2017/11/27

Non cardiac surgery after PCI


PCI後に非心臓手術を受ける患者さんというのは結構多いものだと感じる。

周術期に関して論じる前に、昨今PCI後の抗血小板療法及び抗凝固療法のガイドラインが
大きく変わっている。


WOEST trial
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23415013
 2013年にLancetに登録されたstudy PCI後の患者にDAPT vs DAPTプラス抗凝固療法を加えた3剤療法で比較し、3剤療法がMACEの発生を抑えるか?をみたRCT。
結果MACEの発生率は変わらなかったが、出血イベントが増えた。
この結果、DAPTがもっとも良いとの方向ができた。


PIONEER AF-PCI ClinicalTrials
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1611594#t=abstract
しかし、Afibがある場合は抗凝固療法の方が脳梗塞の発生が抑えられることは既知のことであり、ではAfibがあってPCIを行なった場合はどのような治療が良いのか?
ということで2016年にNEJMにそのトライアルの結果が出た。
DAPT + リバロキサバン vs DAPT + ワーファリン での比較で DAPT + リバロキサバンの方が出血イベントが少なかったと。
ワーファリンとNOACの単剤比較でもNOACの方が出血イベントが少ないのだから、まあ妥当結果な気がする。しかしNOAC については脳出血イベントは減るが、消化管出血イベントは増えるのか...?

そして2016年、AHAからPCI後のDAPTの継続推奨期間についての改訂が出た。
http://circ.ahajournals.org/content/early/2016/03/28/CIR.0000000000000404
2016 ACC/AHA Guideline Focused Update on Duration of Dual Antiplatelet Therapy in Patients With Coronary Artery Disease: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines
非心臓手術を受ける患者では、DESで最低3ヶ月、BMSで最低1ヶ月となり、DESでかなり短くなった。


今回読んだ論文はPCI後に3剤併用療法中に非心臓手術を受けた場合のMACE及び出血イベントがDAPTのみの患者と比べてどうであったか?というもの。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27734083
World J Surg. 2017 Feb;41(2):423-432. doi: 10.1007/s00268-016-3725-5.
Triple Antithrombotic Therapy and Outcomes in Post-PCI Patients Undergoing Non-cardiac Surgery.
すごいマイナーな雑誌なきもするけど、内容は面白かった。PCI後の患者で3剤併用療法をしているのは、5%程度だったとの疫学も。
                     Triple群  DAPT群
MACE            11.3%            4.9%
bleeding          27.4%           13.2%
   event
Triple群の劣性である。

今後はどの組み合わせになるかわからないが、今後手術を受けるにあたってどんな抗血栓薬をどの期間飲んで来るかについては、ちょっと流動しそうだ。