高齢者の糖尿病のHbA1cの目標、血糖コントロールの目標はいくつにすればよいのか?
日本麻酔学会ではHbA1c > 8.0を困難症例として決めているが、これも変わっていくのだろうか。
・ 高齢者糖尿病の高齢者とは?
一般的な高齢者の定義は65歳であるが、75歳以上とする説も。糖尿病患者では腎機能低下やADL低下、認知機能低下が75歳から著しくなるため(1)。
一般的な高齢者の定義は65歳であるが、75歳以上とする説も。糖尿病患者では腎機能低下やADL低下、認知機能低下が75歳から著しくなるため(1)。
・ 高齢者糖尿病の特徴
食後に高血糖を起こしやすい。
またこの食後高血糖が若年者に比べてHbA1cに大きな影響を与える。
またこの食後高血糖が若年者に比べてHbA1cに大きな影響を与える。
低血糖も起こしやすい。低血糖の頻度は認知機機能低下と相関している(5)。また高齢者は低血糖の自律神経症状が出現しにくい。さらに腎機能が低下傾向にあるため薬物の副作用がでやすく、低血糖を助長する。
HbA1cが低すぎても脳卒中の発生頻度や死亡率は上昇する(2)。
死亡率は HbA1c 6.0-9.0で最も低かったとする報告がある(6)。
・ 高齢者糖尿病の血糖管理目標
2013年のガイドライン(3)では
目標HbA1c
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目標空腹時血糖
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低リスク高齢者
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7.4未満
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110mg/dl未満
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高リスク高齢者
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8.4未満
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140mg/dl未満
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高リスク高齢者とは:認知機能低下のある高齢者
認知機能低下のある高齢者ではHbA1c 7.9~8.9%がよいとする説もある。
参考文献)
1)
「高齢者の糖尿病治療」医学のあゆみ 2015 vol.252 no.5
537-543
2)
「高齢者糖尿病における血糖管理のありかた」月間糖尿病 2013 vol.5 no.4
12-14
3)
日本糖尿病学会「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」
4)
日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」
5)
JAMA. 2009 Apr 15;301(15):1565-72
6) Diabetes
Care. 2011 Jun;34(6):1329-36.
あと1年以内に新しいガイドラインが出る様子。