2015/08/29

Is perioperative Bridging therapy unnecessary in Afib?


今週のNEJMに周術期の論文が載っていた。
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1501035

慢性心房細動のためにワーファリンを内服している患者で、周術期のヘパリンへの
橋渡し療法(切り替え)が必要かのRCT。
結論としてはヘパリンへの切り替えを行わない群の非劣性が示せたとのこと。

n=1884 。ワーファリンは手術5日前にやめてdalteparinを1日2回皮下注射。これも24時間前に中止という方法。

欧米系の人種は東南アジア人種と比べて血栓ができやすいとよく言われているが、そういった人たちで非劣性だったということは、日本人でもやらなくていい気もする。
たまにだが、ヘパリンのコントロールに難渋し脳出血を起こしたといった報告もみる。
患者さんも手術前に3日間以上も点滴棒と一緒に生活するのはいやだろう。


この研究もlimitationもあることだし、ガイドラインが変わらないとそうすぐには変わらないだろうけど。

advanced PTEeXAM 合格


合格〜
やった〜!!

合格ラインぎりぎりでしたが。。。(汗) 

いろんな方が書いていますが、
(試験の印象)
1) JB-POTよりかなり簡単。
2) 問題文はそんなに長くない。単純なことを訊かれていることが多い。
3) 基礎がよくでるというひとが多い気がしたが、
 実際はまんべんなく出ている。むしろJB-POTの方が基礎が多かったような…
 PTEeXAMはビデオ問題が多い印象。
4) ビデオ問題は何回でも観れる。見すぎていると時間が過ぎてしまうので注意。
 わかる問題はすぐわかるし、わからない(知らない)問題はすぐにすっ飛ばす。

(会場について)
5) 東京はソラシティで受験。地下1階にファミマがある。
6) 9時に集合だが、一人一人セキュリティチェックが厳しいので、すぐには
受けられない。だいぶ待たされる。
7) 始めの15分のチュートリアルはすべてすっ飛ばして休憩時間に加味した方がいい。
 (これはこの手の試験、USMLEとかでも定石)
8) 試験は2015年の時点では 5時間。
9) 試験は7月だが、会場は非常に寒いので、女性は羽織ものを持っていた方がいい。
10) お腹も空くので、チョコとか、おにぎりとか持っていくといい。

(試験対策)
11) いわゆる「赤本」と「青本」をやったら受かるのではないかと思う。
「赤本」:周術期経食道エコー図 ISBN-13: 978-4880038599
「青本」:Clinical Manual and Review of Transesophageal Echocardiography, Second Edition
  ISBN-13: 978-0071638074

コンカーシリーズは私は1回もやりませんでした。紫本はJB-POTの時はしっかり読んだけど、今回は読まなかった…

(結果とその後)
12) 結果はメールで送られてくる。1−2ヶ月後と言われていて本当に8月末にやってきた。
アメリカでこの資格を使いたい人は登録する必要があるのだが(JBPOTの1万円はらった登録と同じものがある)、日本で働く限りは登録しなくてもok。登録しなくても合格通知は郵送で送られてきた。

また受験される方の参考になれば幸いです。
 

10万円も払ったので、本当に受かってよかった。


2015/08/09

Effects of cell saver autologous blood transfusion


自己血回収装置の議論
そんなのとっくに結論がでた話だと思っていたのだが…

cell sever血の術中の使い方 review A&A 2009年
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19608798

OPCABG/on pump * cell sever/ not の2*2で出血などの合併症や輸血量を比較したRCT
やっぱり cell severを使ったほうがよいとの結論
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16829083

ヘパリンが入っている(?ほとんど入っていないが)cell sever血は凝固しにくくなるのか?
OPCABG+cellSever vs OPCABG only vs on pump   on pump以外は変わらないと。
http://biomed.papers.upol.cz/pdfs/bio/2015/01/20.pdf

2015/08/08

adequate HbA1c of elderly DM patients


高齢者の糖尿病のHbA1cの目標、血糖コントロールの目標はいくつにすればよいのか?
日本麻酔学会ではHbA1c > 8.0を困難症例として決めているが、これも変わっていくのだろうか。


  高齢者糖尿病の高齢者とは?
一般的な高齢者の定義は65歳であるが、75歳以上とする説も。糖尿病患者では腎機能低下やADL低下、認知機能低下が75歳から著しくなるため(1)
  高齢者糖尿病の特徴
食後に高血糖を起こしやすい。
またこの食後高血糖が若年者に比べてHbA1cに大きな影響を与える。
低血糖も起こしやすい。低血糖の頻度は認知機機能低下と相関している(5)。また高齢者は低血糖の自律神経症状が出現しにくい。さらに腎機能が低下傾向にあるため薬物の副作用がでやすく、低血糖を助長する。
HbA1cが低すぎても脳卒中の発生頻度や死亡率は上昇する(2)
死亡率は HbA1c 6.0-9.0で最も低かったとする報告がある(6)

  高齢者糖尿病の血糖管理目標
2013年のガイドライン(3)では

目標HbA1c
目標空腹時血糖
低リスク高齢者
7.4未満
110mg/dl未満
高リスク高齢者
8.4未満
140mg/dl未満

高リスク高齢者とは:認知機能低下のある高齢者
認知機能低下のある高齢者ではHbA1c 7.9~8.9%がよいとする説もある。



参考文献)
1)     「高齢者の糖尿病治療」医学のあゆみ 2015 vol.252 no.5 537-543
2)     「高齢者糖尿病における血糖管理のありかた」月間糖尿病 2013 vol.5 no.4 12-14
3)     日本糖尿病学会「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013
4)     日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015
5)     JAMA. 2009 Apr 15;301(15):1565-72
6)   Diabetes Care. 2011 Jun;34(6):1329-36. 

あと1年以内に新しいガイドラインが出る様子。