連続研究もあと4日。最後が辛いのだけど、頑張ろう。
日本にいたときから読みたかった本が猛烈に読みたくなり、
出版社 : 東京大学出版会; 第2版 (2009/2/1)
発売日 : 2009/2/1
言語: : 日本語
単行本 : 442ページ
ISBN-10 : 4130623109
Amazon Japanで調べたらアメリカまでの配送料は1800円くらいのようだ。
生命科学の論文はこのタンパクが、この遺伝子が、特定のシグナルや病態の鍵となるという論文で溢れているが、そもそもそういった論理的思考に生命を当てはめることの限界を感じてしまう。古道は自然の川の流れに沿って曲がりくねり、雨風に対してしなやかにその道を作る。それに対して中国古来、人間が人工的に作った街は碁盤の目であり一切の自然の影響を排除する。今行われている生物学の解析方法はこの碁盤の目のような格子に生命を当てはめているようなものではないだろうか。それではどこか肝であるのかを捉えることはとても難しいように感じる。
生命科学の実験系で行われている、「Aという物質がBに対して影響を与える」ことを証明するには、Aの阻害剤を使い、Aのタンパク発現量を測定し、AのmRNAを測定し、Aのノックアウトマウスを作り、それぞれにおいてAのある・なしでBへの影響を測定している。イラストで書かれたシグナル伝達は全てその経路を1つ1つの実験で証明して行った結晶である。
ただ、それだけなのだろうか?
別にありもしない世界を見たいわけではないのだが、昔読んだ脳科学者の甘利先生が、
人間の脳は設計図を持って作られているわけではないので、余分な回路が多々存在する。私はそれを純粋な洗練された回路として示したい
と言われていた。面白いなと思う反面、科学者としての思考と生命という有機体を扱うのにそれで良いのか、摩擦を感じた。
進化の過程でできた余分な回路、残渣、それは生命の可塑性を作るもとでもある。今の生命科学の実験系ではそれを証明する手立てはないし、そもそも誰もそんなことに興味は持っていないのかもしれない。
物理学者のこの方は生命をどう捉えているんだろうか。