2017/07/23
ICUにおける高乳酸血症と予後
ドイツからの報告。ハンブルク
Intensive Care Med. 2016 Feb;42(2):202-10. doi: 10.1007/s00134-015-4127-0. Epub 2015 Nov 10.
Severe hyperlactatemia, lactate clearance and mortality in unselected critically ill patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26556617
ICU入室患者全体における重症高乳酸血症(>10mmol/L)と死亡率がどの程度関連しているのかを調べた後ろ向き研究
2011年から2013年までにICU入室した患者14040人を対象として調査。
1回でも乳酸値が 10mmol/Lを超えたものを高乳酸血症としたところ、400人が高乳酸血症の診断となった。
患者背景ではこの400人中、116人が予定手術患者、284人が救急外来もしくは病棟からの緊急入院であった。
結果
全体14040人の全体的な死亡率は9.8%であるのに対して高乳酸血症患者の死亡率は78.2%
基礎疾患は敗血症が34% 心不全・ショックが19.3% CPR後が13.8%、であった。
死亡率が100%であった基礎疾患は腸間膜動脈虚血であった。
また乳酸クリアランス別にみたところ、12時間の乳酸クリアランスが32.8%以下であった患者ではICU死亡率は96.6%であった。
この研究には当然心臓手術後の患者も含まれているが、心臓手術後、そして痙攣後の重症高乳酸血症では乳酸クリアランスが高かった。
ちなみに、敗血症患者の44.5%は乳酸値は4mmol/Lになる。
他臓器不全で末期になると、乳酸値は上がるわけで、終末期の病態をみているにしかすぎないとの考え方もあり、この論文のなかでも、ICUという治療まっしぐらの環境のなかでいつターミナルケアに移行するかの一つの指標になるのではないかと述べている。そしてその指標としては12時間の乳酸クリアランスが最もよい指標であるとしている。
これも読みたい。 心臓手術と乳酸血症について
Hyperlactatemia and Cardiac Surgery.
J Extra Corpor Technol. 2017 Mar;49(1):7-15.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28298660