NEJMより
喘息をもつ労働者の25%は職業性喘息(Occupational asthma)とされている。
職業性喘息の定義
職場での刺激物(sensitizer)によって引き起こされる喘息
高分子:動物性アレルゲン、植物、ラテックス、穀物、黴、酵素、
低分子:Diisocyanate、無水石膏、アクリル酸、おがくず、白金塩、抗生物質など
発症形式
New onset : 高濃度の暴露を受けた場合におこる
ワールドトレードセンターの崩壊後の粉塵で高濃度に暴露された集団の16%が喘息となり、9年間の追跡調査では内36%に改善をみた。
Not-so-sudden asthma:低濃度の刺激物質に長時間暴露された結果おこる。
報告は少ない。
疫学
暴露による発症率は10%。低分子の方が発症は少ない。
毎年100万人あたり250-300症例の発症がある計算となる。
成人発症の喘息の16%が職業性喘息である。
より暴露されている集団の方が発症しやすい。
診断
暴露によって発症するが、暴露後の発症は数週から数年まで様々である。鼻炎と下気道症状を伴うことが多い。暴露物質と喘息の関連を調べる検査方法は様々あるが、どのテストも制限があり、複合的に判断するしかない。
喘息症状があり、吸入刺激テストの結果が(+)であれば職業性喘息の診断となる。
治療
治療は予防でもあり、暴露をさけることが最も重要である。暴露をさけるために症状の早期発見と隔離を行う必要がある。
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職業性喘息というと、労働組合等が「保証!賠償!」と叫ぶようなイメージを持ってしまうが、労働という概念にとらわれず、人が長い間あるものに暴露され続けると(自発的であっても)免疫系等がそれを異物をとらえ始めるというのは興味深い。
Labにこもって実験ばかりしているとマウスアレルギーになる。医療関係者でラテックスアレルギーが増える。
この前、この職業性喘息になり、ステロイドを長年に渡り内服して骨が痛む患者さんをみた。せめて治療が副作用を及ぼさないようにしていきたい。