Af合併で脳卒中を起こした後にワーファリンを飲ませるべきかどうかのstudy
Real world effectiveness of warfarin among ischemic stroke patients with atrial fibrillation: observational analysis from Patient-Centered Research into Outcomes Stroke Patients Prefer and Effectiveness Research (PROSPER) study.
BMJ. 2015 Jul 31;351:h3786. doi: 10.1136/bmj.h3786.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26232340
デザイン
前向き観察研究 (コホートと呼んでいいのか?)
対象
2009-2011にGWTG-stoke programに登録された病院で発症した脳卒中の患者
I:脳卒中発症後にワーファリン投与を開始された患者 11039 (88%)
C: 脳卒中発症後にワーファリン投与が開始されなかった患者 1513 (12%)
O: 非入院でいた期間 alive at home without recurrent stroke、およびMACEの発生率。
もともとの母集団は62997人であるが、そのうち、もともとAfibと診断されてワーファリンを内服していた患者(14801人)、抗凝固薬が禁忌(13991人)、NOAC内服、データ欠損などによって42871人が除外され、残った12552人を調査している。
GWTG-stoke programの標本集団の外的妥当性は他の論文で証明済みとのこと。
prevalent use vias :観察期間開始前に薬の内服の有無が混在することによるバイアス。このバイアスを避けるために、もともと内服を行なっている患者を除外することが多い。
統計
傾向スコアマッチングを行なっている。
Inverse-probability score-based weighted methodsを使用。
ワーファリン処方群と非処方群での背景因子が異なるため、それを調整するために傾向スコアの逆数を用いて重み付けをする方法のこと。
この方法だと、患者数自体が減ることはない。
Table 1では背景因子位ついてStandardized differenceを計算している。
Standardized differenceの計算方法についてはこのサイトに載っていた。
http://epigraph.jugem.jp/?eid=307
また追跡期間と在宅期間の比の対数を補正するために負の二項分布を使用したと。
(負の二項分布はわかるが、この補正(offset)のために使用するというところが具体的にどうしたのだろうか)
死亡、MACEの発生にはCox比例ハザードモデルを使用。
結果
ワーファリン処方された群の方が、在宅期間が短く、脳卒中の再発は少なく、死亡率も低かったと。
しかし、当たり前だがワーファリン非処方の群にはそれなりの理由がある。DAPTを行なっていた群が圧倒的に多い(90%で1つ以上の抗血小板薬を内服)それを傾向スコアを用いて補正した上でワーファリン処方群の方が良いとの結論である。
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もともとDAPTを内服していた患者が、脳梗塞になり、Afibも発見された時に、3剤併用療法を行うべきかどうかはこの研究ではなんとも言えない。
確かに脳梗塞は防げるかもしれないが、消化管出血や、脳出血は増えるかもしれない。
それを、脳梗塞+Afibになったら絶対ワーファリン追加すべき!というのは乱暴だろう。
この結果を受けて次に研究を行うとすれば
もともとDAPTを行なっている患者が、Afib+脳梗塞になった場合
3剤併用 VS DAPT VS 1剤抗血小板+抗凝固
でどの群が最も合併症および死亡率が低いかを検討する必要がある。