2017/07/23

心エコー図学会 夏期講習会


        

1日目がとても勉強になった。
すこし関連のある別の分野について学ぶのは重要だと思う。

keywords
心房気絶
paradoxical AS
http://www.onlinejacc.org/content/59/23/2122.1
JACC low PG low FlowのASは無症状でも治療必要と。to the Editor
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19737801
EHJ 2010 Paradoxical ASの10-25%は拘束性心筋症のような状態を呈している。
頻脈性心筋症 オカルト心筋症

1週間前ですが、蓮が満開でした。



ICUにおける高乳酸血症と予後



ドイツからの報告。ハンブルク
Intensive Care Med. 2016 Feb;42(2):202-10. doi: 10.1007/s00134-015-4127-0. Epub 2015 Nov 10.
Severe hyperlactatemia, lactate clearance and mortality in unselected critically ill patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26556617

ICU入室患者全体における重症高乳酸血症(>10mmol/L)と死亡率がどの程度関連しているのかを調べた後ろ向き研究

2011年から2013年までにICU入室した患者14040人を対象として調査。
1回でも乳酸値が 10mmol/Lを超えたものを高乳酸血症としたところ、400人が高乳酸血症の診断となった。
患者背景ではこの400人中、116人が予定手術患者、284人が救急外来もしくは病棟からの緊急入院であった。

結果
全体14040人の全体的な死亡率は9.8%であるのに対して高乳酸血症患者の死亡率は78.2%
基礎疾患は敗血症が34% 心不全・ショックが19.3% CPR後が13.8%、であった。
死亡率が100%であった基礎疾患は腸間膜動脈虚血であった。
また乳酸クリアランス別にみたところ、12時間の乳酸クリアランスが32.8%以下であった患者ではICU死亡率は96.6%であった。

この研究には当然心臓手術後の患者も含まれているが、心臓手術後、そして痙攣後の重症高乳酸血症では乳酸クリアランスが高かった。
ちなみに、敗血症患者の44.5%は乳酸値は4mmol/Lになる。

他臓器不全で末期になると、乳酸値は上がるわけで、終末期の病態をみているにしかすぎないとの考え方もあり、この論文のなかでも、ICUという治療まっしぐらの環境のなかでいつターミナルケアに移行するかの一つの指標になるのではないかと述べている。そしてその指標としては12時間の乳酸クリアランスが最もよい指標であるとしている。


これも読みたい。 心臓手術と乳酸血症について

Hyperlactatemia and Cardiac Surgery.
J Extra Corpor Technol. 2017 Mar;49(1):7-15.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28298660

2017/07/09

Extremely low EF patient undertaking non-cardiac surgery


EFが低い患者の非心臓手術・術中麻酔管理についてのreview
The patient with chronic heart failure undergoing surgery.
Curr Opin Anaesthesiol. 2016 Jun;29(3):391-6. doi: 10.1097/ACO.0000000000000335.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26978592

EF低下=Heart Failureを2つに分類
1) 収縮期心不全 2) 拡張期心不全
どちらでもHFとなるリスク因子は冠動脈疾患、弁疾患、心房圧上昇、心房細動、特発性心筋症である。またさらにがんの化学療法などによる薬剤性の心筋症外もHFの原因となる。

有症状のHFの術後30日死亡率は9%である。(虚血、非虚血にかかわらず)
また3年生存率は58%である。
また手術内容がマイナー手術であったとしても死亡率は8%とそれほど変わらない。
さらに有症状HFはMACEの相対リスクが3.4である。

術前の評価
2014年ESCガイドラインではTTEとBNPの計測を行うことが推奨される(Class A)
また、βブロッカー、ACE阻害薬、利尿薬の調整をおこなうことが強く推奨される(Class A)
新しく心不全と診断された場合は手術を3ヶ月延期すべきとされているが、これはClass Cであり、なお議論のあるところである。

術中評価
収縮期心不全と拡張期心不全で非心臓手術をうける患者でなにか違いがあるかについては有益な研究はなく今後の研究がまたれる。
モニタについては、PHを合併している患者を除きPAC挿入にたいする強い推奨のエビデンスはない。また心不全患者ではフロートラックなどを使用したSVVの測定は有用性が低い。
冠動脈疾患由来の心不全については、全体の50%を占めるが合併症が多いことが報告されており、注意が必要である。
使用薬剤については、MDZ Propofol etomidateでの心拍出量の低下は認められない。
カテコラミンの使用については、短期間の使用についてはLevel IIbでの推奨である。
しかしβ刺激についても、HFの患者ではPDE阻害薬と同様に長期予後を悪化させるとの報告がある。よって、カテコラミンの使用は臓器灌流不全がある患者への使用のいにとどめるべきである。


日本からの報告  EF < 40で低心機能を定義。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24724440

対象は52症例。術後心血管合併症は15.4%に認めたと。しかし合併症発症群と非発症群で術前のリスク因子や基礎疾患には差が認められなかったと。

これはサンプル数不足もかんがえられるな。
有意差があることを示すためにはサンプル数の決定が重要だなと改めて思う。