2020/02/08

Negative result of Thyroid, Vitamin C and steroid therapy for septic patients


JAMA  Jan, 2020 にのった論文。
メルボルンからの報告ではあるが、日本人の先生がfirst authorだ。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2759414

Effect of Vitamin C, Hydrocortisone, and Thiamine vs Hydrocortisone Alone on Time Alive and Free of Vasopressor Support Among Patients With Septic Shock
The VITAMINS Randomized Clinical Trial


N = 216
敗血症でICUに入院した患者が対象。
InterventionはVitaminB1 200mg/12h とVitaminC 1.5g/6h hydrocortisone 50mg/6hを投与した群とhydrocortisoneのみを投与した群
primary outcome 7日間のうちで、昇圧薬freeの時間と死亡率
secondary outcome 29, 90日死亡率

で結果としては全く差がなかった。

Editorialでは、結局適切な抗生物質の早期開始が大切なんだけど、それは他の手段の効果がないことを示唆しているわけではないのだがー という曖昧なもの。
Rapid initiation of appropriate antibiotics should be an absolute priority for treatment of all patients with septic shock in clinical practice as well as in clinical research.

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2759413

2020/02/07

Organ donation before you die



2020年のNEJMのpodcastをずーっと聞いていたら、びっくりする記事があった。

アメリカで、ALSと診断された男性が、自分が死んでしまう前に
自分の臓器を他の人のために使いたく、その手続きをしたいと申し出たという話。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2000048

そしてカナダでは、そういった手続きが認められており、安楽死後の臓器移植がされていると。
利他主義(Altirusim)と書かれていたが、こういう行為を利他主義と言うのだろうか。
そしてこれは倫理的に良いことなのだろうか?

本人がそれで幸せで、レシピエントも幸せになれる可能性がある場合に
認められるべきなのだろうか。
医療者でありながら、なんとも納得ができない。

法律上問題ないからといって倫理的に問題がないわけではない。


少し話がそれるが、法律上は問題ないが倫理的に行ってはいけないことは多々ある。
法律上訴えられなければ何をしても良いといった感覚には違和感しかない。


2020/02/04

Epidemiology of infection


nCovが問題なっているが、公衆衛生学で感染症の疫学について面白い講義があった。
(実際の講義はだいぶ前)


感染症の疫学が他の疫学と比べて異なる点

1) 症例や患者自身が疾患を広げるリスクとなる。
 (がんや毒物などの疾患ではこういうことはありえない)

2) 接触パターンが疫学的広がりを分析する上で非常に重要になる。

3)  免疫がつくことで疾患を発症しないという現象を考慮する必要がある。

4) 不顕性感染がある

5) 予防が可能である。(ワクチンなど)

6) タイムフレームがある
 つまり時間単位、日単位で疾患の広がりや疫学的に考えるべきことが変化していく。

これらの要素を組み合わせて、感染症の広がりは考えていく必要がある
というのが、序論のはじめの部分である。

まず新しい感染症があると、どういう感染経路をたどり、どのような免疫でといった基礎情報の収集と共に感染防止策を講じていかなければならない。

ちょうどBBC で racism and prejudice to China  after nCov
という特集をしていた。

2020/02/01

Timing of beta blocker resumption after cardiac surgery


今月のAnesthesiologyに心臓手術後のβブロッカーの再開タイミングについてのコホートstudyが載っていた。 
そしてそのインタビューをAnesthesiology podcastで配信していて、それがまた面白かった。

Timing of β-Blocker Reintroduction and the Occurrence of Postoperative Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery: A Prospective Cohort Study.
Anesthesiology. 2020 Feb;132(2):267-279.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31939841

663人の患者の前向きコホート研究。192時間に渡り、いつβブロッカーを開始したか、また心房細動の発生がどうであったかを調査したもの。

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48 hにおける心房細動発生のOR
adjusted odds ratio (full) = 0.87 (0.58 to 1.32; P = 0.517)
adjusted odds ratio (selected) = 0.84 (0.58 to 1.21; P = 0.338)
72 hにおける心房細動発生のOR
adjusted odds ratio (full) = 0.64 (0.39 to 1.05; P = 0.076)
adjusted odds ratio (selected) = 0.58 (0.38 to 0.89; P = 0.013)
96 hにおける心房細動発生のOR
adjusted odds ratio (full) = 0.58 (0.31 to 1.07; P = 0.079)
adjusted odds ratio (selected) = 0.53 (0.31 to 0.91; P = 0.021)

術後48時間以内のβブロッカーの投与は72時間(3日目)以内のAfibになる可能性が高いという結果。ただ状態の良い人の方がβブロッカーを再開しやすいという選択バイアスが入り込むため、調整する必要があるだろう。


ちょうど一年前に、non cardiac surgeryでの研究があった。
1年前のAnesthesiologyの記事

Early Resumption of β Blockers Is Associated with Decreased Atrial Fibrillation after Noncardiothoracic and Nonvascular Surgery: A Cohort Analysis
https://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2707255


コツコツ勉強しよう。