2016/06/05

Pulmonary hypertension and pregnancy

肺高血圧症の妊娠におけるリスクと予後についてのreview

Pregnancy and pulmonary hypertension.
Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2014 May;28(4):579-91.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24685319

PH合併妊娠の死亡率は高く、1998年の報告では38%、2014年の報告でも16%であった。死亡原因としては、右室不全、突然死、そして肺塞栓症である。またEisenmenger症候群をひきおこし、脳梗塞となった例も報告されている。
予後予測としてはNYHAが最も相関している。
妊娠中の治療としてCaCBが効果があるとされている。また塞栓症のリスクが高いため、抗凝固療法(ヘパリンがbetter)が、右心不全の予防のための利尿薬も推奨されている。その他の治療薬としてERA、PDE阻害薬、プロスタノイドがある。
31編(77人の妊娠を含む)のPH pregnancyを対象とした論文の分析では死亡率は16%であった。ほとんどの死亡は産褥期1day-3weeksに起きているが、1例は児娩出後にオキシトシン投与後SVTが止まらずになくなっている。またmPAP > 35を基準とした中程度PHと重症PHでは重症PHでの死亡率が高かった。
PH pregnancyの管理はまず避妊の教育である。
次にそれでも妊娠しまった場合には早期の中絶も考慮する必要がある。
また、妊娠継続を強く希望する場合は厳重な管理が必要である。O2 療法および利尿薬(アルドステロンは催奇形性があるので避ける)によるvolume管理薬物治療を併用する。
分娩方法は経膣分娩が禁忌なわけではないが、妊娠週数の早期32-36wに分娩することを考えると、C-sectionとなることが多い。全身麻酔は区域麻酔よりも予後が悪化するとされているが、これは全身麻酔をうける妊婦の状態がより悪い状態である(そもそものbaselineが違う)ためであると考えられる。


2015年にPulmonary Vascular Research InstituteからPHの妊娠に関するステートメントが出されている。こっちのほうがオーソリティもある。でも描いてある内容はほとんど同じだった。やはり全身麻酔より区域麻酔を推奨している。single spinalは避けるべきと。
Statement on pregnancy in pulmonary hypertension from the Pulmonary Vascular Research Institute.
Pulm Circ. 2015 Sep;5(3):435-65. doi: 10.1086/682230.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26401246


日本からのPH pregnancyの統計調査
Maternal outcome in pregnancy complicated with pulmonary arterial hypertension.
Circ J. 2012;76(9):2249-54. Epub 2012 Jun 13.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22785004