2015年12月にHFpEFの治療にNTGが効果がなかったという論文がNEJMに掲載された。
要約 → http://mmarico.blogspot.jp/2015/12/hfpef.html
2016年7月のJACCにHFpEFの予後因子についての論文があったので読んでみた。
EFの保たれているCABGを受ける患者でも拡張障害があるため、術中麻酔の参考に
なるかもしれないと思ったのだが、そもそもHFpEFの定義として
coronary病変の有無は関係ないので(この論文でも冠動脈疾患のある患者は
除外されている)あまり参考にならないのかもしれない・・・
Functional Status, Pulmonary Artery Pressure, and Clinical Outcomes in Heart Failure With Preserved Ejection Fraction
J Am Coll Cardiol. 2016;68(2):189-199. doi:10.1016/j.jacc.2016.04.052
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleID=2531853
HFpEFは加齢によって増加し、右室の機能が予後を決定するとこれまでの研究で言われているが、その病態、運動不耐や呼吸苦のメカニズムは分かっていない。
本研究の目的はHFpEF患者のNYHAに関連する病態・予後因子を発見することである。
2011-2015年までの193人のHFpEF患者を対象とした後ろ向き調査
HFpEFの診断はAHAの診断基準に基づき行った。 心不全症状があり、EF > 50% 、NT-proBNP > 220 pg/ml、TTEにおけるLVの拡張障害の所見である。
冠動脈疾患、HCM、アミロイドーシスの診断のある患者は除外した。
193名をNYHAの II vs III & IV群で比較したところ、NYHA III IV群のほうがPAP圧が高く(RVの後負荷が高く)、NT-proBNP値も高く(37%が1800 pg/ml 以上)、入院率は高く、Hbは低かった。
追跡期間は平均21.9 ± 13.1 ヶ月であり、その間の心不全による入院、心疾患による死亡をendpointとして、Cox 回帰分析を行ったところ、NYHAは独立した予後悪化因子であり、それ以外の因子として、Afib、糖尿病、貧血、RV拡張終末期圧の上昇、TAPSE > 16、PAP圧の上昇であった。またNYHAと関連した項目(NYHA悪化を形成している要因)としては、年齢、BMI、NT-proBNP、PAP、E/A ratio@TTEであった。
以上のことから、HFpEFの重症度(予後も含めた)の指標としては、1)年齢、2) BMI、3) LVの硬さ( =E/Aの上昇)、4) 肺血管病変の有無、の4つがあり、これらをいかに治療するかの戦略が今後求められるだろうと。
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年齢は治療できないから のこりの3つに対する治療になるんだろう。
統計学的なところがいまいち理解できていない。