2018/11/28

Epidural vs IV analgesia in Laparoscopic colectomy and gastrectomy


新しく来た外科の先生たちが色々と楽しいので、今まであまり気にしていなかったことを調べてみた。

Epi : 硬膜外麻酔

腹腔鏡の場合、下部内蔵手術はEpi要らないが、上部はいるでしょ!
下部内蔵手術でも臍部の小切開が大きい術者の場合はEpiがあったほうがいいでしょ!
というのが今までの経験上と周りの麻酔科医の先生との一致した意見だったのだが...
本当のところはどうでしょうか。


<腹腔鏡下下部内蔵手術>

Surg Today. 2017 Feb;47(2):174-181. doi: 10.1007/s00595-016-1356-y. Epub 2016 May 19.
Postoperative analgesia using fentanyl plus celecoxib versus epidural anesthesia after laparoscopic colon resection.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27194126

北海道大学消化器外科からの報告137人の後ろ向き研究。EpiとIV Fentanyl+NSAIDSで術後鎮痛ではIV fentanylの方が痛みが少なかった、手術室の滞在時間はIV Fentanylの方が短かったと。PONVはどうやねん。

Br J Anaesth. 2012 Aug;109(2):185-90. doi: 10.1093/bja/aes106. Epub 2012 Apr 23.
Retrospective analysis of the effect of postoperative analgesia on survival in patients after laparoscopic resection of colorectal cancer.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22525284

イギリスから。後ろ向き。IV PCAで使用する麻薬が癌発生に関与する免疫機能の抑制等に関係するのではという点から、術後疼痛と患者の生存年の関連を調べた。
epidural=107, spinal=144, and PCA=173
spinalが結構多くて驚く。Overall survival, disease-free survivalには差を認めなかったが、Epi群の入院期間は有意に長かったと。

JAMA Surg. 2014 Feb;149(2):130-6. doi: 10.1001/jamasurg.2013.3186.
Epidural analgesia in laparoscopic colorectal surgery: a nationwide analysis of use and outcomes.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24336894

アメリカの全国調査。アメリカの医療はかなり独自路線を歩んでいるが、こういう全国規模の調査をきちんと論文しているのはすごいなと思う。
9年間での191576 症例(laparoscopic colorectal procedures)を対象。
アメリカではラパコロンに対してEpiを入れているのは2.41%のみ
Epiを入れると入院期間が長く、入院費用も高くなるが、合併症については差はないと。
Epidural analgesia did not affect the incidence of respiratory failure, pneumonia, anastomotic leak, ileus, or urinary retention.

Hepatogastroenterology. 2014 Jul-Aug;61(133):1213-9.
Thoracic epidural analgesia (TEA) vs. patient controlled analgesia (PCA) in laparoscopic colectomy: a meta-analysis.

メタアナリシス
7つのRCTを評価したところ、Epi vs IV PCAで、入院期間、消化管機能には差を認めなかったと。IV PCA 群では嘔気、嘔吐が有意に多かったがその他の合併症では差を認めなかった。

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教科書・成書
今手元にある、「手術後鎮痛のすべて」文光堂 2013年より

腹腔鏡の手術では開腹と比較して術後1-4時間程度までは痛みが強いが、その後は開腹の方が痛みが強い。日本でのアンケート調査による下部腹腔鏡でのEpiの使用は59%程度。
IVPCAのみだと術直後の痛みは取れないことが多いため、局所麻酔使用が有効である。
局所麻酔を術野で使用する場合は気腹前or直後の方が効果がある。

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<腹腔鏡下上部内蔵手術>
論文少ない。

Acta Med Okayama. 2018 Feb;72(1):95-98. doi: 10.18926/AMO/55671.
Randomized Controlled Trial of Epidural versus Patient-controlled Intravenous Analgesia for Postoperative Pain Control after Laparoscopic Gastrectomy.

岡山大学からの研究プロトコル。今研究中。

Surg Endosc. 2017 Nov;31(11):4688-4696. doi: 10.1007/s00464-017-5537-6. Epub 2017 Apr 7.
Comparison of the effects of patient-controlled epidural and intravenous analgesia on postoperative bowel function after laparoscopic gastrectomy: a prospective randomized study.

86人の患者のRCTでEpiとIVPCA比較している。術後1時間の疼痛はEpiの方が少なく、また術後のOpioidの使用量も少なかったと。
韓国延世大学。