。一つの逸話としてしか紹介されていなかったが、給仕をする当番も収監されているユダヤ人であり当番制であった。ほとんどの給仕係は自分の同郷や顔見知った人がいると、スープの具の量を多くしたり、何かしらの差をつけていたが、全くそういうことをしない給仕係が一人いた。という下りをよく思い出す。そしてアウシュビッツから解放された後も、元収監されていた人々の疎外感は続く。続編の死と愛も面白かった。

社会人
いろんな人と接する中で今までとは異なったジャンルの本を読むようにもなった。
ライトついていますか?:発想の転換という意味で面白い本。
人を動かす:ビジネスに疎かったが、アメリカでこんな本が売れていていることにびっくりした覚えがある。タイトルの人を動かすという言葉からはなんとなく、優越というか人を操るといったニュアンスがあるのかと思いきや、内容は全く異なる。
コンスタンティノープルの陥落:塩野七生さんの作品。ここから始まり、レパントの海戦、ローマ人の物語などおそらく全ての本を読んだ。山崎豊子さんと似た気骨ある文章が好きだった。となると、マキャベリの君主論も読まなきゃということで読み、なるほどと思うが、実践するわけではなく。塩野七生さんの作品の中で、このコンスタンティノープルの陥落と、ローマ人の物語の中のハンニバルの箇所が最も好きだ。
ねじまき鳥クロニクル:村上春樹さんの中で唯一読んだ作品。好きかと言われると、あまり好きではないが、なぜこれを書いたのか考えさせられる。
敦煌:井上靖さんの本。井上靖さんはしろばんばを高校時代に読んだのが初めだったようなきもするが、あまり好きではなかった。でもこの敦煌は印象深い。ラストが特に。あと、「射程」も好きかもしれない。
生きがいについて:神谷美恵子さんの本。ここから神谷美恵子さんにもハマり、関連本まで含めて読みあさった。(今はみすず書房から新しい全集が出されているが、当時は古い全集がどこにも売っておらず、集めるのにとても苦労した)この人の本から、マルクスアウレリウスの自称録や、新渡戸稲造の武士道、修養といった本を知り、読んでいくことになる。これらの本たちと知り合った過程で、自分の中で生き方に迷っていた部分がようやく吹っ切れたようなところがある。

医学生・医師
医学部自体は本当に医学書以外の本をほとんど読まなかった。勿体無い。
新渡戸稲造全集を買って(何を血迷ったのだろうか。。。)、5,6冊読んだ。やはり2回目の大学生活もモラトリアムという意味では1回目と同じように本だけでわかったような気になっていた気がする。
蒼穹の昴:浅田次郎さんの小説。医者3年目の時に先輩に勧められて読んだ。やはり長編小説は面白いと思う。
エルサレムのアイヒマン:ハンナアーレントの作品。きっかけはNHKテレビでの特集だったのかもしれない。文章は難解。ハンナアーレントという哲学者そのものにも興味があった。
中国古典:論語、孫子、貞観政要、老子、孟子、ある時中国古典を読もうと思いつき、時間の合間、合間に読み続けている。


これからどんな本を読んでいくのか、どういう価値観を強めていくのか。
人生半分終えての棚卸し。




2020/03/15

MitraClip for extremely low EF patients



経皮的僧帽弁逆流症修復術の適応は日本では EF > 30 となっているが、
EF 30以下でも患者さんはやっていくる。。。



Invasive hemodynamics and cardiac biomarkers to predict outcomes after percutaneous edge-to-edge mitral valve repair in patients with severe heart failure.
Clin Res Cardiol. 2019 Apr;108(4):375-387. doi: 10.1007/s00392-018-1365-5. Epub 2018 Sep 6.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30191296


ドイツからの報告。
174人のsevere heart failure & percutaneous mitral valve repairを受けた患者が対象。
平均 EF = 25%    死亡率:6.9% and 17.8% at 30 days and 1 year

死亡のリスク因子は elevated hsTnT and reduced mixed venous O2-saturationであったと。

どっちも手術室では測っていないな。
SG入れているから混合静脈血O2は計測できるが。
reducedってどれだけの低下を持ってreducedと言っているのか。論文読んでみよう。


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日本よりもヨーロッパでコロナウイルスの蔓延が激しく、心配になる。
今現状の世界を見ていて、多少の騒ぎは報道されているけど、
大勢の人が専門家からの情報を得て、パニックにならずに静かに時が過ぎるのを待っている。
そうした一人一人の目立たない行動が賞賛されるべきだと思う。


アマゾンのランキングでカフカの「ペスト」が3位に入っていた。
私も読んでみようかな。
現世界の人の行動が問われているのかもしれない。絶望に慣れてはいけないと。

2020/03/11

How long do you stay home when you get sick? Paid sick leave influence the days.


公衆衛生学的に興味深い論文。

Policies to Reduce Influenza in the Workplace: Impact Assessments Using an Agent-Based Model
https://ajph.aphapublications.org/doi/abs/10.2105/AJPH.2013.301269

有給休暇(病欠での)がどの程度あるかによって、インフルエンザの広がりが異なるというもの。
アメリカでは産業によって有給休暇の取り扱いが大きく異なる。
今回のインフルエンザやコロナウイルスのアウトブレイクでも
どれだけの人が隔離のための自宅待機で給料が支払われているかというのが
問題となっている。
払うべきか払わざるべきか。
少なくともアメリカではより多くの企業が上限を決めて払う方向に動いているようだ。


2020/03/09

萩原朔太郎という詩人


全く臨床や研究と関係ないこと 

ひょんなことから知った詩人。

医師の家に生まれたが、詩人となった。
医学を志すことを半ば義務付けられ、葛藤と苦悩の中で絶望的な詩を詠んでいる。

1年前に私立大学の付属病院に週1回働いていたのだが、私立だけあって研修医や学生には開業医のご子息がとても多かった。そして医者になるために色々と紆余曲折した道を辿った学生や、医学部に受かった今でも医師になりたくないと思っている学生が想像以上にたくさんいて驚いた。
志高く医師を目指している人がいる中で、医学をしたくない医学生たちの屈折した思いはどこから来るのだろうかと興味もあり、手術の合間に色々と聞いてみたり。
優秀な親と自分は違うのだという諦めを語る人が多かったが、その中でもどこか歪んだ自尊心を持っているとも感じた。臆病な自尊心。


父親という存在から医者になることを期待され、それを満たさなければ愛情を得られないと思った時に、子供はどれほどの苦悩を感じるのだろうか。その苦悩と真っ向から向き合って、言葉を綴っている。

暗く、苦しい人生だったであろうが、そんなところから創造力が生まれて、多くの人の感情を揺さぶったと考えると、興味深い。