Lorenzano S, Rost NS, Khan M, et al. Early molecular oxidative stress biomarkers of ischemic penumbra in acute stroke. Neurology. 2019;93(13):e1288-e1298. doi:10.1212/WNL.0000000000008158
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31455665/
脳梗塞を起こした患者216人のデータから、ペナンプラと酸化ストレスバイオマーカーの関連を示した論文。
統計方法はシンプルで単変量解析からステップワイズで多変量解析を行い、これらののバイオマーカーがペナンプラの有り無しで差があるかを見ている。バイオマーカーは病院到着時と9時間後の2回測定しており、tPA治療を交絡因子として多変量解析している。
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ペナンプラをどのように同定するか。
MRI で PWI - DWI mismatch
このpenumbra の大きさとoxidative stress biomakers が相関しているという話。
ミスマッチが20%以上の群ではF2-isoPs 及びORACpcaが高かったと。
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この研究によって何が得られるかということなのだが、まだ助かる可能性のあるpenumbra領域の大きさをバイオマーカーによって推定できる可能性があるということと、これが後々の治療可能性につながるかという点だろうか。またラクナ梗塞のような分水嶺領域の高速に関してはミスマッチでペナンプラの有無を判断するのは適していないとのこと。確かに。
8-oxo-7,8-dihydro-2'-deoxyguoanosine(8-OHdG) :先行研究で使用されているミトコンドリアDNAの損傷を示すバイオマーカー
ORAC oxygen radical absorbance capacity assay は細胞全体の損傷を示すものであると。
しかしこの引用文献、どっちも1998年だ(しかも同一人物)
Cao G, Giovanoni M, Prior RL. Antioxidant capacity in different tissues of young and old rats. Proc Soc Exp Biol Med 1996;211:359–365.
Cao G, Prior RL. Measurement of oxygen radical absorbance capacity in biological samples. Meth Enzymol 1999;299:50–62.
なぜバイオマーカーをこれにしたんだろうか?
F2-isoPs
MMP
hs-CRP
この論文では予後との関連は示しておらず、今後の課題であるとしている。
何かこのペナンプラに対して保護的に働く因子があれば、そしてその治療効果がバイオマーカーによって同定できれば治療薬としての可能性が見えてくるだろう。