2017/10/05
血小板過多・減少状態における開心術・人工心肺・ヘパリン管理
本態性血小板増多症についてのCase reportが多いが、最近はITPの治療でも、
ステロイドや脾臓摘出が効果なければ、血小板造血刺激因子の皮下注をおこなっており、
このために血小板が増多する。こういった患者さんにおける人工心肺を用いた
回診術ではどのような注意が必要か?
以下はメモ
A Novel Approach to Essential Thrombocythemia and Cardiac Surgery
http://www.annalsthoracicsurgery.org/article/S0003-4975(16)31133-X/fulltext
2017 年3月にでたCase report。 血小板数が163万/uLと増多しており、CABGが必要となった患者に対して、手術前に75万まで減らして手術をおこなった。ヘパリンの効果にはHMS Plus(メドトロのpoint of care ヘパリンの血液濃度が計測できる)を用いて定量的な測定をおこなった。血小板75万の時点での適正ヘパリン濃度は4.9unit/mlであり、この濃度となるようにヘパリンの投与を管理した(CPB中)。プロタミン投与についてもHMSのガイドラインに従っておこなった。CPB離脱後より非チエノピリジン系の静注型P2Y12阻害薬であるcangrelor(日本未承認)を投与し、血栓予防に努めた。 1PODに抜管、とくに合併症は認めなかった。
過去の症例報告からも、血小板数が40万/uL以下で手術を受けることが推奨されており、80万/uL以上となると、合併症が増加する。手術前に80万以下にすることが肝要であると。
本態性血小板増多症の症例報告 2014年
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4189360/
ITP患者のCABGの症例報告
Cardiac surgery in a patient with immunological thrombocytopenic purpura: complications and precautions.
Ann Card Anaesth. 2013 Apr-Jun;16(2):147-50. doi: 10.4103/0971-9784.109774.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23545873
ITP患者においては、出血のリスクもあるが、ステロイドによる治療の合併症として血栓症、アテローム硬化症も多く、その管理についての報告は少ないと。
この報告は血小板減少での報告。