2016/04/20

Review of HIT Heparin induced Thrombocytopenia


NEJMにReviewがあったのをだいぶまえに読んでいたのだが、メモしないと忘れる…

Heparin-Induced Thrombocytopenia
N Engl J Med 2015; 373:252-261July 16, 2015DOI: 10.1056/NEJMcp1411910
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcp1411910

HITの発生率は5000入院患者に1人の割合。心臓血管外科手術後では1-3%と高頻度に発生する。
発症はヘパリン投与後から5-10days後が多いが、例外が2つ存在する。1つは大手術後、2つめは90日以内のヘパリン投与歴がある場合である。この2つの場合においては投与後から急激に発症が認められる。これらの患者では抗Platelet factor 4(PF4)-Heparin抗体がすでに存在していると考えられる。この例外以外の患者ではこの抗体が作成されるまでに5日はかかるため発症が5日後となる。抗体消失は50-85日後である。
HITはヘパリンを中止した後でも発症することがある。また稀ではあるが、特発性/自己免疫性HITがあり、ヘパリンを投与していないにもかかわらず大手術や感染の後に起こりうる。自己免疫性のHITは数週間持続する。

病態
HITはIgG抗体によって惹起される。活性化した血小板はPF4を放出する。このPF4とヘパリンが結合し複合体を形成する。この複合体が異物と認識されIgG抗体と結合する。複合体と結合したIgGは血小板とも結合し、血小板凝集を引き起こす。
この血小板凝集により、血小板数が低下する(50%以下)
リスク
大手術のあとに起こりやすい。また性別では女性に多いが、妊娠中は稀である。
診断
HITの診断は血小板数が50%以下となった場合に診断する。bottom lineは血小板が4万-8万であることが多い。血小板が2万以下となるのはHIT以外の要因がある場合んみである。診断には手術後5-7日目の血小板数をチェックすることが通行である。
4T scoreとよばれるスコアリングシステムがある。1) 相対的血小板低下 2) 血小板が低下した時期 3) 血栓症の有無 4) 他の原因の可能性 この4つのスコアリングで4点以下ではHITは否定できる。 
(MedCalcに計算方法が掲載。 
HITと診断されたひとでもPF4-heparin抗体がLabで確認できるのは2-15%にとどまるとされている。immunoassayで抗体を増やして検査する方法がある。
治療
HITと診断もしくは疑わしい場合はまずヘパリンを中止する。またワーファリンは禁忌である。理由はプロテインCを減少させて四肢壊疽のリスクが高まるからである。ヘパリンの代替としてアルガトロバンとダナパロイドが推奨されている。
予防目的の血小板投与は推奨されない。
HITと診断された場合は必ずエコーで下肢のDVTを評価する。
新しい治療としてIgG療法等が研究されているが、データが少ない。
HITと診断された患者が次に心臓手術を受ける場合は抗体検査で抗体がないことが確認できれば術中にヘパリンを使用しても問題ない。