2018/12/02

脳出血患者におけるトランサミン



今年の5月に出たLancetの論文

Tranexamic acid for hyperacute primary IntraCerebral Haemorrhage (TICH-2): an international randomised, placebo-controlled, phase 3 superiority trial
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31033-X/fulltext

頭蓋内出血後のトランサミン使用が予後に影響を与えるかについてのRCT
多施設・多国による大規模RCT

n= 2325人の頭蓋内出血発症した成人患者

トランサミン群:診断時に1gのトランサミンを100mlの生食に溶解し10分かけてdiv。その後1さらに1gのトランサミンを250mlの生食に溶解し8時間かけて投与。
プラセボ群:生食のみをトランサミン群と同様に投与。

primary outcome 発症90日後の身体機能 (modified Rankin scaleで評価)
2nd outcome  day2 day7 のNIHSS、退院or院内死亡

サンプルサイズの決定ではOddsを0.79として2000人と計算した。

結果
死亡退院は16-18%。自宅退院は
90日後のmodified Rankin scaleに差を認めなかったが、day7での死亡率、24時間以内の血腫増大患者数はトランサミン群の方が少なかった。

血腫のサイズという点ではトランサミン群では1.37ml少なかったが、これが機能的予後に与える影響は少ないだろうと。

----
最近PCCが使用できる様になったが、ワーファリン内服している患者さんの脳出血でトランサミンとPCCの併用に関する研究は全くない。

FVIIa製剤の脳出血患者への使用のtrialは予後改善をしなかったみたいだ。2008年のNEJM。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0707534