2016/05/31

小児の分離肺換気の方法

小児の分離肺換気について メモ

小児特有の問題は以下の通り。
1) 酸素化(低下しやすい)、2) 気道内圧(高くなりやすい)、3) ディバイスがそれほどない

体重が3kg( 2.5kgでも?)から分離肺換気は可能。
しかし体重が低いほどリスクも高い。

成人では分離肺換気の時にはPEEPをかけるべきか否かには論争があるが、
子供ではかけるべき。5-4程度の生理的PEEPの範囲で。

4mmのチューブだと、ファイバーで腔がギリギリとなるため、ブロッカーをチューブの
外にすることもある。ただ、外に置くと位置異常を起こしやすい。
できるだけ中に入れる努力を。
fogartyカテーテルをブロッカー代わりに用いることも。
 (サーフローで穴あけて、そこからfogertyカテを入れる)


分離肺換気のときの気管支ブロッカーを用いた、CPAPの方法
(ブロッカー挿入側のCPAP)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19234830



2016/05/22

TAVIにおける循環動態管理 case report

読んだ論文はメモしないと忘れる。

CASE 1-2016 Problem-Solving in Transcatheter Aortic Valve Replacement: Cardiovascular Collapse, Myocardial Stunning, and Mitral Regurgitation.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26119409

症例カンファ
91yo F severe AS → TAVI  23mm Sapien
rapid ventricular pacing (RVP)でdeploymentを実施した。
バルーン拡張RVPの終了時にmild ARを認めた。その後Sapien挿入時のRVPでは平均血圧は40にまで低下。deployment後に徐脈と血圧低下が遷延し、severe MRを認めた。
ボスミンのボーラスを行い、またIABPを挿入した。
IABP挿入後も血圧は上がらず、ARは増悪した。TEEでSAMによるLVOTOを確認し、volume
負荷とカテコラミンの中止により、血圧は戻って来た。

TAVI後の心室のstunningはRVP後によく起こることであり、早急なカテコラミンによるサポートがいつ用である、しかし、このカテコラミンがSAMを起こすこともある。
LVOTOのリスクファクターは以下の通り。
LVED径 < 4,2cm  中隔と後壁の壁厚比 > 1.5 僧帽弁の前尖後尖比 < 1.3 C-sept < 2.5cm
ASで心筋肥大しているとなりやすい。
またRVPで心筋のO2バランスが崩れるため、心筋肥大している症例ではその後の立ち上がりが悪いこともよく起こる。
徐脈はさらに心筋O2供給を低下させるため、PAカテのpacingを用いるのも1つの手である。





2016/05/15

INTERMACS annual repot 2015


2015年12月に発表INTERMACS report。毎年発表されている。

とりあえず、読んだ論文はまとめないと忘れる。

Seventh INTERMACS annual report: 15,000 patients and counting.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26520247

USAにおけるVAD装着患者に関する年間報告
2006年から2015年の間に15000人を超えるVAD挿入症例が報告された。以下羅列。

定常流のLVAD単独症例が最も多く11672人、定常流のBiVADが358例、
TAHは301例ある。残りは拍動流型。90%の患者はLVAD単独である。
VAD挿入は2008年から2014年にかけて顕著に増加したが、2014年にプラトーに達した。
46%がDT(destination therapy)で30%がBTT(bridger to transplant)、23%がBTC(bridge to candidacy)である。BTTで登録された患者の30%が1年以内に移植を受けている。
VAD挿入時に移植登録されていない患者では1年以内の移植率は20%程度である。
LVAD単独は、BiVADと比較して予後はよい(BiVADの1年生存率は50%)。
ポンプの種類によって(定常流か拍動流か)での予後には差がない。
BiVADとTAHでの比較ではTAHの方が若干予後がよかった。
BTTとDTで比較すると、DT患者の方が予後は悪い。
手術回数での比較では手術回数が1回と2回でも差をみとめ、また3回は著しく予後が悪くなる。
VAD装着後のQOLは挿入前よりもすべての群で改善していた。
INTERMACS level 1でのVAD挿入も15%あった。
VAD装着時のINTERMACS levelによって生存率には差はほとんどなかった。
ただ、年齢が65歳以上になると、Level 1,2はLevel > 3と比較して死亡率が高くなる。
Levelによる死亡原因には差を認めなかった。最も多い原因はneurologic event(18.0%)で次に多臓器不全、感染と続く。

PediMACS 小児のVAD症例結果
USAで251例が登録されており、5歳以上が50%。ほとんどが定常流である。6ヶ月生存率は90%、12ヶ月生存率は60%である。

MedaMACS 外来心不全患者へのVAD症例結果も報告されている。


Acute massive pulmonary embolism


肺塞栓で手術までいたることはどの程度あるのだろうか。

Surgical embolectomy for acute massive pulmonary embolism.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25664045
2000年から2013年までにあったPE手術の症例報告。トルコから。
斜め読みしかしていないけど、手術は一定の効果があるとの結論。


Management of acute massive pulmonary embolism: Is surgical embolectomy inferior to thrombolysis?
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26569368
45人のacute PEの患者の後ろ向き研究。 韓国から。19人が線溶療法のみ、23人が手術による血栓除去術を施行。生存率は手術群の方が高かったとの結論。しかし後ろ向き研究。


Massive Pulmonary Embolism Mimicking Acute Myocardial Infarction: Successful use of extracorporeal membrane oxygenation support as bridge to diagnosis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26935163
症例報告。胸痛の訴えとST上昇の所見から当初心筋梗塞と間違われた症例。arrestとなり、ECMO挿入してカテ検査へ。検査で診断がつき救命できたとの報告。台湾から。

2016/05/06

Rosuvastatin doesn't prevent Afib after cardiac surgery

NEJMにRosuvastatin(クレストール)の論文が載っていた。
結果としてはNegative dataだったわけだが、いろいろと勉強になった。
統計を勉強し出すと、どんな統計手法をつかっているのかに興味がわく。

Perioperative Rosuvastatin in Cardiac Surgery
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1507750

心臓手術後の心房細動の予防として、スタチン製剤であるRosuvastatinが効果があるか?を他施設で行ったRCT。 STICS trial

P: 予定された心臓手術を受ける患者 1922人
I : 手術の1w前からRosuvastatin 20mg/dayを内服する
C: placeboの内服
O: 術後5日目までの心房細動の発生率、心筋ダメージ(トロポニンTの測定)
 2ndly outcomeとして入院期間中の死亡(原因を問わず)、入院日数、ICU滞在日数、入院期間中の心房細動の診断、退院時のEF、腎機能障害とした。

そもそも心臓手術後の患者は35%で心房細動が起こるが、この原因として炎症反応があることがわかっている。スタチンは抗炎症作用があることがわかっており、その効果により心房細動が予防できるかを調べた。
サンプル数の決定:心房細動の発生率の差を25%、トロポニンTのAUCの面積差を15%だすことを想定してpower 0.8でサンプル数を求めたところ、1000人の患者が必要であった。
このため2000人をエントリーさせることを目標として研究を行った。

対象患者の86-87%がCABGであり、残りがAVRであった。(on/off pumpは 50:50程度)

結論としては、Afibの発生率には差は認められず、トロポニンTの値にも差はなかった。
しかしRosuvastatin投与群ではクレアチニンレベルが上昇しており、AKIの基準を満たすため、Rosuvastatin投与によりAKIが増加する可能性があるとの結論となった。

これより前におこなわれていたスタチンの研究ではAtorvastatinが効果があったとのRCTがあるが(ARMYDA-3 trial)が、それ以外で明確な効果を示す大規模研究はない。
また本研究では年齢が比較的若く(平均年齢 60歳)、術前のEFも良い状態(EF 60程度)であったことから、差がでなかった可能性もある。より重篤で高齢者の場合は差がでるかもしれない(とまでは言っていない。)。

ここでつかっていた統計手法
ANCOVA 分析 共分散分析 トロポニンTのAUC分析に使用している。
 共分散分析については後で勉強しよう。
欠損値の補完のための手法はRubin's method を使用。このRubin氏は統計における欠損データの取り扱いの手法を築いた先生。
multiple imputation多重代入法という方法で欠損データを補完している。これはRでもできるのかな。→もちろんできた。





2016/05/05

ANOVA memo for me

GWのまとまった時間をつかって統計を勉強。

分散分析 
多群におけるデータ(2値ではないデータ)の比較に用いる手法。
前提として、1) 正規分布していること、2)等分散であること を満たす場合に用いられる。
この2つを満たさない場合はまた別の検定方法で行う→ WillcoxonのT検定。

分散分析はその名の通り、多群におけるデータの分散を検定する。

被験者間因子と被験者内因子の違い
被験者間因子:その名の通り被験者1,2,3でそれぞれがもつ因子。性別とか、年齢とか。
被験者内因子:被験者1の中で経時的にもつ因子。例えば薬Aを飲む前の血圧、飲んだ後の血圧など。

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ANOVA・分散分析について とりあえず基礎から。
小野氏のよくわかるサイト。不偏分散ってなんぞやと思っていたあたりが腑に落ちた。
http://elsur.jpn.org/resource/anova.pdf

R で使えるANOVA君のサイト by 井関氏
http://riseki.php.xdomain.jp/index.php?ANOVA君

そう、Rは統計ソフトと思っていたが、ブログラミングソフトでもあるのだ。
関数がなければ自分で関数が作れる
(javaでいうところのオブジェクトみたいなものだと認識しているが)
そういうコンセプトで作られているANOVA君は相当すぐれものらしい。


2016/05/01

Books R statistics



今まで読んだ統計の本は、何かしらの論文に使われている統計手法を解説していくという類のものだったが、これは、データがあり、それを元に統計手法を実際のRで使えるよう説明されている。
いわゆるあんちょこ本ではあるが、今の私には非常に勉強になった。

統計ソフトとしてRは素晴らしいと思っているので(ほかのソフトを使えないだけだが)
こういう本を足がかりにもっと学びたい。