2020/07/26

What is the index hospital and risk factors of readmission after emergency surgery



McCrum ML, Cannon AR, Allen CM, Presson AP, Huang LC, Brooke BS. Contributors to Increased Mortality Associated With Care Fragmentation After Emergency General Surgery [published online ahead of print, 2020 Jul 22]. JAMA Surg. 2020;10.1001/jamasurg.2020.2348. doi:10.1001/jamasurg.2020.2348



アメリカでの緊急手術後30日以内の再入院のリスク因子を探った大規模調査。
Care Fragmentation が危険因子であると述べているのだけど、
そもそもCare Fragmentationってなんだ?

Index hospital 元々手術を受けた病院 non-index hospital 元々手術を受けた病院とは異なる病院
non-index hospital で手術を受けることがCare Fragmentationとなるようだ。 

予測できることではあるが、30日以内の再入院で別の病院に入院しなければならなかったのか、それとも患者が別の病院を希望したのか。。。


Seven reasons of delirium based on neuropathogenesis


Maldonado JR. Neuropathogenesis of delirium: review of current etiologic theories and common pathways. Am J Geriatr Psychiatry. 2013;21(12):1190-1222. doi:10.1016/j.jagp.2013.09.005


7 pathways 

"neuroinflammatory," 
"neuronal aging," 
"oxidative stress," 
"neurotransmitter deficiency," 
"neuroendocrine," 
"diurnal dysregulation," 
"network disconnectivity"

最も関わっているのはどれだろうか?







2020/07/24

ICUせん妄への介入


7月に渡米が決まっていたのが、期限未定の延期になって今後の人生をどういうふうに
生きるかについてもう一度考え直すきっかけになった。

結局好奇心のままに未知なことを解明しようとするプロセスが好きなのかもしれない。
でもそれを遂行できるだけの体力と気力が年齢とともに衰えていく。

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Shelton KT, Qu J, Bilotta F, et al. Minimizing ICU Neurological Dysfunction with Dexmedetomidine-induced Sleep (MINDDS): protocol for a randomised, double-blind, parallel-arm, placebo-controlled trial. BMJ Open. 2018;8(4):e020316. Published 2018 Apr 20. doi:10.1136/bmjopen-2017-020316

心臓手術後のICUせん妄に対してデクスメデトミジンを使用した睡眠コントロールに治療効果があるかを検証したRCTのプロトコール公開。
デザイン:370-patient block-randomised, placebo-controlled, double-blinded, single-site, parallel-arm superiority trial
対象:60歳以上の予定心臓手術を受ける患者
180日までの認知機能を電話調査で確認するので、長期的な予後についても評価するところが新規性の1つかもしれない。

2016年にLancetに非心臓手術でのデクスメデトミジンのせん妄予防効果についての論文があり、ここでは少なくとも術後7日目までのせん妄発生予防効果が認められている。

Occurrence of hypotension and bradycardia did not differ between groups.
DEXを使っても徐脈のエピソードが増えないのであれば良いことだ。


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Lee A, Mu JL, Joynt GM, et al. Risk prediction models for delirium in the intensive care unit after cardiac surgery: a systematic review and independent external validation. Br J Anaesth. 2017;118(3):391-399. doi:10.1093/bja/aew476

術後せん妄のリスク予測モデルのメタアナリシス。論文を精査したら結局3本の論文しか残らなかったので、その3本について評価をしている。
3本の論文のそれぞれのリスク因子は結構似通っているのだが、
1)RBC transfusion >5 units, perioperative IABP sup- port, preoperative de- pression, preoperative creatinine >150 mmol litre􏰀1, age 􏰂60 yr, com- bined CABG/valvular surgery, preoperative statin use
2)Age, APACHE II score, coma, admission category, infection, metabolic acidosis, morphine use, sedation, urea, urgent admission
3)Age, APACHE II score, coma, admission category, infection, metabolic acidosis, morphine use, sedation, urea, urgent admission

あれ、2本目と3本目の論文、リスク因子全て同じではないか?と思ったら、研究者が全く同じだった。同じ施設で2回studyを行っている。リスク評価をROC曲線で分析していてより当てはまりが良いという結果。
それぞれの論文ともせん妄の発生率は20-30%と(自分が)思っていたよりも少なかった。

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Yasuda Y, Nishikimi M, Nishida K, et al. Relationship Between Serum Norepinephrine Levels at ICU Admission and the Risk of ICU-Acquired Delirium: Secondary Analysis of the Melatonin Evaluation of Lowered Inflammation of ICU Trial. Crit Care Explor. 2020;2(2):e0082. Published 2020 Feb 24. doi:10.1097/CCE.0000000000000082

こういう研究面白い。 
The serum levels of norepinephrine measured at ICU admission were significantly associated with the risk of ICU-acquired delirium in the Ex(-) group (odds ratio, 2.58; 95% CI, 1.02-6.52; p = 0.046), but not in the Ex(+) group (odds ratio, 1.02; 95% CI, 0.88-1.18; p = 0.823).

薬剤として投与されたカテコラミン(特にノルアドレナリン)の血中濃度はせん妄とは関係なかったが、カテコラミンを投与されていない、内在性のカテコラミンが分泌されている患者ではせん妄の発生と濃度の間に関連があったと。
しかしこの場合、カテコラミン血中濃度は脳が受けるストレスを反映しているのかもしれない。
代理マーカーであり本質の原因はなんだろうか。



2020/07/12

Noise in ICU and association with delirium


ICUでの騒音がせん妄に影響があるかについての研究。


https://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2016/05000/The_Efficacy_of_Earplugs_as_a_Sleep_Hygiene.17.aspx

https://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2018/12000/Incidence_and_Prevalence_of_Delirium_Subtypes_in.17.aspx

https://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2018/12000/A_Systematic_Review_and_Meta_Analysis_Examining.47.aspx

https://journals.lww.com/ccmjournal/Citation/2016/10000/Do_Earplugs_Reduce_Delirium_in_the_ICU_.56.aspx


これもまとまっている。
http://www.jseptic.com/nursing_paper/update/np_44.pdf

せん妄については、HELPによる介入が院内せん妄を減らしたという報告が多数あるのだが、コロナ禍の今、病院外のボランティアに院内に来てもらうのはなかなか難しいかもしれない。
かといってオンラインでの対面的なコミニュケーションがせん妄のリスクのあるような患者にどこまで効果があるかというのも不明だ。 




2020/07/10

A-Line穿刺時に行う局所麻酔にニトログリセリンを混ぜると...



ニトログリセリンの皮下注射を行うと、血管径が太くなり、動脈穿刺が成功しやすくなるという論文。

Jang YE, Ji SH, Kim EH, et al. Subcutaneous Nitroglycerin for Radial Arterial Catheterization in Pediatric Patients: A Randomized Controlled Trial. Anesthesiology. 2020;133(1):53-63. doi:10.1097/ALN.0000000000003308
https://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2764591

小児を対象としたRCTの研究だが、もちろん成人での研究もあり、
その場合はニトログリセリンは500mcg投与していいらしい。
日本で市販されているニトログリセリンは1mlが0.5mg = 500mcg なので
1mlは投与できるようだが、そんなに皮下注したら逆に血管が触れなくなってしまう...

でも覚醒下でA-lineをとる時にこれはキシロカインと混ぜて使うと良いかもしれない。


尿道カテーテルの違和感(Bladder spasm)にMgが効果があるのか?



尿道カテーテルを入れるとどうしても手術が終わって麻酔から覚めた後に、
排尿感(?)、膀胱スパスムが起きる患者さんがいる。
それが重篤だと本当に暴れてしまう。4人がかりで抑えてどうにかこうにか。。という感じ


そんな膀胱スパスムに対して、Mgの静脈投与が効果があるとうRCT。
これで効果があるのならそれに越したことはないのだが。本当だろうか?

https://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2764836

50 mg/kg loading dose of intravenous magnesium sulfate was administered for 15 min, followed by an intravenous infusion of 15 mg · kg−1 · h−1 during the intraoperative period.

かなり多くないか!?

日本で使われる硫酸マグネシウム1A(20ml) は 2.46 gのマグネシウムが含まれている。
つまり50kgの人であれば、1A(20ml)を15分かけて投与し、その後3時間かけて1Aを投与するらしい。

Abstractしか読んでいないが、Mgには平滑筋を弛緩させる効果があるため、それによって膀胱括約筋のスパスムが治るという機序らしい。これはすぐにできそうかも。