2016/06/26

Mechanical circulatory support for fulminant myocarditis

劇症型心筋炎に対する補助人工心臓およびTEEの役割についてのreview

2009年って最近と思っていたが、もう7年も前なのだ。

Mechanical circulatory support for patients with fulminant myocarditis: the role of echocardiography to address diagnosis, choice of device, management, and recovery.
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2009 Feb;23(1):87-94.

以下memo
劇症型心筋炎(以下FM)によっておこる心筋の変化は浮腫による肥厚である。
心筋生検は感度が低い。数回に渡る生検が必要であるが、左室の自由壁に所見が見られやすい。Giant cellを認める心筋炎では移植となる可能性が高くなる。
補助人工心臓(以下MCS)の適応は以下の通り
1) 治療抵抗性の血圧低下、
2) CI < 2.0
3) CVP > 10-12 PCWP > 15-18 
4) Lactate < 2mmol/L
PCPSを導入しても状態が改善しない場合はMCSへの切り替えを考慮すべきである。
MCS中の組織灌流を保つために最も重要なことは、CVPをできる限り低く保つことである。CVPの上昇すなわち静脈系のうっ帯はhepatic hypoxiaの状態を作り出す。

急性期を乗り切るためのMCSではまず、ECMO、そしてIR 100、VADがある。
(※ IR 100は2000-2005年ごろに使用されていたVAD装置のようだ。上行大動脈からA弁をつっきってLVに先端を留置、LVからポンプで吸い上げた血液を上行大動脈に送るという仕組み。その後流行っていないところをみると、もう使われていないのか・・・?)

PCPS導入中にLVの拡大や、MRの出現が認められた場合は、PCPSの効果がないとみなしLVADを入れるべきである。

LVAD挿入後の右心不全の指標
RV wall akinesia 
RVEDD >> LVEDD (end diastolic diameter)
RVEDD > 85mm 
RVEDV > 200ml 
RV-FAC < 25% 
TAPSE < 10mm 
RV-RA pressure drop < 30mmHg 

CVPが高いのにPA圧があまりにも低いのも右心不全の特徴の一つである。

MCSをつけた心筋炎患者の回復の評価は3つのパラメーターで行う。
1) clinical sign  
 末梢循環の改善、利尿、Lactate < 2mmol/h
2) 循環指標
 CVP < 10mmHg  SvO2 > 70  PCWP < 10mmHg 
3) echographic
 LVEF > 35  RVFAC > 30-40 心タンポとなっていない、心内血栓がない