2017/08/25

Sedation after cardiac surgery


A&Aの最近の論文。
Anesth Analg. 2017 Apr;124(4):1061-1070.
Sedation After Cardiac Surgery: Is One Drug Better Than Another?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27984229

ほぼほぼデクスメレトミジンとプロポフォールの比較論文。
ミダゾラムについてはもう過去のものとなってしまったのかしら。
でも現場ではまだ使っているんだけどな。

Propofol
心臓手術後の鎮静の82.2%でプロポフォールを使用。
しかしPIS propofol infusion syndromeの問題もあり、4mg/kg/h以上、24時間以上の使用でPISのリスクがあがる。発症率は0.37%以下。

Dexmedetomidine
α2受容体に働きNegative Feedbackを起こす。α2:α1 = 1620:1の結合率。
せん妄を起こす確率が低く、3%程度。プロポフォールやミダゾラムでは50%。
また人工呼吸器時間も短く、Opioidの使用もプロポフォールに比べて1/4の量である。
鎮静の2nd lineとして使用されることが多い。プロポフォールより低血圧となりやすい。


-------
あれもこれもと思っていると、心ばかりが焦って身がついていかない。
一つひとつコツコツこなしていこう。

2017/08/20

TAVIの麻酔方法の調査


TAVIの麻酔方法について、北アメリカと欧州諸国の方法を後ろ向きに調査。
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2013 Feb;27(1):46-9
Anesthesia for transfemoral aortic valve replacement in North America and Europe.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23036626

北アメリカの62施設での麻酔方法
 全身麻酔 59施設
 鎮静のみ 3施設
 鎮静のみの3施設では、2施設はlight sedation でTTE、1施設はdeep sedationでTEE使用。
 また鎮静をおこなった患者の10%が全身麻酔に移行しているが、1-2時間以内に抜管と
 なっている。

欧州の20施設での麻酔方法
 全身麻酔 6施設
 鎮静のみ 12施設
 のこる2施設は1施設が局所麻酔のみで鎮静なし、もう1施設は麻酔科医が
 関与していない施設と。

CEAでは全身麻酔と局所麻酔+鎮静で術後合併症は死亡率に差はなかったとの結論となった。TAVIにおいても、鎮静のみの麻酔は全身麻酔と比較してカテコラミンの使用量が少なく押さえられる等のメリットがあり、今後注意深く比較する必要がある。
鎮静のみの麻酔においては7-20%は全身麻酔に移行するとの報告がある。またTAVI
においてはTEEが治療診断に重要であるが、鎮静下でのTEEは咽頭反射や誤嚥のリスクといった問題をもつ。また鎮静レベルが深すぎると、呼吸停止による低酸素を招く。
全身麻酔ではよりよい術環境(体動がないことなど)が得られるが血管拡張しやすくカテコラミンの必要量が多い。

文化的な違いもあるのかもしれない。
日本ではどうだろうか。 
一度調査してみたい。


2017/08/19

OPCABG vs CABG on pump


今週のNEJMにon pump CABG vs off pump CABGの術後5年間の予後に関する研究があった。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1614341?query=featured_home

RCTで2203人の患者を対象とした研究。
off pump CABGの方が、術後5年の合併症発生率が高いとの結果。

ちょっと以外な感じがある。
on pumpとするにはそれなりの理由があり(EF < 30など)、そうでない場合は
極力OPCABGで行うというのが日本の病院のやり方だが、
今後変わっていくのだろうか。

しかし、最近のNEJMはなんだかなぁと思うようなものが多い。
私の方が頭が固くて、勉強不足なのかもしれない。