2015/02/22

Fast-track cardiac care is not beneficial?


2012年のCochrane Databaseのreview
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23076899

いわゆるfast-track care(早期抜管を行い術後早期に覚醒させること)について、従来方法と比較して死亡率を減少させたか?をメタ解析したもの。
25個のtrialsを評価した結果、
Fast-track careでは抜管までの時間は短く(3hと10.5h)、ICU滞在時間も短かったが、死亡率、急性腎不全の発生率、術後strokeの発生率、再挿管率、大出血、その他術後合併症に差は認めなかった。また入院期間自体も差は認めなかったとしている。

fast-trackって、結局いいんだろうか。肺炎発生率は大いに違いそうに思えるのだが、
そんなこともないのだろうか。 

この論文 気になる。ICUより、より特化した心臓麻酔術後管理unitの方がいいと。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25123092

2015/02/21

海外の麻酔関連サイト


英国の麻酔サイト セルフチェック&reviewが豊富
http://www.frca.co.uk/default.aspx

心臓手術後ICU careのサイト ビデオ講習が受けられる。
http://www.factscare.org/index.aspx


2015/02/09

Intraoperative ketamine reduces perioperative opiate consumption


慢性腰痛をもつ脊椎手術の患者においてケタミンを併用すると術後オピオイドの使用量減ったという論文。2010年だけど。
Intraoperative ketamine reduces perioperative opiate consumption in opiate-dependent patients with chronic back pain undergoing back surgery.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20693876

ケタミンの使用量は導入時に0.5mg/kg その後維持として10mcg/kg/hを投与


前に読んだ、術後1日目でどの手術が最も痛いか?を調べたメタアナリシスでは
(こちら→ http://mmarico.blogspot.jp/2013/04/what-is-most-painful-surgery.html )
脊椎固定術は最も痛い手術の第2位と第3位を占めている。

IVPCA(フェンタニルベース)だけでは効かない痛みもありそうで、ケタミンを持続でIVPCAにまぜてあげたい。
大学の側弯症ではそうしていたけどな。

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しかしいつも論文を読んでいて気になるのだが、オピオイドの使用量が減ったこと自体がresultの評価としていいのだろうか? オピオイドによる副作用の発生頻度が減ったというところまで言えてはじめて論文にImpactがあると思うのだが。 
「オピオイドの使用量が減りました」だけでは、「で、それがなにか?」と思ってしまうのだが…。



2015/02/08

Suicide of doctors in the UK


BMJの論文。衝撃的だった。
http://bmjopen.bmj.com/content/5/1/e006687.full

General Medical Council の調査をうけたDrが2005年から2013年までの間に114名死亡している。

絶対に自分とは関係ないとはいえないものだ。

Opioid analgesic abuse and mortality in the US


2015.01.15のNEJMにひさびさに麻酔関連のpaper
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa1406143

アメリカにおける医療用麻薬のabuseの動向を2002-2013年まで分析したもの。
2002年から2010年にかけてオピオイドの処方は増加の一途をたどり、同時にabuseの件数も増加、乱用による死亡数も増加したが、その後2010年にreformulated oxycontinに切り替えが行われてから、乱用による死亡は減少していると。
reformulated oxycontinは、剤形を変更することが不可能にしたオピオイド。吸入や静脈投与の形態で投与すると効力を失うように設計されている。この錠剤からoxycontineを抽出すること自体が非常に難しく作られている。
FDAがこのオキシコンチンを承認した後から、オピオイド乱用による死亡は減少したが、逆にヘロイン乱用による死亡数は増加している。

フロリダ州は独自に慢性疼痛に対するオピオイド処方の介入を行い2010-2011にかけてオピオイド処方と乱用の両方を減少させた。

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2000年〜2005年ごろにかけては日本は緩和・癌性疼痛のコントロールに対して
非常に遅れをとっていたように感じたが、「進んでいる」と思われた米国もまた、
いろいろと問題を抱えていたのだ。





2015/02/01

Acute mesenteric ischemia after cardiac surgery or CPB



Acute mesenteric ischemia after heart surgery.
Chirurgia (Bucur). 2014 May-Jun;109(3):402-6.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24956349
自施設の4症例を元に心臓手術後の急性腸間膜虚血について考察している。Acute mesentric ischemia(AMI)には4種類あるが、心臓手術後に最も多いのは NOMIである。
人工心肺を回す心臓手術後の腹部合併症の頻度は0.4-2.9%
であるが、このうちAMIは10-67%を占める。その死亡率は40-94%であり、早期診断早期治療が生存の鍵となる。
NOMIの病態は脾血流の減少もしくは不適切な分布とされている(!?)循環血液量減少が起きた時、脾臓はauto transufusion機能により血管を収縮させ血管抵抗を25%増加させることで循環血液量を15%上昇させることができる。しかしこの機能が失われることで腸管が虚血に陥ることがNOMIの病態である。(本当なんだろうか)特に腸の絨毛は虚血に弱い。
NOMIの診断は造影によるものが多い。臨床診断としては代謝性アシドーシス、乳酸の上昇、血液濃縮、アミラーゼ上昇、CK上昇が挙げられる。
心臓手術後のNOMIのリスク因子としては、70歳以上、IABPの使用、透析患者、出血による手術のやり直し、術後の1単位以上の赤血球輸血、術後乳酸 5mmol/l以上、術後レボシメンダン、ノルアドレナリンの使用、術後sinusの消失 が挙げられる。
予防もしくは治療としては、PDEIII阻害薬の使用、volumeの負荷、予防的IABPの使用、CPBの適正使用が挙げられる。 

Acute mesenteric ischemia after cardio-pulmonary bypass surgery
World J Gastroenterol. 2008 Sep 21; 14(35): 5361–5370.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2744158/pdf/WJG-14-5361.pdf
これもreview  読んでない。


Non-obstructive mesenteric ischemia: a potentially lethal complication after cardiovascular surgery: report of two cases.
Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2012;18(1):56-60. Epub 2011 Sep 15.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21921361
日本からの報告。聖路加病院。術後8と22日目に起こった2例のNOMIについて、救命に成功した報告。選択的パパベリン投与および壊死した腸管の切除で救命できたと。
術後22日たってもNOMIになる、というところにびっくり。 

Intestinal ischemia after cardiac surgery: analysis of a large registry.
J Cardiothorac Surg. 2013 Jun 18;8:156. doi: 10.1186/1749-8090-8-156.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3688391/
スウェーデンからの報告。腹部合併症がものすごく少ない。0.09%。緊急手術も含めて?
GICSスコアが腹部合併症の予測因子として有用と。 
GICSスコアのもと論文(同じグループからの発表)はこちら。
http://icvts.oxfordjournals.org/content/10/3/366.long
スコア因子
Age >80 years  292 (5.2) 2.4 (1.0, 5.8) 0.050 2.5
Active smoker  491 (8.7) 2.3 (1.0, 5.5) 0.049 2.5
Inotropic support (preoperative)   59 (1.1) 4.0 (1.4, 12) 0.011 4.0
NYHA class III–IV 2132 (37.8) 2.0 (1.0, 3.8) 0.041 2.0
Cardiopulmonary bypass time >150 min  657 (11.7) 2.5 (1.3, 4.8) 0.005 2.5
Postoperative atrial fibrillation 1494 (26.5) 2.4 (1.3, 4.4) 0.006 2.5
Postoperative heart failure  356 (6.3) 3.4 (1.6, 7.1) 0.001 3.5
Reoperation due to bleeding  240 (4.3) 3.6 (1.6, 7.9) 0.002 3.5
Postoperative vascular complication   18 (0.3) 9.3 (1.8, 47) 0.007 9.5
スコアが4つ当てはまると腹部合併症の発症率 1% 5つ当てはまると2%となる。


心臓手術後ではなく発症しているNOMIの論文
Clinical outcomes and prognostic factors after surgery for non-occlusive mesenteric ischemia: a multicenter study.
J Gastrointest Surg. 2014 Sep;18(9):1642-7. doi: 10.1007/s11605-014-2579-0. Epub 2014 Jul 3.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24990124
NOMIのリスク因子に、高血圧、透析患者、心疾患がはいっている、POSSUMscoreが予後予測として使用されている。こちらも死亡率は45% POSSUM score 76がcut offと。
NOMIの治療でパパベリン以外にPGE1を紹介している。PGE1のhigh doseを4-8日間と。
実際にはタンデトロン 500ug/バイアルを生食50mlでのばして 3ml/hの使用で約0.01γとなる。九州大学からの報告。
腹痛は59%しか訴えない。