学会にでると刺激をもらうが、まとめないとすぐ忘れてしまうのは歳のせいだろうか。
TRの手術適応および予後について。
TRは臨床的に3つに分類される
1) 単独TR
2) 左心系疾患(主にMR/MS)に伴うTR
3) 左心系疾患術後数年後に発生するTR
TRのうち95%は2)の左心系疾患に伴うTRであり、MVP/MVR施行時にTAPをする場合が多い。ではどのような場合にTAPを行うべきか?
severe TR :TAPを追加すべき Class I
modelate TR: 弁輪拡大(40mm以上)、もしくは左心不全の症状がある場合
また弁輪拡大がなくとも、肺高血圧があればTAPを追加すべき Class IIa
mild TR :弁輪拡大、肺高血圧がある場合はTAPを追加すべき Class IIb
この弁輪拡大を何ミリととるかは国によってもガイドラインが異なる。70mmとしている論文もある。
T弁はそもそも右心不全が進行してもなかなかその形態変化が現れない。右心不全が重症になると形態は楕円形から円形へと変化し、サドル型が平坦化してくる。
単独TRに対するTAPはあまり行われていないのが現状である。
他の弁形成/置換術の術後成績がかなり改善している中で、TAP単独の死亡率は10%程度と高い。ICU滞在も平均30日と長い。しかし右室機能の低下や進行性のRVの拡大があった場合は手術すべきである。medicationのみで治療した場合の予後が手術しない場合よりもっと悪いからである。
-------
TAP単独であれば、CPBに載せずに手術したほうが予後がよいか?
結論としてはoff pump on pumpで差はなかった。
欧州ではTRに対してのカテーテルインターベンション治療についての論文が多数でている。MitraClipと同時にすると予後はよくなるんだろうか?
参考:
心エコー vol 17 no3 2016
心エコー図学会2016