2016/10/03

BiVADとなるリスク因子


2007年の論文。 2007年だと約10年も前になってしまうのだ。。。
要するに過去の論文。もちろん参考・引用論文としては読まなければならないのだけど。

Risk score derived from pre-operative data analysis predicts the need for biventricular mechanical circulatory support.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19059108


ペンシルバニア大学で1995年から2007年に補助人口心臓装着術をうけた患者266名のうち、
BiVAD の患者 99名とLVADのみの患者167名の術前のエコー、Lab/Data、カテ初見より
BiVAD装着となるリスク因子を特定することを目的とした後ろ向き研究

過去の文献から見つかったリスク因子25個を単変量解析し、有意差の出たものについて、多変量解析を行ったところ、
CI < 2.2
RV stroke work index < 0.25  RVSWI = (meanPAP - CVP) * SVI
重度の右室不全 (エコーによる術前評価、none mild moderate severe の4段階)
術前のCr > 1.9
心臓手術歴 
SBP < 96
以上の6項目がBiVAD装着のリスク因子として検出された。 

各項目を重み付けしたスコアリングを行うことで、BiVADとなる患者を手術前に特定し、LVAD装着後にRVADをまた入れにくるという事態(こうなると予後が悪い)を避けることができるのではないかと提言している。

------

昔はBiVAD率が高かった!という印象。27%はかなり高い。266名の疾患の内訳の記載がないのでわからないが、予想できるのは、NOや薬剤の使用によってBiVADとなる率は現在はかなり減っているだろう。

10年前なので、使用されているVADの種類が現在とはかなり異なる。
HeartMate XVE が最も多く、今最も使用されているHeartMateIIは6人しかいない。

limitationにも書いてあったが、LVAD挿入後状態があまりにも悪化し、BiVADまで到達しなかった症例もLVADのみに含まれているため、LVAD群の重症度はやや重く見られてしまっている。こういうデータはどう処理するのがいいんだろうか。
除外するべきではなかったのか? 

この論文には載っていないが、BiVAD症例でRVADを離脱できた人はどのくらいいるんだろうか。気になる。

2015年のこのreviewも読むこと。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26232775