2017/04/10

hypophosphatemia after cardiac surgery



2010年、review
集中治療における低Pの原因と治療について
Treatment of hypophosphatemia in the intensive care unit: a review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2945130/

2006年の症例報告
心臓手術術後の低Pをおこした患者
http://onlinelibrary.wiley.com/store/10.1111/j.1365-2044.2006.04839.x/asset/j.1365-2044.2006.04839.x.pdf;jsessionid=EFCE64BFEEAA1502F17208851E7E7D0F.f03t03?v=1&t=j1c2m1cv&s=c1bbcd99fcedb504618a310eabc67f5dfa9687e0

"hypophosphatemia cardiac surgery"でPubmedをかけると、
1990-2000年あたりの論文が多い。

Intraoperative hypotension and Myocardial Injury 術中低血圧と術後心筋障害


2016年1月のAnesthesiologyにのっていた、トロント大学からの報告。

Association between Intraoperative Hypotension and Myocardial Injury after Vascular Surgery
http://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2470467

背景
心筋障害は非心臓手術の12-19%、心臓手術の27%で発生している。
術中の低血圧が術後の心筋障害の原因になることはわかっていたが、その程度(低下している時間とどの程度の低下なのか)との関連は不明であった。 
そこで、血管手術をうける患者の術中低血圧と術後心筋障害について、後ろ向きに研究した。

術中低血圧の定義
先行研究ではまちまちである。POISE trialでは、sBPが90以下とされた。
術後の心筋障害と関連しているのは、平均血圧が50-55mmHg以下かつ術前と比較して平均血圧が40%以上の低下であるとの報告がある。
今回の研究では4つの低血圧の定義を使用した。
MAP < 50 mmHg
MAP < 60 mmHg
MAP < preの30%以上の低下
MAP < preの40%以上の低下

患者群
2011年1月から2011年12月までにトロントの2施設で血管手術をうけた60歳以上の患者
1010人が該当し、データ不備から最終的に810人が分析対象となった。

心筋障害の定義
トロポニンIの値を用いた心筋障害の発生をアウトカムとした。トロポニンIはルーチンで全例で術後と2PODで計測。

結果
30分以上低血圧が続いた群では心筋障害の頻度が有意に高かった。また低血圧の定義としてはpreの40%以上の低下を使用した場合に最も差が認められた。
その他の要因として、βブロッカーの内服、緊急手術、心筋梗塞の既往があると、術後の心筋障害のリスクが高かった(相対リスクはそれぞれ1.6、1.6、1.9)。

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DiscussionにトロポニンIを上昇させるその他の要因(肺塞栓症、急性腎機能障害、敗血症、脳卒中等)の発生イベントについては調べていないとのこと。また、術前のトロポニンについてはルーチンには検査されていなかった。

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術前のβブロッカーの内服と心筋障害の関連が出る結果となってしまったが、これはresidual confoundingであろうとしている。術前のβブロッカーの内服は確かに麻酔導入後の低血圧につながるのだが、じゃあそれを予防するようなカテコラミンなりなんなりを投与したら、βブロッカー内服と心筋障害の関連はなくなるのかは不明。

MAP < preの40%以上の低下という定義を使用した場合、術前の高血圧がある人が低血圧発生群としてピックアップされやすくなってしまう。MAP < 60とした場合とではカテゴリーが全く違うものになってしまうだろう。
研究として、手術室にきたときの血圧が160以上であるかないかで2群に分けて、結果をみたら、また違う結論になるだろうか。

ともかくも、低血圧はよろしくない。血圧が変動することもよろしくない。
どっちがよくないかというと、血圧が変動することのほうがよくない気がするのだが、
それを研究レベルで証明するのは難しいな。

心筋の再灌流におけるカルシウムの役割


Circulation 2016年9月
ちょっとひっかかった論文。
論文は心肺停止後のROSC後心筋の設定で行っているのだが、
心臓手術のCPB離脱後の再灌流障害でも同じことがおこっているのではないか。
それをふせぐ方法の手がかりになるのではないか?

In Vivo Post-Cardiac Arrest Myocardial Dysfunction Is Supported by Ca2+/Calmodulin-Dependent Protein Kinase II-Mediated Calcium Long-Term Potentiation and Mitigated by Alda-1, an Agonist of Aldehyde Dehydrogenase Type 2.
http://circ.ahajournals.org/content/134/13/961.long


継続して論文を読もう。

2017/04/02

帝王切開の区域麻酔での昇圧薬


Vasopressors for the management of hypotension after spinal anesthesia for elective caesarean section. Systematic review and cumulative meta-analysis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22313496
Acta Anaesthesiol Scand. 2012 Aug;56(7):810-6

2012年ともう4年も前だが、帝王切開の区域麻酔での昇圧薬になにをどのくらい使用するかについてのメタアナリス
胎児のacidosisはフェニレフリンのほうが強いと。(エフェドリンに比べて)
さらに母体の徐脈についてもエフェドリンのほうが防げると。

心臓手術におけるFibrinogenの推移 CPBとの関連


4月からまた新しい病院での勤務。医局人事。
この転勤族生活もそろそろ終わりにしたい。


The effects on coagulation of the reinfusion of unprocessed residual blood from the cardiopulmonary bypass.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26843072
ポンプ後のいわゆる「ポンプ血」返血における凝固機能について
比較ではなく、20人の前向きコホート調査。
ポンプ血投与後にはAPTTは伸び、Thrombin timeも低下(ヘパリンが入っているから当然の結果)。しかしPT-INR、D-dimerについては変化なく、またFibrinogenについては増加が見られた。ポンプ血を使用することによる副作用は認めなかったと。
thromboelastography使用。

Fibrinogen measurement in cardiac surgery with cardiopulmonary bypass: analysis of repeatability and agreement of Clauss method within and between six different laboratories.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24633448
Fibrinogenの計測についての機種間の誤差の研究。
さらにpump中とpump離脱後の採血でFibrinogenに差をみとめるか?を比較したところ、差はなかったと。pump中でのFibrinogen値がわかれば、離脱時にどのくらい溶かしておこうかという目安にもなるか。

Fibrinogen concentration significantly decreases after on-pump versus off-pump coronary artery bypass surgery: a systematic point-of-care ROTEM analysis.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22995455
On pump CABGとOff pump CABGで、Fibrinogen値に差はでるか?を比較。
OPCABGのほうがFibrinogen値は高く、人工心肺による影響が考えられると。
ROTEMでの報告。

凝固系の臨床研究では、Point of careを使うことがスタンダードとなっているが、日本でROTEMを臨床的にばんばんつかっている病院はどのくらいあるだろうか。
結局中央検査室が結構はやくデータをだしてくれるので、それでまにあって
しまっているというCaseがほとんどのように感じる。