2016/06/05

LVAD implantation to a patient with HIT


LVADの装着術で、患者さんがHITだったら、どうするか?というCase report。
しかも透析もされている。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053077014004352

55歳の男性でHT、DM、Afibを合併。PM (CRTD)の挿入もされいている。PM装着術の時にワーファリンのヘパリン置換を行ったところ、血小板が14万から8万に低下し、HIT(+)との診断となった。
しかしその後心不全で入院、EF 18%であったため、LVAD装着の適応と考えられた。診断名はDCM。ヘパリンに変わる代替療法としてアルガトロバンも候補に挙がったが、ポンプ離脱時の出血コントロールに難渋するリスクがあったため、bivalirudinを使用することととした。
CPBのプライミングvolumeの中にbivalirudinを50Mg投与し、CPB開始20分まえに1mg/kgのボーラスを実施。ボーラス投与でACTが450以上に伸びなかったため、1.5mg/kgの追加ボーラスを行った。その後2.5mg/kg/hの持続投与を行った。40分後に再度ACTが450を下回ったため、0.5mg/kgの追加ボーラスを行ったが、その後の追加は必要としなかった。
CPBからの離脱はスムーズでDOB 7.5 γ ,ミルリノン 0.75γ NAD 0.1γとNOの吸入で離脱した。

bivalirudinはトロンビンと結合して抗トロンビン作用を示す。
ACTよりもECT(ecarin clotting time)の方がより正確に活性化を示すとされている。
bivalirudinを使用したCBP症例は OPCABG およびAVRがあり、ECMO装着でも使用して問題なかったとの報告もある。

HIT患者が心臓手術を行う場合のガイドラインが2012年に示されている。
Treatment and prevention of heparin-induced thrombocytopenia: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines.
Chest. 2012 Feb;141(2 Suppl):e495S-530S. doi: 10.1378/chest.11-2303.
まず第一にはHIT抗体が消失するまで手術を延期できるのであれば延期すべきである。
消失までに40-100日程度)
待てない手術の場合はbivalirudinの使用が推奨。
bivalirudinは20%が腎排泄。のこり80%はトロンビンによるproteolysisで除去される。半減期は25分と短い。

2015年のNEJMに急性冠動脈症候群でヘパリン vs bivalirudinのRCTが載っていたが、ヘパリンと比較しての優位性はなかったとの結論だった。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1507854

でもbivalirudin、日本では今のところ使えない。