2014/05/31
成人の先天性心疾患
とりとめもなくメモ
・チアノーゼ心疾患を持つ場合は非チアノーゼ性よりリスクが高い。
http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/31/17/2124.full.pdf
・先天性心疾患では心拍応答低下していることがあり、分娩後出血に気づきにくい。
(出血していてもHRがあがらない)
・TOF術後の心合併症、不整脈のリスクはPRと相関。
・Fontan術後の管理
肝障害はFontan術後年数と相関して増加する。 CVPの上昇が関係しているが、
下げたところで発症頻度がへるわけではない。
タンパク漏出性胃腸症(PLE)は予後不良な疾患。Albの低下を認めたら即対応しなければならない。
不整脈多い。特に上室性頻拍。 また術後遠隔期にVTを発症することがある。
・相同心は不整脈おこりやすい。
2014/05/26
anesthesia of Extremely low birth weight infant
超低出生体重児が受ける手術としてはPDA ligationが多い。
PDA ligationはインドメタシン療法を2コース行ってもPDAが閉鎖せず、肺うっ血が出現した場合に考慮する。
超低出生体重児では以下の合併症を効率に合併する。
RDS、脳室内出血、脳室周囲白質軟化症、未熟児網膜症、壊死性腸炎、無呼吸、
低体温、低血糖
1990年後半はら2000年台に欠けてはNICUで手術が施行されることが多かったが、
最近では手術室での手術が増えてきている。
体位:右側臥位。
モニター:
PDAがAortaと同じくらい太いCaseがあるため、上肢(できれば右手)および下足で酸素飽和度をモニタする。心電図、SpO2 A-kineで圧をモニタする。
呼吸管理:
手術前はHFOで管理されていることが多いが、術中はHFOでは術野からの圧迫等に耐えられなくなるため、IMVモードに変更する。 酸素化をみながらPIPおよびPEEPを決定する。
呼吸器回路はできるだけNICUと同じ機種を持ちいる。
未熟児網膜症のリスクをさけるため、できるだけFiO2は低く保つ。
導入:
フェンタニル、ベクロニウム/ロクロニウム、ミダゾラム
セボフルランやイソフルランといった吸入麻酔や循環動態が不安定となるため、用いない方が望ましいというのが一般的な見解のようだ。
ただしミダゾラムでも低血圧などを引き起こすことがあるため注意する。
維持:
フェンタニルの追加 手術自体はPDAのligationであり、1時間弱で終了する。
バイタルの変動をみながらフェンタニルを追加する。
50-100mcg/kg程度の大量フェンタニルを使用することで術中の安定を得られるとする報告も。
なにより呼吸! 未熟児は無呼吸、肺虚脱がおこりやすい。
参考:
Clin Periar Anesth 2003;9:123-125
IRVO 1999;53(9):601-605
Best Practice & Research Clinical Anaesthesiology Vol. 18, No. 2, pp. 273–290, 2004
2014/05/25
Anesthesia for liver transplantation (2)
Preoperative assessment
・術前精査(baseline):血算、尿酸、クレアチニン、電解質、肝機能検査、凝固機能検査、ウイルス精査(水痘、ヘルペスを含む)、白血球分画、抗体、血ガス、ECG、Xp、心エコー、呼吸機能検査
・術前精査(specialized):潜在性冠動脈アテローマの精査は注目されている分野で、グラフト非関連死亡の大多数を冠動脈疾患が占めている。American Association of the study of Liver Diseaseでは50歳以上、CADの家族歴があるもしくは既往歴がある、糖尿病をもつ患者ではドブタミン負荷心エコー検査を行うべきとしている。しかし最近では心筋シンチでより正確にCADの診断ができるという報告もある。重症ではない多枝性のCADが1年生存率、病院滞在日数鵜、術後カテコラミン使用に影響を与えるという報告があり、原因として免疫抑制剤よってアテローマの形成が促進されると考えられている。
しかし術前精査でCADが見つかった場合にどのような治療を行うかについてのコンセンサスはない。PCI、CABGともに報告はあるが、数は少ない。
呼吸困難と低酸素血症をきたしている患者では肝肺症候群を疑って精査を行う必要がある。bubble testが有効である(PFOの診断で行う bubble testとほぼ同様)。3,6拍後に左房にbubbleが認められた場合は肝肺症候群を疑う。
Anesthesia management of Liver transplant procedure
肝移植は5つの段階に分けられる。
1) preoperative care and consent
2) induction and monitoring
3) preanhepatic phase
4) anhepatic phase
5) reperfusion and wound closure
・
2014/05/24
Anesthesia for liver transplantation (1)
Anesthesia for liver transplantation.
Semin Cardiothorac Vasc Anesth. 2013 Sep;17(3):180-94. doi: 10.1177/1089253213481115. Epub 2013 Mar 12.
Hall TH1, Dhir A.
Introduction
・1967年に初めての同種肝移植が実施された。
・肝移植の適応は以下の7分類
1) 非胆汁性肝硬変:アルコール性、ウイルス性肝炎、脂肪性肝炎
2) 胆汁性肝硬変:PBC、PSC
3) 胆道閉鎖症
4) 急性肝細胞壊死:薬剤性、ウイルス性、移植後機能不全
5) 代謝疾患:ヘモクロマトーシス
6) 悪性疾患
7) その他:Budd-Chiari症候群等
Liver transplantation in North America
・アメリカでは慢性肝疾患で75万人が毎年入院しており、4万人以上が肝不全で死亡している。2000人が急性肝不全で肝移植の5-6%を占める。
・アメリカでの移植後の生存率は1年、3年、5年でそれぞれ87%、78%、73%。
・ドナー不足のため、移植登録した患者の5-10%が移植を受けられずに死亡している。
・アメリカではUNOSが移植のコーディネートをしており、移植登録はMEDLスコアによっを参考にしている。
The Physiological Effects of liver disease
・循環:心機能と肝機能は密接な関係にあり、移植を受ける患者において心機能は予後を決める重要な要素である。
(心機能低下)
肝不全状態の患者は特徴的な循環形態を示す。高心拍出量とHR上昇、低血圧である。肝硬変の患者では肝臓における代謝機能が低下しているため、門脈の内因性物質が体循環にまで「漏れる」ことで血管の拡張をもたらす。これを代償しようとしてCOは増加すうr。
また肝機能不全では交感神経系の活性とカテコラミン増加も認められ、これがいわゆる"hyperdynamic circulation"をもたらす。しかし一方で肝不全の患者はストレスに対する循環器系の反応が鈍く、慢性心筋症という状態ももたらす。これらの心機能の低下が移植後の長期予後にどのような影響をもたらすかについては不明な点が多い。
(冠動脈疾患 CAD)
歴史的に肝不全の患者では低血圧、低コレステロール、エストロゲン高値であるため、CADはおきにくいとされていた。しかし最近の研究ではこの主張は否定されている。
脂肪肝でない肝不全ではCADのリスクは低いが、脂肪肝ではCADのリスクは高く、移植前のCADの有無は予後を悪くする。
(右心不全と門脈肺高血圧)
肝不全患者では肺動脈圧の上昇を認めることがある。しかし肺動脈圧が単に高値であるだけでは、移植の禁忌にはならない。肝不全の患者の30-50%はやや肺高血圧であるが、肺血管抵抗は正常であり、hyperdynamicな循環状態により相対的に肺高血圧となっていると考えられる。
肺動脈圧が 240 dyne s cm-5 以上の場合にportopulmonary hypertention(門脈肺高血圧)と診断する。肝硬変患者で門脈肺高血圧を伴う頻度は6-8%である。病態は不明であるが、遺伝子が原因として考えられ、なんらかの理由で肺動脈の内径が狭くなると考えら得る。重度の門脈肺高血圧を合併した患者の死亡率は9ヶ月で42%と高値である。
門脈肺高血圧は移植後生存率を悪化させる要因である。
・呼吸:多くの肝不全患者では呼吸困難を訴える。
(肝肺症候群)
原因は肝不全に伴う肺血管拡張によるシャントである。肺毛細血管の径は通常15um以下であるが、これが100um以上にまで大きくなることでV/Qミスマッチを引き起こす。呼吸困難で発症する。重症度はPaO2によって分類され、Room airでPaO2 60-80をmild、50-60をmoderate、 < 50をsevereとしている。薬物治療で認められているものはない。移植をしなければ肝肺症候群の予後は悪い。移植後に数ヶ月かかることがあるが、症状が改善するという報告がある。
(胸水と腹水)
胸水と腹水は門脈圧亢進の一般的な合併症である。肝性胸水は腹水が胸腔に移動したもので、腹水のある患者の10%に認められる。右側がほとんどである。症状は頻呼吸と低酸素血症である。大量の胸水が存在する場合は術前にドレナージを行うことが望ましい。
・腎機能:急性腎障害は肝硬変によくある合併症であり、重症なものは肝腎症候群である。重症な慢性肝不全の患者では血管症のvolume不足により腎前性腎不全をきたす。
肝腎症候群は2つのタイプに分類される。
Type 1は急性に糸球体が減少するもので、平均生存は2週間である。Type 2はおだやかな進行で腎機能が低下するもので平均生存は月単位である。肝腎症候群は鑑別診断も重要である。血管内脱水による腎不全や薬剤性腎障害、SBP等の感染性腎障害を除外する必要がある。術前に腎機能障害が進行している場合は術中の腎代替療法を積極的に考慮すべきである。
・中枢神経系:慢性肝不全の患者は肝性脳症を伴う。行動の変化や無気力から重症な場合は昏睡状態となる。肝性脳症の病態生理は複雑でよくわかっていない。アンモニア濃度は脳症の程度の指標になるとされているが、脳機能とアンモニア濃度の相関関係はおおまかなものでしかない。他にもグルタミン酸、グルタミン、セロトニン、乳酸、ピルビン酸が脳機能と関係しているとされている。治療は窒素負荷を減らした食事、また鎮静薬(特にベンゾジアゼピン)の使用をさけること、消化管出血の予防、メトロニダゾールやリファンピシンにより腸管内の細菌活性を抑制することでアンモニアの産生を減らすことなどがある。肝性脳症を伴う肝不全の患者の65%は脳浮腫、ICP亢進を伴っているとされている。
・凝固系:肝不全の患者ではPT、APTTの延長を認める。血小板は正常か上昇していることがあっても、脾機能亢進により血小板減少症をきたすことがある。しかし術前の凝固機能が異常であっても出血量との相関はみとめない。肝不全の患者の凝固系はおそらく既存の凝固検査以外の何かでバランスが取られていると考えられている。しかし凝固機能が強固なものではないこともたちかで、肝不全の患者では出血しやすいのと同時に血栓形成傾向にもある。
・消化器系:門脈亢進症によって食道静脈瘤等を起こす。上部消化管出血のリスクは肝移植をうけるすべての患者で考える必要がある。食道出血の予防目的にβブロッカーの内服をおこなうことがある
・その他:肝不全の患者は感染症のリスクが高く、移植後は免疫抑制剤の内服によりさらに易感染傾向となる。感染予防の対策が重要である。
門脈肺高血圧症と肝肺症候群の違い
portopulmonary hypertentionは門脈圧亢進症に関連した肺動脈圧高血圧症で右心系への後負荷のため、心肥大を来す。症状は胸痛や失神である。
hepatopulmonary syndromeは肺血管拡張によりシャントが生じ、十分に酸素がができなくなった状態をさす。このため心機能には異常を認めないが、進行性の呼吸苦を伴う。
2014/05/20
ロクロニウムとベクロニウムの違い
今働いている病院は、ロクロニウムとベクロニウムがどちらもある。
たいていの外から来た先生は、「マスキュラックスなんて最近使ってないわ〜」と。
全く使ったことがない先生も多い。私も外勤先、初期研修医先含めてマスキュラックスを
見たことない。
効くのが早い。蓄積しない(代謝されないまま排泄)。確実なリバース。。。
とロクロニウムの方が利点だらけにも見えるが、
海外ではそこまでロクロニウム優位に使われているわけではなく、
半々程度らしい。
アナフィラキシー
アナフィラキシーはロクロニウムの方が断然多い。
しかもロクロニウムでアナフィラキシーを起こすと、ベクロニウムにも感さされてしまうことがある。
日本での発表では、周術期のアナフィラキシーの半数以上がスガマデクスとロクロニウムで起きている。(n=22)と少ないのだが。
オーストラリアの調査では、サクシニルコリンとロクロニウムのアナフィラキシーの発生率は同党で 1/2000件程度であると。
でもロクロニウムはリバースできるから〜と、ルーチンに持続でOpe終了まで使って
必ずスガマデックスでリバースするというのは、とても抵抗がある。
ロクロニウムは血管痛があるが、ベクロニウムにはないのだろうか?
それもこの前後輩と麻酔をかけていて、とても疑問に思った。2019年4月追記
2019年追記
この文章を書いた当時、アナフィラキシーが起きた時、
(まあ膨疹程度を想定していたのだろう)、H2ブロッカーなどヒスタミンブロッカーを投与することを書いていたのだが、今読み返して、あほだったなぁと思う。
アナフィラキシーで血圧が下がったら、迷わずエピネフリンを注射すべきなのに。
Nicorandilを術中にいれるか?
OPCABGで使ったけど、非使用群と比較して有意な差を認めなかった。
1: Ito I, Hayashi Y, Kawai Y, Kamibayashi T, Matsumiya G, Takahashi T, Matsuda H,
Mashimo T. Prophylactic effect of intravenous nicorandil on perioperative
myocardial damage in patients undergoing off-pump coronary artery bypass surgery.
J Cardiovasc Pharmacol. 2004 Oct;44(4):501-6. PubMed PMID: 15454860.
非心臓手術の患者でつかったら心血管イベント減った。
しかし、nがそもそもニコランジル群少ない。
1: Kashimoto S, Seki M, Ishiguro T, Yoshioka H, Nagata O, Nishimura K, Kikuchi T,
Yamada T, Iwade M, Omi A, Honda O, Sakamoto A, Ogihara Y, Fujimoto K, Nakaigawa
Y, Kato J, Watanabe A, Nomura M, Takeda J. Nicorandil decreases cardiac events
during and after noncardiac surgery. J Clin Anesth. 2007 Feb;19(1):44-8. PubMed
PMID: 17321926.
狭心症の既往のある患者の手術で、ニコランジルをルーチンに使用している病院もあるが、
あんなの意味ないよね〜 という人も。
しかしそう簡単には決めつけずに、どういう人に意味があって、
どういう人には意味がないのか。 これ以外にも文献があった気が、読んだことが
ある気がするんだけど、見つからない。
そもそもニコランジル、海外ではあまり注目されていない。
むしろニコランジルの副作用である皮膚潰瘍の論文が多い…。
2014/05/14
ペインクリニック 腰痛
初めのころは全く面白くなかったペインクリニックが少し面白くなってきた。
身体表現性疼痛も、非特異的疼痛も、質問の仕方で治療法が見えてくることもある。
菊池先生の書かれた「腰痛」という本がすばらしい。
やはり一人の先生が魂を込めて(?)書かれた本は素晴らしいと思う。
菊池先生の手紙なるものが福島県立医科大学にあるが、これがまた素晴らしい。
http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/
心筋保護 memo
心筋保護液の基本原則
・心停止していること
・低体温であること
・エネルギーを供給できること
・適切なpH
・膜の安定化
・心筋浮腫の予防
プレコンディショニング作用のある薬物
吸入麻酔薬、麻薬一般、PDE III阻害薬
プレコンディショニング作用を打ち消す薬物
ミダゾラム(ジアゼパム系)
心保護を行うのは? セボフルラン vs プロポフォール
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15220766
プレコンディショニングという概念は1986年頃からすでにあったものみたいだ。
・心停止していること
・低体温であること
・エネルギーを供給できること
・適切なpH
・膜の安定化
・心筋浮腫の予防
プレコンディショニング作用のある薬物
吸入麻酔薬、麻薬一般、PDE III阻害薬
プレコンディショニング作用を打ち消す薬物
ミダゾラム(ジアゼパム系)
心保護を行うのは? セボフルラン vs プロポフォール
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15220766
プレコンディショニングという概念は1986年頃からすでにあったものみたいだ。
登録:
投稿 (Atom)