2020/05/04
Miss Sloane
GW 基礎の論文も読んではいるものの、なかなかまとまらない。
(基礎の論文は本当に1つでこれというものではなく、集合体で結論が出るようなものだ)
公衆衛生の授業で紹介されたMiss Sloaneという映画をみた。政治に対するロビー活動であるとか、アドボカシーという概念が日本では普及していないが、アメリカではこんな感じですよという紹介。
あらすじとしては、敏腕のロビイストが銃規制の修正第2法を議会で通すためにロビー活動において自分の人生をかけるというサスペンス要素を含んだ映画。
制作費用が興行収入を上回っており映画自体の評価はあまり振るわなかったようだ。
それもロビー活動のせいかもしれない(現実世界の)
この映画を見ての感想は、私はこの主人公の女性に共感するが、
この人は世間では受け入れられないのでは?というものだ。
もしこういった人物が世間で評価されるのではれば、この世界はもっと違うはずである。
実際、いろいろなレビューを読んでみると、主人公に共感できない、主人公のような女が嫌いなので映画が面白くなかったというコメントもあった。どの程度の人がそのように思ったかは不明だが、この主人公のような仕事の仕方ややり方に嫌悪感を持つ人はいるだろう。
また、主人公が犯罪歴を持つほどにまで自分をリスクにさらし、やりたかったことは何か? 銃規制に強い思い入れがあったとも思えない(そうなのかもしれないが、そういう風には書かれていない)。銃規制の修正第2法が通ることは銃規制において小さな一歩に過ぎず、それによってアメリカの銃社会が大きく変わるとも思えない。ロビー活動に勝つこと(弁護士の勝敗にも似ている)に大きな情熱を持っていたとも思えない。もちろんそれによる報酬に執着していた訳でもない。
なぜ彼女はそこまでして(自分や周りを危険にさらしてまで)、このロビー活動を行なったのか。
それに共感できないと、この映画を見ても、この人何のためにこんなことやっているの?と感じる。釈然とない、もやっとした思いが消えない。
ストーリー自体は完結して楽しめるけど。
この映画を評した他の方のコメントの中で彼女の原動力は「腐敗した政治への怒り」と書いていたものがあった。そうかもしれない。が、そんなところに怒りを持っている人間はそもそもロビー活動家にはならなさそうだし、彼女にそんな正義感があったとも思えない。
彼女は、ロビー活動を通して人々の美辞麗句や長いものに巻かれる弱さに対して怒っていたのではないかと。人間のエゴや利権への執着、その他諸々。それはどの党というわけではなく、全ての人において、そして自分にもある弱さに対しても。
こういう主人公が好きだが、こんな人間ばかりでは世の中は暗くなってしまう。
変な女性という点では、「ピアニスト」という映画に出てくる主人公のピアニストも
変である。
https://eiga.com/movie/1597/
この作品は2001年のカンヌでグランプリをとったということなのだが、
中年ピアニストの恋愛を描いた映画である。もどかしくも苦しい。
観た時はこんなストーリーの映画の発想はすごいなと思ったが、
年齢を重ねた女の中にはこういう側面があり、社会的には嫌われると
いう点では、Miss Sloaneと似ているのかもしれない。
こういう作品に関心を持つほど、私もおばさんになったのだ。
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それにしても、今のコロナに関する社会の考え方や大統領選挙を見ていても、アメリカという国の多様性に驚く。それぞれの国の政府が何に最も重きをおいているか、今回の世界的なパンデミックはその政策の違いを浮き彫りにしている。