2022/11/26

The pathophysiology of propofol infusion syndrome

Vasile B, Rasulo F, Candiani A, Latronico N. The pathophysiology of propofol infusion syndrome: a simple name for a complex syndrome. Intensive Care Med. 2003 Sep;29(9):1417-25. doi: 10.1007/s00134-003-1905-x. Epub 2003 Aug 6. PMID: 12904852.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12904852/


As the title mentioned, the article was about pathophysiology, not pathogenesis. 

A vicious cycle of catecholamines and propofol is noteworthy, in which, propofol mitigates the efficacy of catecholamines resulting in more requirement of catecholamines, and catecholamines increase cardiac output that mitigates the efficacy of propofol. 


Propofol affects mitochondrial function by inhibiting β-spiral oxidation and respiratory chain at complex II


What is β-spiral oxidation

https://www.sciencedirect.com/topics/biochemistry-genetics-and-molecular-biology/beta-oxidation

three main steps of mitochondrial fatty acid oxidations

1) β-oxidation, where fatty acids undergo oxidative removal of successive two-carbon units as acetyl-CoA, starting at carbon atom 3, the β-carbon of the fatty acyl chain. 

    4 enzymes: acyl-CoA dehydrogenase, enoyl-CoA hydratase, hydroxyacyl-CoA dehydrogenase and ketoacyl-CoA thiolase. 

2) the oxidation of acetyl-CoA to CO2 in the citric acid cycle. 

3) flavin adenine dinucleotide and nicotinamide adenine dinucleotide produced during β-oxidation. Electrons derived from the first two steps pass to O2 via the mitochondrial respiratory chain, providing the energy for ATP synthesis by oxidative phosphorylation. 


The net yield for the complete oxidation of a palmitic acid molecule is 129 ATP molecules.

2022/11/24

A&A December 2022


Maternal Fever Associated With Continuous Spinal Versus Epidural Labor Analgesia: A Single-Center Retrospective Study

https://journals.lww.com/anesthesia-analgesia/Fulltext/2022/12000/Maternal_Fever_Associated_With_Continuous_Spinal.8.aspx

分娩中で脊髄幹麻酔を行うと、体温が上昇することが知られているが、その機序については明らかではない。考えられうる機序として、感染や温度調整の変化などが挙げられる。本研究ではRetrospectiveに持続脊髄麻酔と硬膜外麻酔を実施した患者の体温の推移を比較した。

患者:持続脊髄麻酔 81人、硬膜外麻酔 162人

高体温の定義:分娩中に38度以上の体温

結果:8/81 vs 18/162 人で分娩中高体温の状態となったが、差は認めなかった。

→ アメリカ、シカゴからの発表ですが、そもそも無痛分娩をしない(脊髄幹麻酔なし)というグループがないことが気になる。

持続脊髄麻酔のカクテル:

1.25 mg of bupivacaine and 4 to 15 µg of fentanyl, 

maintained with a continuous infusion of 0.0625% bupivacaine with 2 µg/mL fentanyl at 2 mL/h.


Predictors and Hospital Outcomes in Pregnant Patients Undergoing Extracorporeal Membrane Oxygenation: A Nationwide Study

https://journals.lww.com/anesthesia-analgesia/Fulltext/2022/12000/Predictors_and_Hospital_Outcomes_in_Pregnant.11.aspx

アメリカにおける妊婦のECMO装着患者の予後因子についての分析

期間2010年ー2016年の7年間

59 of 5‚346,517 pregnant patients がECMO装着 (incidence, 1.1; 95% confidence interval [CI], 0.84–1.4 per 100,000 hospitalizations)

respiratory failure (79.7%)

cardiogenic shock (64.4%)

circulatory arrest (25.4%)

mortality rate of 1 in 3 patients

→最も大きな要因はcardiogenic shockとのことで、産褥期心筋症の根本的な治療の必要性が示唆されている。


Incidence, Outcomes, and Risk Factors for Preincision Cardiac Arrest in Cardiac Surgery Patients

https://journals.lww.com/anesthesia-analgesia/Abstract/2022/12000/Incidence,_Outcomes,_and_Risk_Factors_for.13.aspx

単一病院における心臓手術患者の心肺停止のリスク因子の検討

75 of 41,238 cardiac surgery patients が心肺停止

術後呼吸不全、RRTの導入、neurologic deficit、EF低下と肺高血圧がリスク因子として上がった

EFは5%低下するごとにOdds比が1.13上昇する。



Evaluation of Open Access Websites for Anesthesia Education

https://journals.lww.com/anesthesia-analgesia/Fulltext/2022/12000/Evaluation_of_Open_Access_Websites_for_Anesthesia.17.aspx

37個のWebベースで麻酔を学べるサイトがあるというReview

videos (66%, 25/37), text-based resources (51%, 19/37), podcasts (35%, 13/37), and interactive learning resources (32%, 12/37)

http://pie.med.utoronto.ca  (心臓麻酔)

http://www.usra.ca (区域麻酔)



Hypobaric Unilateral Spinal Anesthesia Versus General Anesthesia for Hip Fracture Surgery in the Elderly: A Randomized Controlled Trial

https://journals.lww.com/anesthesia-analgesia/Abstract/2022/12000/Hypobaric_Unilateral_Spinal_Anesthesia_Versus.20.aspx

高齢者の大腿骨頸部骨折にはSpinalが良いか、全身麻酔が良いかのRCT 

結論としては30日死亡率や術後AKI、MIなどの主要合併症には差がなく、術中の低血圧を起こす頻度はSpinal の方が低かったと。

この結果を受けてSpinalにした方が良いという結論には至らなさそう。




 

2022/11/22

Mitochondrial Reversible Changes and diastolic function


Circulation 2020  

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCHEARTFAILURE.119.006170


Ratを使用した実験モデル。

Aorta banding によってoverloadを起こした状態、及びその解除後にDiastolic functionが

どのように変化するか、その変化とミトコンドリア 機能(mitochondria bioenergetics)の

関連についての研究


BandingによるROSの増加あり。

bandingによってミトコンドリア 機能の亢進が認められ、unbindingによって、さらに

その機能は亢進する。ミトコンドリア のfusionに関連するタンパクはdownregulateされると。


ROSがミトコンリア機能亢進のTriggerになっているのかどうか、ROSの振る舞いは

その量が少ないときと多い時で全く別のシグナルとして働くことがわかっているが、

どのあたりはどうなんだろうか。



asutophagy marker 


2022/11/08

砂糖と紅茶

通勤の最中に本を読むのが楽しい。


砂糖の歴史

仕事とは関係のない

砂糖についての本ではあるが、砂糖の歴史ときってもきりはなせないイギリスについての

歴史について多くのことが書かれている。砂糖を通してではあるが、興味深い。


砂糖入りの紅茶がイギリスの近代を支えたと。

いかに英国人が茶の木の一本も生えないイギリスを「紅茶の国」としたか。

サトウキビ畑、そして砂糖イコールプランテーションであり、プランテーションの

あるところ奴隷制度ありということで、砂糖の貿易や商売で儲ける話は正義感の

強い若いころに読んだら本当に腹立たしいと思うだろう。

しかしこれらは歴史のなかだけではなく、今なお繰り返されている人間の本質的な野望や

野心の表れでもある。そのなかで砂糖という商品が、コーヒーやコショウと同様の

「世界商品」と呼ばれる品目となり、イギリスにおいては東でとれた茶に、西(当時は

カリブ海、南米)でとれた砂糖をいれて飲むことが「ステータス」であり、

またイギリスという国は、「ステータス」をマネすることを良しとする国民性が

あったという分析が面白い。

(この傾向は島国ならではなのだろうか)


そして砂糖という商品に対して保護政策を設けたがゆえにおちいる政治的な混乱は

日本における米やこんにゃくといった産物を保護していく政策とも類似する。

歴史が繰り返すというのならば、こうした保護政策が将来に対して有用に働いたり

国の衰退を防ぐということはない。ただ現状で困窮するかもしれない人々のリスクを

先延ばしにするだけである。


それはともかく、砂糖がプランテーションで大量生産されるようになった以降の

英国において、砂糖が嗜好品の域をでて、主食とはいわないまでも

カロリー源とみなされるまでに重宝されており、それはフランスやその他のヨーロッパ

の国々では見られなかったという点も面白い。ワインやビールなどが大量生産できなかった

イギリスの気候風土、そして世界からの貿易で得た富がイギリスを(紅茶を生産できる

わけではないのに)、紅茶の国にしたのだと。

自国の産業ではなく、輸入そして輸出を循環させることで富をつくり、またそれを

維持するために文化までも変えてきた、その臨機応変さ、貪欲さには

文化を守るってなんだとまで考えてしまう。文化など、たかだか数十年から数百年も

したら入れ替わってしまうものなのだ。


それはともかく、砂糖に魅了された近代の歴史と、その後に訪れた飽食、そして

過剰な糖質制限。皮肉な近代の歴史。

プランテーションと環境破壊というところに着目すれば、砂糖の消費が落ちていくのは

良い傾向ともいえるか。




2022/11/07

脳の大統一理論 自由エネルギー原理

 

https://www.iwanami.co.jp/book/b548871.html

脳の大統一理論 自由エネルギー原理


Free energy principle, Friston 

Review: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33597069/


ホルムヘルツの自由エネルギーを最小化するべく、脳の回路は形成されている。

ベイズ推論に基づいた認知と誤差の修正を繰り返していく。

シャノンサプライズの最小化


まず初めに期待される状況があり、それに対しての外界からの信号との誤差をもとに、さらに予測もしくは期待される状態を作り出していく。

睡眠時の神経シナプスにおける刈り込みによる単純化

単純化を行わなければ自由エネルギーは最小にならないため。



この理論において

感覚(視覚)とその認知、またそれに対する動作による補完が説明できる。

感覚のみならず、運動についても同じプロセスによって説明できる。

この理論を使って

統合失調症の幻覚や幻聴また無動といった症状、自閉症の一部の症状(知覚過敏性)を説明できる。


ーーー

痛みの増強もしくはオピオイドによる中毒作用もこの理論において説明できるのか

プラセボ効果が存在する理由は説明できそうだ。

麻酔による意識の消失において、シナプスの刈り込みは行われているのか。

 もし行われていないとしたら、その差部分にシナプス刈り込みの制御機構があるか

 もし行われているとしたら、麻酔による思考の単純化は可能であるのか。


ーーー

統合失調症や自閉症といった精神疾患の症状の説明ができるということだが、

せん妄といった一過性の錯乱、もしくは加齢にともなう認知機能低下も説明ができるのか

(認知機能の低下は説明ができそう)


Audibleを使って読んで(聞いて)みたが、やはり数式がでてくる本は

紙媒体でよまないと限界がある。

そうだとしても、聞くことで概念理解ができるほど、この本は自由エネルギー理論についてわかりやすくかみ砕いて説明してくれている。


2022/11/06

The constructal law of design and evolution in nature


The constructal law of design and evolution in nature


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2871904/


有限の流動系が時間の流れの中で存続するためには、

その流動系の配置は、流動抵抗を低減するように進化しなければならない