2018/11/28

Epidural vs IV analgesia in Laparoscopic colectomy and gastrectomy


新しく来た外科の先生たちが色々と楽しいので、今まであまり気にしていなかったことを調べてみた。

Epi : 硬膜外麻酔

腹腔鏡の場合、下部内蔵手術はEpi要らないが、上部はいるでしょ!
下部内蔵手術でも臍部の小切開が大きい術者の場合はEpiがあったほうがいいでしょ!
というのが今までの経験上と周りの麻酔科医の先生との一致した意見だったのだが...
本当のところはどうでしょうか。


<腹腔鏡下下部内蔵手術>

Surg Today. 2017 Feb;47(2):174-181. doi: 10.1007/s00595-016-1356-y. Epub 2016 May 19.
Postoperative analgesia using fentanyl plus celecoxib versus epidural anesthesia after laparoscopic colon resection.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27194126

北海道大学消化器外科からの報告137人の後ろ向き研究。EpiとIV Fentanyl+NSAIDSで術後鎮痛ではIV fentanylの方が痛みが少なかった、手術室の滞在時間はIV Fentanylの方が短かったと。PONVはどうやねん。

Br J Anaesth. 2012 Aug;109(2):185-90. doi: 10.1093/bja/aes106. Epub 2012 Apr 23.
Retrospective analysis of the effect of postoperative analgesia on survival in patients after laparoscopic resection of colorectal cancer.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22525284

イギリスから。後ろ向き。IV PCAで使用する麻薬が癌発生に関与する免疫機能の抑制等に関係するのではという点から、術後疼痛と患者の生存年の関連を調べた。
epidural=107, spinal=144, and PCA=173
spinalが結構多くて驚く。Overall survival, disease-free survivalには差を認めなかったが、Epi群の入院期間は有意に長かったと。

JAMA Surg. 2014 Feb;149(2):130-6. doi: 10.1001/jamasurg.2013.3186.
Epidural analgesia in laparoscopic colorectal surgery: a nationwide analysis of use and outcomes.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24336894

アメリカの全国調査。アメリカの医療はかなり独自路線を歩んでいるが、こういう全国規模の調査をきちんと論文しているのはすごいなと思う。
9年間での191576 症例(laparoscopic colorectal procedures)を対象。
アメリカではラパコロンに対してEpiを入れているのは2.41%のみ
Epiを入れると入院期間が長く、入院費用も高くなるが、合併症については差はないと。
Epidural analgesia did not affect the incidence of respiratory failure, pneumonia, anastomotic leak, ileus, or urinary retention.

Hepatogastroenterology. 2014 Jul-Aug;61(133):1213-9.
Thoracic epidural analgesia (TEA) vs. patient controlled analgesia (PCA) in laparoscopic colectomy: a meta-analysis.

メタアナリシス
7つのRCTを評価したところ、Epi vs IV PCAで、入院期間、消化管機能には差を認めなかったと。IV PCA 群では嘔気、嘔吐が有意に多かったがその他の合併症では差を認めなかった。

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教科書・成書
今手元にある、「手術後鎮痛のすべて」文光堂 2013年より

腹腔鏡の手術では開腹と比較して術後1-4時間程度までは痛みが強いが、その後は開腹の方が痛みが強い。日本でのアンケート調査による下部腹腔鏡でのEpiの使用は59%程度。
IVPCAのみだと術直後の痛みは取れないことが多いため、局所麻酔使用が有効である。
局所麻酔を術野で使用する場合は気腹前or直後の方が効果がある。

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<腹腔鏡下上部内蔵手術>
論文少ない。

Acta Med Okayama. 2018 Feb;72(1):95-98. doi: 10.18926/AMO/55671.
Randomized Controlled Trial of Epidural versus Patient-controlled Intravenous Analgesia for Postoperative Pain Control after Laparoscopic Gastrectomy.

岡山大学からの研究プロトコル。今研究中。

Surg Endosc. 2017 Nov;31(11):4688-4696. doi: 10.1007/s00464-017-5537-6. Epub 2017 Apr 7.
Comparison of the effects of patient-controlled epidural and intravenous analgesia on postoperative bowel function after laparoscopic gastrectomy: a prospective randomized study.

86人の患者のRCTでEpiとIVPCA比較している。術後1時間の疼痛はEpiの方が少なく、また術後のOpioidの使用量も少なかったと。
韓国延世大学。







病院外心肺停止における挿管と生存率、神経学的予後 Out of hospital cardiac arrest



マスク換気と挿管でどちらが有効であったかのRCT
フランスとベルギーでの報告。
Effect of Bag-Mask Ventilation vs Endotracheal Intubation During Cardiopulmonary Resuscitation on Neurological Outcome After Out-of-Hospital Cardiorespiratory Arrest
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2673550


これは日本のHasegawa先生がまとめた論文
Regional variability in survival outcomes of out-of-hospital cardiac arrest: the All-Japan Utstein Registry.
Resuscitation. 2013 Aug;84(8):1099-107. doi: 10.1016/j.resuscitation.2013.03.007. Epub 2013 Mar 14.
生存率、神経学的予後に地域差があるという結論。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23499636


Circulationの2015年の report ( まだ読んでいない)
Cardiac arrest and cardiopulmonary resuscitation outcome reports: update of the Utstein Resuscitation Registry Templates for Out-of-Hospital Cardiac Arrest: a statement for healthcare professionals from a task force of the International Liaison Committee on Resuscitation (American Heart Association, European Resuscitation Council, Australian and New Zealand Council on Resuscitation, Heart and Stroke Foundation of Canada, InterAmerican Heart Foundation, Resuscitation Council of Southern Africa, Resuscitation Council of Asia); and the American Heart Association Emergency Cardiovascular Care Committee and the Council on Cardiopulmonary, Critical Care, Perioperative and Resuscitation.
Circulation. 2015 Sep 29;132(13):1286-300. doi: 10.1161/CIR.0000000000000144. Epub 2014 Nov 11.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25391522

2018/11/27

Review PCC


2018年12月のAnesthesiologyに掲載されていたPCCのReview

http://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2698978

PCC : Prothrombin complex concentrate

PCCに関する423の英語論文から周術期に関する36論文を中心としたnarative review

PCC
PCCはVitK依存性凝固因子 II VII IX Xを補充する血液製剤である。PCCには3-factorと 4-factor製剤があり、違いは3-factorにはVII因子が含まれていない(実際にはわずかに含まれているが少ない)。製品としては世界中で8製品存在する。

疫学
USでワーファリンによる治療を受けている患者は300万人。VitK拮抗薬(主にはワーファリン)の最も重大な合併症は出血であり、AfでVitK拮抗薬内服している患者の年間重症出血イベント発生率は1.0-7.4% (内服していない患者では0.1-2.5%)。特に脳出血は致命的になることがあり、ワーファリン関連出血による死亡数の88%は頭蓋内出血である。
VitK拮抗薬内服患者のMajor bleedingの死亡率は10-25%とされており、頭蓋内出血に限ると43.5%であった。

ガイドライン 

USと欧州で若干異なる点もある。
周術期、VitK拮抗薬を内服している患者が手術を受ける場合は5日前に中止することが推奨。緊急手術の場合はPCCがFFPよりも推奨。
Major bleedingでは 25-50U/kgのPCCをVitKと共に投与することが推奨。
この様なガイドラインの推奨にもかかわらず、FFPも現場では多く使用されている。
FFPはVolumeを必要とする様な大量出血の際には有効であろうが、デメリットとして、血液型照合まで投与できない、解凍時間を必要とする。輸液過多となるリスク、感染、TRALIのリスクなどがある。

日本でのPCC
2018年現在日本で使用できるPCC製剤は次の2製剤のみ。
・PPSB-HT静注用「ニチヤク」
・ケイセントラ
ケイセントラ(Kcentra)はヨーロッパでは異なる商品名で販売されている(beriplex) 。

PCC vs FFP 
3つのRCTと1つの後向き研究。PCC群では55%が30分以内にINRが1.3以下まで低下下が、FFP群では1.5%であった。投与量も40-100mlであり、投与時間は平均21分とそれに該当するFFPは141分である。またPCC投与群の方が手術時間も短くなった。手術開始までの時間もPCCの方が短いと。
止血効果はというと、PCC群で90%、FFP群で75%に止血効果が得られた。(止血効果ってどうやって測るんだ?)
死亡率には差を認めないとのメタアナリシス(13論文)がある。

PCC vs FVIIa 
FVIIa も凝固因子の補充として使用されるが、PCCとFVIIa ではINRの正常化までにかかる時間に差なかった。PCCとFVIIa の併用とPCC単独を比較すると、併用群ではDVTのリスクが増えた。またINRのリバウンド、脳出血の場合の血腫の増大傾向はFVIIa 群で多かった。

手術別
頭蓋内出血:RCTではPCC群とFFP群で死亡率は変わらず(17.9 vs 14.3%)という報告とPCC群の方が神経後遺症が少なかったとの報告あり。
心臓手術(特に心臓移植):PCC群の方がFFP群より早くINRを正常化、術後出血を減らすことはできるが、出血yによる再開胸止血術の頻度や死亡率には差はなし。閉胸にかかる時間はPCC群の方が短い。
外傷:外傷による大量出血ではRBC:FFP:PLT = 1:1:1の輸血により救命率が上昇したという報告があり、輸血は必須。ただ、外傷により凝固障害は起きる。ワーファリンを内服した患者の外傷例26例の後向き症例方向ではPCC使用によりINR 5.7から1.5まで改善が認められ、2日間維持された。

合併症(主に血栓症)
血栓症には差を認めないとの報告が多い。

その他
andexanet alfa
抗Xa製剤の中和材。USで2018年5月にFDA承認を受けたばかりでまだ使用できる施設も限られている様。

外傷患者に対して、4-factor PCCの方が有用という論文。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30074978


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読んで思った感想は、
・PCCは時間が売り!少量でも致命的になる様な出血では早急にINRを戻せる
・死亡率や再出血率は変わらず、FFPに完全にとって代わる薬ではない。
・大量出血ではVolumeも必要なのでFFPがいいのではないか?

低体温、PHと術後輸血


<今日の抄読会 by B先生>

術後の低体温とPH異常は術後の輸血量と関係するか

Hypothermia, pH, and Postoperative Red Blood Cell Transfusion in Massively Transfused Adult Cardiac Surgery Patients: A Retrospective Cohort Study.
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2018 Aug;32(4):1642-1647.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29290382

後ろ向きコホート study
n= 395人の心臓手術施行患者

手術終了時の体温、PHによって術後RBC輸血量に差があるかを検討した。
結果、低体温と術後RBC輸血量には差を認めなかった。
PH異常(定義は?)では術後輸血量は増えた。


PH異常がどのような原因によって発生しているのか?特にアルカローシスの原因は?

うーん。後で原著を読まないとこの発表ではわからんわい。。。

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追記(20181201)

研究対象となった395人は術中に大量輸血(RBC 8単位以上)を受けた患者
体温は36度以下を低体温とした。pH異常はpH 7.35-7.45を正常とし、それ以下、それ以上の3群に分類。結果として154/395がpH < 7.35  37/395が pH>7.45であった。

37人のアルカローシスの原因についてDiscussionされているが、重炭酸の使用、利尿薬、Contraction alkalosis、クエン酸が考えられるが、今回の症例の原因については不明であると。
代謝性アルカローシスの病態
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/95/5/95_5_859/_pdf


この論文で、まずなぜpHを指標にしたのかが謎である。pHの低い高いはアシデミア、アルカレミアであり、アシドーシスやアルカローシスではないし、病態としてAG等を考えてどういうアシドーシス、アルカローシスがあるかを言及しないと、結論が、pHを直せば術後輸血量が減るかもしれないとは言えない。
多変量解析までして、きっと400例近くのデータ集めも大変であったろうに。。。と苦労がしのばれるが、労多くして...
私もやりがちな研究方法であるが、こういうのは良くないと最近わかってきた。


2018/11/24

Vacation in Paris 3


 フランスのAED。DAE? 公園に設置されていた


<フランスの医療>
歯医者は看板を見かけるが、いわゆる開業医の看板は全く見かけない。救急医療を行っている医院(病院ではない)はポツポツとあった。開業医はメゾンの一室で予約をとって診療を行うのが通常と聞いていたが、おもてには何もわからない。安全上の理由なのかそれが慣習なのか。
病院にはかからないと実際の医療はわからないが、アクセスが良いものではなさそう。朝の8時ごろ、とある病院の前に人だかりを見つける。明らかに低所得の人々。外気温は1-2度なのにじっと待っている。いつ開くのだろうか。こちらが心配になる。
薬局は日本のコンビニ並み。

<フランスの高校生>
ちょうどリセの下校時間に遭遇した。フランスの高校生は騒々しい。
箸が転んでもおかしい年頃という表現があるが、そんなに集まって何を馬鹿騒ぎしているのか?と思うくらい騒いでいる。これに比べたら日本の高校生のなんとおとなしいことか。分別があるのか、文化の違いなのか、いわゆるどんちゃん騒ぎは欧米特有だと感じる。アジアの国、タイやパキスタンまでいくとよくわからないが、少なくとも日本、韓国、中国において若い子達が集団で派手に騒ぐという光景はあまり見かけないような。
(渋谷のハロウィーンの例があるが、あれは例外?)
その一方で、どこで躾けられるのか、ある種のマナーに関しては徹底していると感じることがある。肉やチーズは必ず一口大にナイフで切る(歯で噛み切らない)、メトロではお年寄りが乗車すると直ちに席を立つ光景に何度も出くわした。

<フランスの車>
12区での観察結果。ベンツ、フィアット、アウディ、ルノー、シトロエン、トヨタ、フォルクスワーゲンが多い。タクシーはトヨタとベンツがほとんどだった。
朝の通勤時間はルノー、シトロエンが多い。ミニバンはシトロエンがほとんど。公共バスはベンツだった。
服の色にはあれほど多彩なのに、フランスの車はほぼほぼ黒、白、紺、灰色の4択である。赤や青の車はほとんどない。

<フランスと日本の報道>
ちょうど日産のニュースが日本を発つときに発表され、フランスでも報道されていたが、報道されたのはたった1日だけだった。それ以降のトップニュースはストライキの事ばかり。そしてマクロン氏がなんとか。。。(聞き取れず)
日本が気にするほど、フランスでは全くニュースになっていない。

<移民の人たち>
私のフランス語がたどたどしいからなのだが、日がたつにつれ、やはり優しいのは移民の人たちだと感じる。20年前にインドのボンベイからやってきたという雑貨屋のおじさん、レバノン料理店のおじさん。屋台のおばさんも流暢なフランス語ではあるが、東南アジアの何処かの国からだろうか。どこの国でもそうだが、おじさんやおばさんは一人旅の女性に優しい。
シリアからの難民や移民がもっと問題なのかと思ったが、全く見ない。もっと南の方なのだろうか。市の周囲を走るトラムにも乗って見たが、ほぼほぼアフリカ人。いわゆる中東の人は少ない。

色々な人に助けられて楽しく旅行でき、感謝しています。

2018/11/23

Vacation In Paris 2


参考記事
http://www.sagawa-logi.com/column/scm/column024/

<差別について>
・アジア人の差別
旅行前から、フランスではアジア人は差別に遭遇するという話を聞いていたので、実際はどうなのだろうかと思っていた。
聞いたところによると、差別意識は以下の順となるらしい。
フランス人 > ヨーロッパ圏の他の白人 > 元々植民地であった国々の人々(アフリカ人) > アジア人
実際どうであったかというと、フランス人の欧州の他の国に対する差別は全くわからない。フランス語が話せるか、話せないかによる差別はあるが、(これは差別ではなく、単なる落胆や軽蔑なのかもしれないが)、人種による差別は感じなかった。この理由について考えると...
第一に人種差別的な発想を持っているのは、特に上流階級の人々であろう。おそらく。そのような人が出入りするような高級レストランや高級ショップに行くと、露骨に差別を感じるのかもしれない。私が接した一般の労働者と呼ばれる人達にはそのような意識はない。
スーパーで一人チーズの棚を見つめて思案していたところ、60代くらいのご婦人に話しかけられた。どうやら2つ買うと50%引きというものを買いたいけど、2つもいらないのよねといったニュアンスであったのだが、Oui, moi aussi, mais je ne sais pas francais. Excuse moi.
どう見てもアジア人な外見の人に普通に話しかけてくる。
第二にこれは推測でしかないが、アジア文化がフランスで浸透していることだろうか。SUSHI restaurantの多さ、植民地としていたベトナム料理店よりも多いだろう。私としては興ざめではあるのだが、ポケモンや日本のアニメのポスターが地下鉄の駅に大きく張り出されている。年配のフランス人はよく思わないのだろうが、少なくとも若い世代のフランス人はこれらの広告をするだけの価値のある消費者であるのだ。と考えると、その世代にアジアに対する偏見は少ないと考えられる(かもしれない)。ちなみに日本人も中国人もみんな同じに見えるらしい。

日本では相手が日本語を理解できないと、日本人の方が申し訳なさそうな態度をとることが多いが、これは本当に独特である(それの良し悪しは置いといて)

・フランス国内の差別
ではフランスの中では差別はあるのか?差別というのはなかなか可視化できないので旅行者がほんのわずかな期間滞在しただけでわかるものではない。しかしこれはアメリカでも同様であるのだが、明らかに職業的な違いがある。
ガードマン、朝早くからの仕事は圧倒的にアフリカ系の人々が多い。工事現場などの仕事もアフリカ系、ラテン系?が多い(アジア人はいない)メトロの客層も朝と午前中(10時ごろ)では全く異なる。朝早くから働くのは低所得者層と決まっているかのような有様。
待遇のいい仕事は既存民族のものであり、移民は底辺から這い上がっている。

しかし、若い世代になると異なる。フランスの小学校は昼休みに家に帰るようで、正午ごろになると門から一斉に出てきて迎えにきた保護者と帰って行く。彼らに人種による差別はない。リセでも同様であり、人種による差なく、行動も日本の高校生とあまり大差ない。こういった若い世代が人種による差別のない正解を作ってくれるのではないかと感じる。
移民の第一世代はたいてい成人であることを考えると、差別がない社会になるにはその次の世代が成人したとき、もしくは第3世代目が成人したときだろう。そう仮定すると、新しい人種が社会の中で差別を感じずに生活できる基盤ができるには100年くらいかかるのかもしれない。日本からのペルー、ブラジル移民もそのような歴史をたどったのであろうか。


<ファッションについて>
フランス人はオシャレだと思う。しかしそれはご婦人である。若い人はそうでもない。
流行を取り入れるという概念は全くない。みんな判を押したようにタイトなブラックジーンズにセーター、ストールとコート、もしくは黒いタイツにスカートである。それは確かにオシャレなのかもしれないが、みんな同じ服装とも言える。
変わってご婦人はオシャレである。服はシンプルでもピアス、髪型、メガネ、そしてカバンといったものに個性が光る。お金をかけているのもわかる。
日本の若い子は流行に敏感で奇抜な服装も多いが年齢を重ねるにつれて無難なファッションになるのとは対照的だと感じる。

2018/11/22

Vacation in Paris





夏休みを利用して一人でパリにいる。1ヶ月前にサンフランシスコに行ったものだから、二つの国(日本も入れると3つ)の比較が非常に興味深い。

<空の旅>
今回はエールフランスを利用した。サンフランシスコにはJAL。エールフランスであったせいもあるだろうが、乗客は80%以上がフランス人もしくは日本人ではない人たち。
日本人ばかりのJALと異なり面白かった。今度海外に行くときはJAL以外で行こうと決心した(断っておくがJALの機内サービスは素晴らしい)。
・みんなトイレに行かない。
食事が終わってもトイレに行く人はほとんどいない。それどころか、11時間のフライトで私の隣座席の女性は1回もトイレに行かなかった。もちろん歯を磨くという人もほとんどいない。日本人はトイレへのこだわりが強く機能性の高いトイレは有名だが、そもそも人生において最もトイレを身近に必要とする民族なのかもしれない。
・以外に静か
機内に乗り込んだあと、フランス人はよく話すと聞いていたが、とても静かだった。手荷物預け入れ時のカウンターの状況から察するに私のような一人で旅行する人はほとんどいないはずであるのに、話をしている人はほとんどいない。
・急性アル中にはコーラ?
初めて機内でのドクターコールを経験した。症状は軽症で大丈夫だったのだが、日本人のCAさんから、「フランスでは酔いがまわりすぎた時にはコーラを飲むよう言われているそうです」と聞いて驚愕。そんなこと聞いたことない。
むしろ炭酸は気持ち悪くなりそうなものだが。。。まあアルコールを分解するのに糖質が必要になるので、糖分を摂取するのは理にかなっているのだが、別にコーラでなくてもいいだろうに。そして日本人でもフランス人でも何人でも共通なことであるのだが、言語が通じないというだけで、医療に関する不信感は強くなる。医者であることの証明をお願いしますと言われた。医師免許の大きな紙を持ち歩いていないし、善意で診たのに、不審の目で見られるのは辛い。

<パリの街、人>
・道は綺麗
汚いとの噂がたくさんあったが、綺麗である。ゴミは落ちていない。季節柄、枯葉が多い。道を掃除する清掃車がいたるところで働いていた。道にゴミを捨てる人もほとんど見ない。素晴らしい。私の住んでいる東京のある地域の方が汚いくらいだ。
・喫煙率高い
サンフランシスコに比べて格段に喫煙率が高い。女性の喫煙、歩きタバコが目立つ。日本と喫煙率は変わらないくらいかもしれないが、日本は歩きタバコ禁止条例が普及してからか、こういう光景にあまり出くわさなかったと思い知らされた。
・メトロは静かに、かつ乱暴に動く
日本の地下鉄がいかに過剰に放送し、いかに過剰に正確性に気を使っているかを知らされる。観光地の駅以外、ほぼ放送はない。車内の広告もほぼない。案内もシンプル。
停車時、まだ動いているのにドアは開く。高齢者には優しくない。
しかしこれはフランスでの高齢者率が日本と比較して低いことに起因するのかは不明。
・信号は基本守らない。
これはサンフランシスコでもパリでも共通していることであるが、車の通っていない赤信号を律儀に守るのは日本だけである。車が通っていない=渡ってよしと考えている。
歩行者だけかと思いきや、車もその調子で驚く。
交通事故はまだ見てないが、交通事故発生率はどの程度なのだろうか。
・京都に似ている
パリと京都を一緒にすると、パリ人も京都人も気を悪くするのかもしれないが、似ている。観光地や繁華街には観光客向けの店が並び(特に美味しい訳ではない)、値段も高い。地元の人はそんな店には行かない。何を目的に行くのかにもよるのだろうが、パリを楽しむとしたら、いかに観光客が行きそうな場所をさけるかが重要だ。
とはいっても、パリは京都ほど治安がいいわけではないので、勝手気ままに歩き回るのも問題だ。

<フランス語>
・話せるに越したことはない。
通じると嬉しい。もっとフランス語を勉強してからこればよかったと一番反省した。

<料理>
・食事の量
アメリカは一食あたりの量が多いが、Box pleaseで持ち帰りができるので問題ない。フランスは一食あたりの量はアメリカほど多くないと聞いていた。が、違った。日本人にしてみれば、一皿一皿が一食分くらいの量である。Menu (前菜、主菜、デザートの決まったセット)はよっぽどの大食漢な人しかお勧めしない。
とある店で、前菜を平らげるのに30分かかり(それでも1/3ほど残してしまった)、これをフランス人は食べきれるのか?と疑問に思っていた。しかし私が入ってから30分後に入店したビジネスマン(パリに出張で来たと思われる感じ)は私と同じメニューの前菜を10分程度で平らげ、あっという間に私を追い抜いてお勘定をして去っていった。
胃袋が違う。。。
・ブーランジェリ、パン
美味しい。そして安価。そしていたるところにある。フランスにきて最もよかったと思う瞬間。有名な店がガイドブックにのっているかもしれないが、どこに入っても美味しい。
・酪農製品
スーパーに行くと、フランスは酪農の国であることを思い知らされる。ヨーグルト、ミルク、そしてチーズ、バター、数えきれない種類と量。これと対峙できるものを日本は持たない。アメリカは...アメリカにもない気がする。というか、日本のスーパーはアメリカのスーパーの縮小版だから仕方がない。
・多少の傷は気にしない。
これは日本以外の国に言えることで、日本が異常なまでに潔癖なのだと感じいる。
サラダの葉っぱが変色していたり、ややしなびていても気にしない。土がついていることもある。売っているりんごや野菜もお世辞にも美しいとは言えない。むしろ日本のレストランやスーパーで売られている野菜は異常なまでに綺麗なのだ。
どっちがいいかは人それぞれだろうし、文化的な背景もあろうが、This is Japanというフレーズの中には、このような潔癖さが多分に含まれていると感じる。
・コーヒーはカフェで座ってのむ。飲み歩きはしない。
アメリカはコーヒーは持ち歩いている人が多かった。フランスは皆カフェで座って飲む。




2018/11/03

ICUでRRTを始めるタイミング など


うちの病院でも勉強会を始めようと真剣に考えて。


ICUにおけるRRT開始タイミングについて 特に敗血症の患者を対象に。
early strategy vs standard strategyで予後に差はなかった。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803213



2018年9月に出た論文。
心臓手術における制限輸血が6ヶ月後の予後に及ぼす影響について、
差はなかったというもの。非劣性を目的として行われた。
TRICS III trial
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1808561


Transcatheter Mitral-Valve Repairの適応
EF 30% 程度の low EFの患者でもMitraCripを実施しても良いか?のRCT
現在の患者適応は EF > 30となっている。このRCTによって今後さらにMRのカテーテル治療は進みそう。
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1806640