2015/02/01
Acute mesenteric ischemia after cardiac surgery or CPB
Acute mesenteric ischemia after heart surgery.
Chirurgia (Bucur). 2014 May-Jun;109(3):402-6.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24956349
自施設の4症例を元に心臓手術後の急性腸間膜虚血について考察している。Acute mesentric ischemia(AMI)には4種類あるが、心臓手術後に最も多いのは NOMIである。
人工心肺を回す心臓手術後の腹部合併症の頻度は0.4-2.9%
であるが、このうちAMIは10-67%を占める。その死亡率は40-94%であり、早期診断早期治療が生存の鍵となる。
NOMIの病態は脾血流の減少もしくは不適切な分布とされている(!?)循環血液量減少が起きた時、脾臓はauto transufusion機能により血管を収縮させ血管抵抗を25%増加させることで循環血液量を15%上昇させることができる。しかしこの機能が失われることで腸管が虚血に陥ることがNOMIの病態である。(本当なんだろうか)特に腸の絨毛は虚血に弱い。
NOMIの診断は造影によるものが多い。臨床診断としては代謝性アシドーシス、乳酸の上昇、血液濃縮、アミラーゼ上昇、CK上昇が挙げられる。
心臓手術後のNOMIのリスク因子としては、70歳以上、IABPの使用、透析患者、出血による手術のやり直し、術後の1単位以上の赤血球輸血、術後乳酸 5mmol/l以上、術後レボシメンダン、ノルアドレナリンの使用、術後sinusの消失 が挙げられる。
予防もしくは治療としては、PDEIII阻害薬の使用、volumeの負荷、予防的IABPの使用、CPBの適正使用が挙げられる。
Acute mesenteric ischemia after cardio-pulmonary bypass surgery
World J Gastroenterol. 2008 Sep 21; 14(35): 5361–5370.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2744158/pdf/WJG-14-5361.pdf
これもreview 読んでない。
Non-obstructive mesenteric ischemia: a potentially lethal complication after cardiovascular surgery: report of two cases.
Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2012;18(1):56-60. Epub 2011 Sep 15.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21921361
日本からの報告。聖路加病院。術後8と22日目に起こった2例のNOMIについて、救命に成功した報告。選択的パパベリン投与および壊死した腸管の切除で救命できたと。
術後22日たってもNOMIになる、というところにびっくり。
Intestinal ischemia after cardiac surgery: analysis of a large registry.
J Cardiothorac Surg. 2013 Jun 18;8:156. doi: 10.1186/1749-8090-8-156.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3688391/
スウェーデンからの報告。腹部合併症がものすごく少ない。0.09%。緊急手術も含めて?
GICSスコアが腹部合併症の予測因子として有用と。
GICSスコアのもと論文(同じグループからの発表)はこちら。
http://icvts.oxfordjournals.org/content/10/3/366.long
スコア因子
Age >80 years 292 (5.2) 2.4 (1.0, 5.8) 0.050 2.5
Active smoker 491 (8.7) 2.3 (1.0, 5.5) 0.049 2.5
Inotropic support (preoperative) 59 (1.1) 4.0 (1.4, 12) 0.011 4.0
NYHA class III–IV 2132 (37.8) 2.0 (1.0, 3.8) 0.041 2.0
Cardiopulmonary bypass time >150 min 657 (11.7) 2.5 (1.3, 4.8) 0.005 2.5
Postoperative atrial fibrillation 1494 (26.5) 2.4 (1.3, 4.4) 0.006 2.5
Postoperative heart failure 356 (6.3) 3.4 (1.6, 7.1) 0.001 3.5
Reoperation due to bleeding 240 (4.3) 3.6 (1.6, 7.9) 0.002 3.5
Postoperative vascular complication 18 (0.3) 9.3 (1.8, 47) 0.007 9.5
スコアが4つ当てはまると腹部合併症の発症率 1% 5つ当てはまると2%となる。
心臓手術後ではなく発症しているNOMIの論文
Clinical outcomes and prognostic factors after surgery for non-occlusive mesenteric ischemia: a multicenter study.
J Gastrointest Surg. 2014 Sep;18(9):1642-7. doi: 10.1007/s11605-014-2579-0. Epub 2014 Jul 3.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24990124
NOMIのリスク因子に、高血圧、透析患者、心疾患がはいっている、POSSUMscoreが予後予測として使用されている。こちらも死亡率は45% POSSUM score 76がcut offと。
NOMIの治療でパパベリン以外にPGE1を紹介している。PGE1のhigh doseを4-8日間と。
実際にはタンデトロン 500ug/バイアルを生食50mlでのばして 3ml/hの使用で約0.01γとなる。九州大学からの報告。
腹痛は59%しか訴えない。