2013/12/31

Goal-Directed Intraoperative therapy; O2ER is useful?


最適輸液についてはいろいろと論文がでていますが、古いものから。
LIDCOとか、SVでの評価はあまり結果がでていない。
O2ERはこの論文でけっこう良い評価をされているので、
もう1回くらいしっかり評価されるべきではないか。

あと、ICUでも O2ERは簡単に算出できるので毎日評価してもいいのではないか。

Goal-directed intraoperative therapy reduces morbidity and length of hospital stay in high-risk surgical patients.
Chest. 2007 Dec;132(6):1817-24. Epub 2007 Oct 9.

イタリアの多施設研究。RCT
P:ASAII以上の腹部手術をうける患者130人(189人が除外診断で除外)
I:O2ER < 27 とするように輸液(膠質液 250-1000mlを投与)、ドブタミン、輸血(
Hb > 10g/dl となるように)
C:従来の方法で平均血圧、尿量、CVPをみて判断する
O:臓器不全、在院日数、院内死亡率

O2ERはVO2/DO2 * 100 で求められる。供給された酸素のうち何%を使用したかの指標。
O2ERの計算のためにScvO2、SaO2を使用している。

VO2 = CO * (CaO2 - CvO2) 
DO2 = CO * Hb * SaO2 * 1.34

結果として、臓器不全はO2ERを使用した群で少なかった。在院日数もO2ERを使用した群で少なかったが、院内死亡率では差がなかった。
輸液(膠質液)の使用は両軍で差は認められなかった。輸血に関しても差はなかった。
ドブタミンの使用についてはO2ER群で44%と多く、コントロール群では4.5%であった。

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現在このプロトコルを適応しようとすると、いくつかの疑問がでてくる。
第一に膠質液を使用している点。理由を「それが当施設の標準治療であるから」としている。しかし、fluid challengeで常に膠質液を使用するだろうか。術中であればいいのか…
第二にScvO2を使用しなければ、O2ERがはかれないのか?というところ。
 現在普通の腹部手術にSGを入れることはなく、ScvO2をみるためだけに入れるというのも受け入れがたい。
第三になんでHbが10以上なんだろう。これだとかなり輸血してしまうが…

しかしO2ERをみながら、「体の中に酸素届けー」と祈りながら治療するのはいいことなのかもしれない。
cvO2じゃなくてもいい方法ないかなぁ。