2020/05/06

Contact tracing is not necessary, is it?


We don't live in a perfect world but try to change better.


接触者追跡調査は意味がないのでは?という市中の疑問に対してNew York Timesに面白い記事が載っていた。完全に反駁していないように感じるところもあるが、追跡調査は必要なのだ。CDCの元ディレクターによるOpinion

https://www.nytimes.com/2020/05/05/opinion/coronavirus-contact-tracing.html


接触者追跡調査、Contact tracing は無意味であるという理由は4つ
1) 患者数がここまで増加したら無意味である。
2) 追跡調査は時間がかかり、患者を見つけるのには向いていない。
3) 無症状の患者が多いと無意味である
4) 人手と時間がかかるのに、公衆衛生部門にある資源は限られている(他の対策に費やすべき)

1) 患者数がここまで増加したら無意味である。
患者が増加したとしてもこれ以上増やさないためには追跡調査が必要である。
実際感染した患者の80%は二次感染を起こしていないが、20%の患者が拡散させている。この拡散している患者の行動を把握することでこれ以上の拡散を防ぐことができる。

2) 追跡調査は時間がかかり、患者を見つけるのには向いていない。
確かに追跡調査には時間がかかり、新規患者を見つけることに特化した方法ではない。しかし新たな感染を防ぐ、もしくは感染のリスクが高い人物を同定することでいち早く患者を同定することができる。

3) 無症状の患者が多いと無意味である
無症状の患者が多いことだけで接触者追跡調査が無意味ということにはならない。
検査体制の充実と並行して接触者追跡調査を行うことでこのような無症状患者が疾患を拡散させることを予防することができる。

4) 人手と時間がかかるのに、公衆衛生部門にある資源は限られている
追跡調査は確かに時間と人件費がかかる。というのも追跡調査は決して患者を犯罪者のように追跡するものではなく、むしろ患者とその周囲の人を守る目的があるのだが、それを理解してもらい、患者から信頼をえるためには医学的な知識やコミュニケーション技術が必要である。そしてだからこそ、資源が限られていたとしても追跡調査は患者と地域を守るために必要である。(他の方法より患者を守る方法として優れていると)


資源が潤沢にあれば追跡調査ももちろん行うべきなのだが、優先順位として他の対策(検査拡充や行動制限など)と競合する場合に追跡調査をとるべきとまでの強い根拠はない。同時並行が可能であれば、追跡調査は行うべきであるというのが骨子。資源が限られている中で何を優先させるかというのは難しい。


日本は追跡調査にとても重点をおいた政策をとっている。今回のアウトブレイク以前に麻疹など多くの感染症においてこの追跡調査、隔離がうまく機能していた歴史がある。追跡調査がOutbreakにどの程度寄与しているのかを比較することは重要なテーマかもしれない。