VitB1, VitC, steroidの治療について
Hydrocortisone, Vitamin C, and Thiamine for the Treatment of Severe Sepsis and Septic Shock: A Retrospective Before-After Study.
Chest. 2017 Jun;151(6):1229-1238.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27940189 (未読 20190316)
Chestでの後ろ向き研究。はじめにこの治療法が有効であると報告した研究みたいだ。
投与量としては、ビタミンB1 200mg(12時間ごと)、ビタミンC 1500mg(6時間ごと)、ハイドロコルチゾン50mg(6時間ごと)で、この治療により劇的に臓器障害が改善したと。
<Review>
Ascorbic acid, corticosteroids, and thiamine in sepsis: a review of the biologic rationale and the present state of clinical evaluation
BMC 2018 22 283
https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-018-2217-4
敗血症患者に対するビタミンB1、ビタミンC、ステロイドのカクテル投与についての総説。現在進行中のACT trialについての解説を含めている。
そもそもビタミンB1はTCA回路を回す上でピルビン酸をアセチルCoAに変換する補酵素であり、これが枯渇すると、いくら酸素があっても効率よくエネルギーを産生できない。
さらにもう一つビタミンB1の重要な役ありとして、ペントースリン酸回路を回す上で必要となるトランスケトラーぜの活性化に必要であると。
ペントースリン酸回路はNADPHを生成し、このNADPHがグルタチオン回路に働いてH2O2といった酸素による有害物質の解毒に関わっている。
また、NADPHは脂肪酸、ステロイドの合成にも必須の物質である。
(なんだか大学の生化学みたいな話だな)
そこでICUに入室するような重症患者ではビタミンB1が枯渇しやすく、ビタミンB1を投与によって臓器障害が改善するという報告がなされ始めた。が、今までに行われた唯一のRCTは88人のLactate 3mmol/L以上出会った敗血症患者に対して行われ、結果としては乳酸クリアランスを改善することはなかったようだ。しかし、もともとビタミンB1の欠乏があった患者では効果が認められた。
ビタミンCには抗酸化および細胞のアポトーシスを防ぐ効果があり、重症患者では急激な低下が認められる。ビタミンCの投与のメリットは10年程度前から言われており、その効果は量依存性であった。high dose 25mg/kg 6hqで、ビタミンC投与群のカテコラミン使用料と死亡率が減ったとの報告がある。
またビタミンCには血糖の上昇効果もあるらしい。(へえ)
ACT trialは現在進行しているRCTで2019年6月ごろまで行われている。
投与量は B1 100mg C 1500mg ハイドロコルチソン 50mg を1日4回投与を4日間継続する。
でSOFAスコアがどのように改善するかを見るとのこと。