2017/07/09

Extremely low EF patient undertaking non-cardiac surgery


EFが低い患者の非心臓手術・術中麻酔管理についてのreview
The patient with chronic heart failure undergoing surgery.
Curr Opin Anaesthesiol. 2016 Jun;29(3):391-6. doi: 10.1097/ACO.0000000000000335.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26978592

EF低下=Heart Failureを2つに分類
1) 収縮期心不全 2) 拡張期心不全
どちらでもHFとなるリスク因子は冠動脈疾患、弁疾患、心房圧上昇、心房細動、特発性心筋症である。またさらにがんの化学療法などによる薬剤性の心筋症外もHFの原因となる。

有症状のHFの術後30日死亡率は9%である。(虚血、非虚血にかかわらず)
また3年生存率は58%である。
また手術内容がマイナー手術であったとしても死亡率は8%とそれほど変わらない。
さらに有症状HFはMACEの相対リスクが3.4である。

術前の評価
2014年ESCガイドラインではTTEとBNPの計測を行うことが推奨される(Class A)
また、βブロッカー、ACE阻害薬、利尿薬の調整をおこなうことが強く推奨される(Class A)
新しく心不全と診断された場合は手術を3ヶ月延期すべきとされているが、これはClass Cであり、なお議論のあるところである。

術中評価
収縮期心不全と拡張期心不全で非心臓手術をうける患者でなにか違いがあるかについては有益な研究はなく今後の研究がまたれる。
モニタについては、PHを合併している患者を除きPAC挿入にたいする強い推奨のエビデンスはない。また心不全患者ではフロートラックなどを使用したSVVの測定は有用性が低い。
冠動脈疾患由来の心不全については、全体の50%を占めるが合併症が多いことが報告されており、注意が必要である。
使用薬剤については、MDZ Propofol etomidateでの心拍出量の低下は認められない。
カテコラミンの使用については、短期間の使用についてはLevel IIbでの推奨である。
しかしβ刺激についても、HFの患者ではPDE阻害薬と同様に長期予後を悪化させるとの報告がある。よって、カテコラミンの使用は臓器灌流不全がある患者への使用のいにとどめるべきである。


日本からの報告  EF < 40で低心機能を定義。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24724440

対象は52症例。術後心血管合併症は15.4%に認めたと。しかし合併症発症群と非発症群で術前のリスク因子や基礎疾患には差が認められなかったと。

これはサンプル数不足もかんがえられるな。
有意差があることを示すためにはサンプル数の決定が重要だなと改めて思う。

2017/06/26

severe ASの非心臓手術


どうしてもこれが読みたい。

Int J Cardiol. 2017 Aug 1;240:145-153. doi: 10.1016/j.ijcard.2017.04.037. Epub 2017 Apr 12.
Aortic stenosis and non-cardiac surgery: A systematic review and meta-analysis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28431770

この論文自体はメタアナリシスで、結論は
AS患者の非心臓手術では、周術期合併症は非AS患者と比較して多いが、死亡率は
変わらないというものだった。

そもそもメタアナリシスとしてpick upされた論文の異質性が結構あり、
(統計学的な異質性も含めて)、サブアナリシスが必要だともlimitationで記述。

メタアナリシスは鵜呑みにしちゃいけないなと感じた。

JACCの2015年にAS患者の非心臓手術の管理についてのreviewがあり、この中でも
今回のメタアナリシスで取り上げた論文と同じ論文が引用されていた。
このテーマについては普通にnarrative reviewの方が分かりやすくてよかったのかな
とも思う。

2017/06/18

ブプレノルフィンを用いた新生児離脱症候群の治療


抗てんかん薬や抗うつ薬による新生児離脱症候群は前々から報告されていたが、
オピオイドによる新生児離脱症候群も米国では多い。

ブプレノルフィンが、モルヒネによる新生児離脱症候群に対して効果があるという研究。
単施設の63名の新生児に対してのRCT
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1614835

モルヒネの投与と比較してブプレノルフィンの投与のほうが症状消失までの時間が
短く、入院期間も短かったと。


cf 厚生労働省がまとめる新生児離脱症候群
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j17.pdf

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専門医の勉強をしていて、ペイン分野の変化にすこし驚いている。
癌性疼痛コントロールのWHOラダーも見直されているし、ブプレノルフィンが過去の
薬からまた注目され始めている。


学会発表もあったり本の原稿を書いたりと6月は勉強がまったく進んでいない。
でも学会で他の病院の先生と話ができたのは本当によかった。
もうすぐ7月...

2017/05/23

TKAに対する術後鎮痛


Anesthesiology 2017 June にTKAの術後鎮痛についてのRCTの論文が載っていた。
http://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2608336

Anesthesiologyはpodcastも配信。でも英語がNEJMより格段に聞き取りにくい。

TKAを受ける患者165人を3群に分けて術後鎮痛効果を比較した。
1) 大腿神経ブロック(持続も行う)+坐骨神経ブロック
2) 局所関節麻酔 ropibacaine (体重によってグループ分けされているが最低でも200mg)
3) 局所関節麻酔 liposomal bupivacaine (同じく最低でも266mg)

そしてPOD0,1,2の疼痛評価では差を認めなかったと。

硬膜外からブロックへの流れがあったが、
これからはブロックから局所麻酔の流れとなるんだろうか。いや、それは限定的かな。

2017/05/20

LOS after cardiac surgery


2017年の JCVAのreview
Low-Cardiac-Output Syndrome After Cardiac Surgery
http://www.jcvaonline.com/article/S1053-0770(16)30151-3/fulltext

LOS: Low output syndrome

<定義>
CI < 2.0、 sBP < 90 、臓器低灌流(末梢冷感、Lactate上昇など)
心臓手術後の最も頻度の高い合併症である。
LOSとなってしまった場合の死亡率は20%に達する。
特徴としては心臓のポンプ機能の低下とそれに伴う組織低酸素である。

<リスク>
LVEF < 50%  (<35%はhigh risk)、age > 65、on pump CABG、DM、CKD
 CPBが長時間となる、HB低下、TLC(total lymphocyte count) < 2000、BNP NT-proBNP上昇、hFABP
hFABP heart fatty acid binding protein  = 周術期の心筋障害の早期マーカーである。

<病態>
LOSはLVの収縮不全、拡張不全、RVの収縮不全の3つが関与している。
それぞれに対するアプローチが必要。

<心臓手術での戦略>
DO2 (酸素供給)とVO2 (酸素需要)のバランスを適切にすることが最終目標である。
・モニタリング
エコーは有用である。TEE TTEともに有用である。最近の新しいdeviceとしてhTEE (TEEよりかなり細いdevice ディスポで3日間使用可能)、USCOM(経胸壁でCOを計測する)なども開発されている。
SG、PAPについては年々使用が減ってきている。high riskの患者では有用とされているが、PAPが入っている患者ではICUの滞在期間増加し、人工呼吸器依存期間も長いと。
PiCCO LiDOCO、FlowTracについても有用であり、PACに変わるdeviceとして活用され始めている。LiDOCOは心臓手術の患者には信頼性低い。

<Goal Directed Hemodynamic Therapy>
2012年にはICTS 2013年にはBJAで心臓手術後のGoal Directed therapyについてのメタアナリシスが掲載された。
その"Goal"は、ScvO2 > 60% 、CI > 2、MAP、HRを適切値、intrathoracic blood volume index 850-1000(この項目はよく分からない)であり、このGoalにむけて輸液とカテコラミンを調節した群のほうが入院期間は短く ICU滞在期間も短かった。
また、Goal Directed Hemodynamic Therapyを行った群のほうが輸液量が多く、またカテコラミンの調節回数が多かった。
このGoalを目指して輸液とカテコラミン、輸血を行った群でLOSも減らすことができたとしている。

<LOSの予防>
心筋保護では左派認めなかった。しかし、暖かいblood plegiaでは中枢神経合併症が増加したと。
吸入麻酔薬は静脈麻酔と比較して周術期心筋虚血を防ぐとのエビデンスあり、推奨はIIa エビデンスレベル A である。
予防的IABPの挿入については1つの論文でその有用性が示されたが、サンプル数が少なく有用とまでは言えない。またlow riskの症例では合併症増やすのみで意味ない。
triiodothyronineについてもLOSを防ぐのではとの研究がされているが、結論はまだ。

<LOSの治療>
まずはボリューム状態を適切にする。前負荷を適切にし、カテコラミンで収縮力を改善する。カテコラミンのみを使用しても収縮力は上がるが、酸素需要も増加させるため、結局死亡率は増加する。


論文の後半はカテコラミンの各論と循環補助装置(IABP ECMO VAD)についていろいろと。カテコラミンについてはやはりDOAよりDOBという流れのよう。というかそれよりレボシメンダンが推奨。酸素需要が増えないらしい。あとGIK療法(GIにカリウム追加する)も効果があるそうな。でもインスリンを中止するとhyperKとなる。

レボシメンダン早く日本でも使えるようになってほしい。


最新号のINTENSIVISTもボリューム管理だったし、輸液っていつまでたっても古くて新しいトピックだ。