EFが低い患者の非心臓手術・術中麻酔管理についてのreview
The patient with chronic heart failure undergoing surgery.
Curr Opin Anaesthesiol. 2016 Jun;29(3):391-6. doi: 10.1097/ACO.0000000000000335.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26978592
EF低下=Heart Failureを2つに分類
1) 収縮期心不全 2) 拡張期心不全
どちらでもHFとなるリスク因子は冠動脈疾患、弁疾患、心房圧上昇、心房細動、特発性心筋症である。またさらにがんの化学療法などによる薬剤性の心筋症外もHFの原因となる。
有症状のHFの術後30日死亡率は9%である。(虚血、非虚血にかかわらず)
また3年生存率は58%である。
また手術内容がマイナー手術であったとしても死亡率は8%とそれほど変わらない。
さらに有症状HFはMACEの相対リスクが3.4である。
術前の評価
2014年ESCガイドラインではTTEとBNPの計測を行うことが推奨される(Class A)
また、βブロッカー、ACE阻害薬、利尿薬の調整をおこなうことが強く推奨される(Class A)
新しく心不全と診断された場合は手術を3ヶ月延期すべきとされているが、これはClass Cであり、なお議論のあるところである。
術中評価
収縮期心不全と拡張期心不全で非心臓手術をうける患者でなにか違いがあるかについては有益な研究はなく今後の研究がまたれる。
モニタについては、PHを合併している患者を除きPAC挿入にたいする強い推奨のエビデンスはない。また心不全患者ではフロートラックなどを使用したSVVの測定は有用性が低い。
冠動脈疾患由来の心不全については、全体の50%を占めるが合併症が多いことが報告されており、注意が必要である。
使用薬剤については、MDZ Propofol etomidateでの心拍出量の低下は認められない。
カテコラミンの使用については、短期間の使用についてはLevel IIbでの推奨である。
しかしβ刺激についても、HFの患者ではPDE阻害薬と同様に長期予後を悪化させるとの報告がある。よって、カテコラミンの使用は臓器灌流不全がある患者への使用のいにとどめるべきである。
日本からの報告 EF < 40で低心機能を定義。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24724440
対象は52症例。術後心血管合併症は15.4%に認めたと。しかし合併症発症群と非発症群で術前のリスク因子や基礎疾患には差が認められなかったと。
これはサンプル数不足もかんがえられるな。
有意差があることを示すためにはサンプル数の決定が重要だなと改めて思う。